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TOPCON RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4 |
RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4は
日本が世界をリードした一眼レフカメラ TOPCON RE Super 用のレンズで、巷では
銘玉中の銘玉と評されている。 発売から40年ほど経つレンズを21世紀になってからレンズの外観・名称をコピーした復刻版(光学系は異なる)がコシナから新発売されたりする程の銘玉らしい。 個人的には1960~1970年代の標準レンズでは PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm が最も素晴らしい銘玉だと思っているけど、RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4 の実力が気になっていた。 中古のペトリレンズは¥3,309円で入手できたのに、中古のトプコンレンズは¥23,100円という超高額な買い物だったので、巷の評判通り『銘玉中の銘玉』でなかったらショックで寝込むかもしれない。
レンズの特徴
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レンズ構成図 |
今回ポチってしまったレンズは RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4 の中でも
前期型に分類されるレンズで、TOPCON R のレンズ脱着レバー部に干渉しない様にマウント面に凹段差が設けられているし、距離環ゴムリングも前期型の特徴である縁段付きなである。 ところが、基準指標は前期の
●タイプではなく後期の
●タイプになっているので前期型と後期型のパーツが混在した過渡期に製造された製品なのだろう。
レンズの構成はペトリもトプコンも同じ5群7枚構成の拡張ダブルガウス型で、絞りを挟んで張り合わせレンズが対象に配置されている。 左の構成図は絶対スケール比じゃないけど、トプコンは前玉径が大きくてペトリは後玉系が大きくなっている事が判る。 恐らく、マウントの建築限界による光学設計制限の違いが表れているのだろう。 両レンズのおおよその有効径を実測してみると、
前玉有効径 ペトリ:45.5mm トプコン:52.5mm
後玉有効径 ペトリ:38.5mm トプコン:32.5mm
となっていて、ペトリとトプコンを並べて後玉を眺めると『トプコンはF1.8並みに小さいなぁ』と感じるし、並べて前玉を眺めると『トプコンはF1.2並みに大きいなぁ』と感じる。
ペトリの最短撮影距離は0.6mなので『あれ?ここまでかぁ』と感じる事が多いけど、トプコンの最短撮影距離は0.45mなのでテーブルフォトでも大きな不満は無い。
分解・清掃・グリスアップ
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分解・清掃・グリスアップ |
入手したレンズの絞り駆動や露出計連動などに問題はないけど、ヘリコイドがスカスカだしレンズ内に軽いクリーニングマーク・汚れ・クモリがあるので分解・清掃する事にした。 分解手順は簡単なので内部レンズ面の清掃は難しくない。 しかし、ヘリコイドグリスを入れ換えるには距離環のゴムローレットを外して分解する必要があり、無理をすると硬化・劣化しているゴム環が千切れてしまいそうだ。 仕方ないのでヘリコイドの全バラは諦めて、見える範囲のヘリコイドを清掃して湿らせる程度にグリスを塗布するだけにした。 それでも、スカスカだったヘリコイドに適度な重さが戻ってイイ感じの操作感になり、光学系も綺麗に仕上がった。
ペトリ vs トプコール 実写比較
個人的に銘玉だと思っている C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm と RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4 を比較して、巷の評判通りなのかを確かめてみた。 なお、比較の C.C Auto Petri は
後玉のコーティングが変更された方の個体だけど、今回使ったマウントアダプターとの相性が悪くて画面隅がケラレてしまっている事を考慮して頂きたい。
遠景比較
TOPCOR 絞り:F1.4 |
TOPCOR 絞り:F2.8 |
TOPCOR 絞り:F5.6 |
PETRI 絞り:F1.4 |
PETRI 絞り:F2.8 |
PETRI 絞り:F5.6 |
遠景におけるトプコールは絞り開放ではフレアっぽい描写で中央は解像感があるけど画面周辺では解像感が低い。 絞って行けばコントラストが向上してくるけど、F2.8でも画面周辺の解像感の向上は鈍い。 恐らくメリディオナルコマ収差が多いためだろう。 一方、ペトリも絞り開放ではフレアっぽいけど画面全域で解像感がありながら柔らかい描写がすこぶるイイ感じで、F2に絞るとグッとコントラストが増し、F2.8に絞ると画面隅でも良い描写になる。 積極的に開放絞りでの素敵な描写を活かす写真を撮りたくなるのがペトリレンズだ。 日の丸写真的な構図で主被写体以外をボカすなら似た様な結果になると思うけど、ペトリの方が画面全域の均質性が勝っているのでペトリの方が主被写体配置の自由度が高いレンズといえる。
なお、両レンズとも同一ホワイトバランスで現像してあるけど、トプコールは暖色系の発色でペトリは寒色系(というか、ニュートラル?)の発色となる。 経年変化により発色も変わっていると思うけど『紅のトプコール』と呼ばれたのは暖色系の発色だったせいかも知れない。
夜景・点光源 比較
TOPCOR 絞り:F1.4
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TOPCOR 絞り:F2.8 |
TOPCOR 絞り:F5.6 |
PETRI 絞り:F1.4 |
PETRI 絞り:F2.8 |
PETRI 絞り:F5.6 |
両レンズとも絞り開放ではフレアが多くて霞がかった描写だけど画面中央の解像感はある。 ペトリの画面隅はサジタルコマにより「カモメ」が飛んでる様なコマフレアになるけど意外と解像感がある。 一方、トプコールの画面周辺は硬めのメリディオナルコマがあって解像感が劣る。 F2.8に絞ると画面隅のコマフレアもかなり少なくなるけど、トプコールよりペトリの方がスッキリした描写で解像感が高い。 両レンズともF5.6まで絞れば画面隅でも充分な描写性能になる。 開放~F2.8ではレンズによりコマフレアの性質が異なるのが良く判る。
なお、僕のペトリレンズは絞りクリックが無い個体なので、実際の絞り設定がかなり怪しい。 暗がりだったので、F2.8にしたつもりだけどF2.5程度だったりかもしれません。m(_ _)m
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