ペトリレンズ用マウントアダプターの製作

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ペトリレンズ用半自作マウントアダプター(SONY FE マウント向け)
ペトリレンズ用半自作マウントアダプター(SONY FE マウント向け)
 オールドレンズ遊びをする場合、M42マウントやニコンマウントなどのメジャーなレンズであれば市販のマウントアダプターが豊富にあるので問題なく楽しめる。 ところが、ペトリレンズは人気の無いメーカーだし独自のスピゴットマウントであるため、市販のマウントアダプター製品は見た事が無い。 そんなときメルカリで自作風の「特製ペトリ→ライかMアダプター」を見つけて購入してみたけど、ライカMマウント用では使い勝手が良くないので困っていた。 そこで、銘玉 PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm を存分に楽しむためにマウントアダプターを自作する事にした。

パーツの調達

PETRI V6Ⅱのマウントを流用
V6Ⅱのマウントを流用
 ペトリは独自マウントであるためマウント部品を何とかしなければならない。 そこで、手元にある PETRI V6Ⅱ のシルバーボディーからスピゴットマウントを取り外して使う事にした。 必要なのはマウント部だけなので、ジャンクカメラなら¥500円以下で入手できるだろう。 たまにオークションでマウントパーツが無いペトリカメラを見かけるけど、アダプタ製作の為に外された個体だと想像している。 また、ペトリマウントを取り付ける台座として、手元に売るほどあるステップアップリングやステップダウンリングを組み合わせて使う。

ヘリコイドアダプターを流用

中華製ヘリコイドアダプター(YCマウントにしてDistagon 35/1.4を装着)
中華製ヘリコイドアダプター
 次に SONY FE マウントに適合させるための延長筒が必要だ。 これには以前から愛用していた中華製のヘリコイドマウントアダプターを流用する事にした。 ペトリのレンズは最短撮影距離が遠いため、楽しく遊ぶためにはヘリコイド付きにするのが必須条件だ。 手持ちのヘリコイドマウントアダプターはレンズ側マウント部が交換可能な優れもので、OM/AIN/CY/LR/PK の5種類が付属していた。 このレンズマウント部をペトリのスピゴットマウントが装着出来る台座を用意すればペトリ用ヘリコイドアダプターになるハズだ。 ちょっと心配なのは、このヘリコイドアダプターはアルミ製なので、頻繁にマウント台座を交換していると固定用イモネジ穴がバカ穴にならないかという不安がある。 ちなみに、このマウントアダプターは SONY FE マウント側内面に刻まれた遮光線が光るので、念のため艶消し黒塗装を施してある。

台座リングの加工

台座リングの制作
台座リングの制作
 ペトリマウントの光路長に合わせるためには台座の厚みを6.4mm程度にする必要がある。 このため、55→52ステップダウンリングと46→55mmステップアップリングとを組合せて台座とした。 ステップアップリングの46mmフィルターオスネジ部が無くなるまで削って、内径をΦ44.5mmまで広げればペトリのスピゴットマウントがピタリと収まる台座となる。 無限遠の調整はスピゴットマウントと台座の間にスペーサーを挿入して調整する必要がある。 今回使ったステップダウン&アップリングの組み合わせでは0.1mmほどのスペーサーが必要だったけど、オーバーインフ量として丁度良い感じなのでスペーサー無しで使う事にした。 後は、台座にマウント固定用のネジ穴を加工してネジ止めすれば一応完成する。 本当はペトリマウントの締め付けリング用回転規制ピンを付けた方が良いのだけど、丁度良い小ねじが無かったので回転規制なしとした。 なお、ヘリコイドアダプターに台座を固定するイモネジが刺さる3点の小穴を、台座の回転位置を決めてから台座側面に掘っておいた方が台座の脱落防止効果がある。

調整と補強

台座に固定したペトリマウント と ヘリコイドアダプター
台座に固定したマウント
 スケアリング(マウント面平行度)の調整は3本の止めネジに薄いワッシャを挟んで行う事になるけど、チェックを行ったところワッシャ調整しなくても正確に平行度が出ていた。 問題はスピゴットマウントを固定するステップアップリング面が薄めの軟弱アルミ製なので、3本のビス止めだけでは強度的な不安がある。 そっと使うなら大丈夫そうだけど、ちょっとぶつけたりするとスピゴットマウントが台座から飛んでしまう懸念がある。 悩んだ末、3本のビス止めに加えてステップアップリングの裏側とペトリマウントの裏側とをエポキシ接着剤で固めて補強する事にした。(写真では見えていない部分)

ヘリコイドの伸縮

ヘリコイド伸縮 上:基準状態 下:接写状態
ヘリコイド伸縮
 ヘリコイドは伸縮ストロークが15mmあるので、レンズ距離環とヘリコイド伸縮を合わせるとかなり近くまでの接写が可能になる。 なお、ヘリコイドを縮めた状態では剛性的な問題は無いけど、ヘリコイドを伸ばした状態では剛性的にスケアリング変化の不安がある。 でも、通常のクローズアップ写真なら主被写体以外はボケているのでスケアリングエラーがあったとしても殆ど感じないだろう。 なお、ヘリコイドを短くした状態でのロック機構が備わっていないので『アレ?無限が出ない』と思ったらヘリコイドがチョット繰り出されている場合がある。 これは流用したヘリコイドアダプターの仕様なので致し方ない。

実写テスト

SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/125s PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm F:1.4
画面隅ケラレ確認 IBIS:OFF
SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/1250s PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm F:1.4
スケアリング確認
SONY ILCE-9 ISO:400 Tv:1/30s PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm F:1.4
スケアリング確認
 市販のヘリコイド付きマウントアダプターには懐が狭くて画面隅のケラレが問題になる製品もあるけど、今回のヘリコイド付きマウントアダプターでは画面隅にアダプターによるケラレはなく、レンズ自体の周辺光量落ちが素直に表現されている。 また、遠景撮影による描写も画面四隅それぞれ同等で点光源撮影でもコマフレアの出方が同じで片ボケもしてない。 これらの状況からスケアリングに問題はなさそうだ。
 ちなみに、ケラレ確認するときにボディー内ISがオンのままだと、イメージサークル内で画面が移動しちゃうので周辺光量落ちがアンバランスになる。 同心円バランスがとれた辺光量落ちにしたいなら、必ずIBISをオフにする必要がある。

SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/160s PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm F:1.4(レンズのみの至近端)
レンズのみの至近端
SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/200s PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm F:1.4(ヘリコイド併用至近端)
ヘリコイド併用至近端
SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/30s PETRI EE Auto C.C Petri 1:3.5/28 F:3.5(ヘリコイド併用)
28mmで接写
 レンズ自体の最短撮影距離が0.6mなので物足りない場合でも、アダプターのヘリコイドを伸長すればグイグイ寄ることができる。 特に EE Auto C.C Petri 1:3.5/28 も0.6mまでしか寄れないレンズだけど、ヘリコイドアダプターを併用すればレンズ先端から3cmまで寄れるので重宝する。 接写すると描写性能が悪化するけど、寄れることの方が重要なのだ。

あとがき

 便利なペトリレンズ用マウントアダプターに仕上がったけど、ペトリレンズには C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 以外に使いたくなるレンズが少ないのが寂しい。 C.C Auto Petri 1:1.8 f=85mm とか C.C Auto Petri 1:2.8 f=100mm などは試してみたいけど、なかなか見つからない。

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