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KONICA HEXANON AR 35mm F2.8 |
HEXANON AR 35mm F2.8 はARマウント時代で大別すると4世代あり、各世代の特徴は以下の通りだ。 僕のレンズは第3世代に相当する。
世代 | レンズ構成 | 距離環 | 深度指標環 | 最小絞り | EE/AE |
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第1世代 | 5群6枚 | 梅鉢型黒色金属 | 銀色梨地 | F16 | 黄EE |
第2世代 | 5群6枚 | 梅鉢型黒色金属 | 黒色仕上げ | F16 | 黄EE |
第3世代 | 5群6枚 | ゴム巻き黒色金属 | 黒色仕上げ | F16 | 緑AE |
第4世代 | 5群5枚 | ゴム巻き黒色金属 | 黒色仕上げ | F22 | 緑AE |
ARマウントになる前の KONICA F や KONICA FP などのコニカFマウント用のプリセット絞りタイプの HEXANON 35mm F2.8 も存在していて、ARマウントの第1~3世代までと同じレンズタイプの5群6枚構成だったので、それを第0世代と言うべきかも知れない。 これらの5群6枚構成のレンズたちはアンジェニュー社の RETROFOCUS TYPE R1 35mm F2.5 をまんまパクった様な構成になっている。
KONICA HEXANON AR 35mm F2.8
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レンズ構成 |
フランスのアンジェニュー社が1950年代に発売した広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm F2.5」が一眼レフ用広角レンズの主流になり、各社とも同様のレンズを開発・設計していた。 また、商品名だった「RETROFOCUS」が凹凸レンズ組合せ構成の逆望遠型レンズを表す名称になってしまった。
1960年に発売された第0世代(コニカFマウント)の HEXANON 35mm F2.8 はアンジェニュー社の古典的レトロフォーカス型をそのまま採用し、3群4枚のテッサー型マスターレンズ(水色)の前方に2群2枚の凹レンズと凸レンズから成るワイドコンバーター(黄色)を装着した構成になっている。 凹レンズと凸レンズの間隔を大きく空ける事で主点位置を後ろ側へ移動させる事が可能で、一眼レフにも使えるバックフォーカスを確保している。 このレンズ構成のまま1965年のARマウント(第1~3世代)に引き継がれている。
1950~60年代の各社一眼レフ用35mmレンズはアンジェニュー社の「RETROFOCUS」をヒントにした多くのレトロフォーカス型レンズが市場に登場したけど、古典的なレトロフォーカス型レンズには残存コマ収差などが多くて描写性能としては欠点も多かったハズだ。 HEXANON AR 35mm F2.8 も褒められる描写性能ではなかったけれど、第3世代の時に5群6枚構成はそのままにして光学系を修正したらしく、巷では描写性能が大幅に改善されたと言われている。 その後の第4世代ではレンズ構成を5群5枚に大きく変更して小型化しつつ高性能化されている。 もし、AR 35mm F2.8 を購入するなら描写性能的には第4世代がお勧めで、オールドレンズらしさを楽しむなら第3世代がお勧めだろう。 描写性能よりカッコ良さで選ぶなら第2世代レンズだけどね。
ちなみに、第1~3世代までのレンズは構成図の通り鏡筒内はスカスカなので、大きさの割に想像以上に軽く感じる。 また、絞りはヘキサノン伝統の「ガチガチ」な0.5段クリックなので、
絞り環クリックを改造してマイルドにしないと使う気にならないほど操作感が悪いし、意図せずAE位置に入っちゃう仕様もそのままだ。
実写サンプル画像
絞り:F2.8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F2.8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
角型フードを装着 |
古典的レトロフォーカス型にしては絞り開放でも画面中央のフレアが少なく解像感があるのは第3世代だからかも知れない。 しかし、画面周辺ほど豊富なコマ収差により解像が大きく低下する。 F4に絞ると中央のフレアが消えてコントラストが向上し、F5.6だと画面周辺でも我慢できる描写となり、F8まで絞れば画面隅でも充分な描写になる。 色乗りが結構良くて絞ればシャープになり、絞りを開ければ古典的レトロフォーカスの描写特性を楽しめるレンズといえる。
第1~2世代のレンズを持っていないので比較は出来ないけど、このレンズは描写性能が向上した第3世代の AR 35mm F2.8(古典的レトロフォーカス型に変りはない)だけど、周辺描写性能がこの程度ということは、第1~2世代レンズの描写性能はかなり酷かった(個性が強いとも言える)のだろう。
後ボケがリングボケっぽい事と周辺ボケがレモン型である事からグルグルボケになり易いので、シーンによっては騒々しくなる。 でも、これはオールドレンズとして楽しむべき「癖」と受け止めよう。 また、逆光に強い訳ではないけど標準ARレンズ系の様に「積極的に」外光を拾って白ける事は無い。 念のため、内面が静電植毛された純正の35mm用角型フードを装着すれば効果的に外光フレアを軽減できる。 個人的に外光フレアは嫌いだけどゴーストは嫌いじゃない...程度によるけど。
あとがき
HEXANON の35mmにはARマウント以前のコニカFマウント初期の頃から7群9枚構成で明るい HEXANON 35mm F2 があり、古典的なレトロフォーカス型から進んだレンズ構成だけど描写性能は古典的だったらしい。
コニカのARレンズには優秀なレンズもあったけど、素晴らしい銘玉って言うのは少なかった気がする。 中古市場では AR 57mm F1.2 などは高額で取引されているけど、希少だから高額なのか描写が素晴らしいから高額なのかは判らない。
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