NIKON F のファインダースクリーン改造

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NIKON F のファインダースクリーン各種
NIKON F のファインダースクリーン各種

 NIKON F のファインダースクリーンは発売期間中に何度か改良されて、僕が知っている変遷は以下のとおりである。

変遷 型式表示 型式文字色 フレネルピッチ 見え具合 その他
最初期型 刻印※ 白色 8本/mm フレネル渦がとても気になる。
中央Φ12mm内は凸レンズ。
凸レンズ部にかげりが出易い。
初期型 印刷 白色 8本/mm
中期型 印刷 黄色 12本/mm フレネル渦がまだ見える。
後期型 印刷 赤色 25本/mm フレネル渦は気にならなくなった。
若干明るくなった気がする。
NIKON F2 と共用の部品である。
  ※型式は白刻印だが、逆サイドの「NIKON F」表記などは白印刷である。

 NIKON F を現役で使っていた若い頃はマット面でのピント合わせにも自信があった。 ところが20代中頃にはピントが判らなくなり、マイクロプリズムやスプリットプリズムに頼らなければピントが合った写真を撮れなくなった。
 原因は、一日中粗悪なモニター画面と睨めっこする業務環境により、僕の眼が腐ってしまったためだ。 話が脱線するけど、初めて眼鏡を買って芝ゴルフ練習場(今は無い)でティーマットを見た時に『こんなに芝目がみえたんだぁ!』と感激した事を思い出した...ゴルフは上達しなかったけど。

NIKON F に NIKON F3 のスクリーンを組み込む

NIKON F3用 と F用 のファインダースクリーン
F3用とF用のスクリーン

 久しぶりに懐かしい NIKON F を使ってみると、デジカメでは常にグリッド線を表示している事もあり、便利な方眼マットスクリーンに交換したいと思う....のだけど、NIKON F の方眼マットスクリーンは全面マットなのでピント合わせに難がある。 調べてみると、NIKON F3 のファインダースクリーン枠はメカ枠の規格が異なるけど、スクリーン自体の形状規格は NIKON F/F2 と同じらしい。 そこで、NIKON F3 用ファインダースクリーン R(スプリットプリズム付き方眼スクリーン)を分解して、NIKON F のファインダースクリーン枠に組み込むことにした。

ファインダースクリーンの組み換え

分解して取り出したスクリーン(下がF3用スクリーン)
分解したスクリーン

 NIKON F3 は持ってないので、視認性には影響がない程度のキズが少しある中古の NIKON F3 用ファインダースクリーン R を調達した。
 ファインダースクリーンの分解は簡単で、F用は大きなマイナス皿ビスを外して留め金具を外せばコンデンサーレンズと一体になったピント板ごと取り出せる。 F3用は小さなプラスビスを外せば良い。 後はピント面にキズや指紋を付けない様に注意して入れ換えるだけである。
 組み込む NIKON F 用の枠はスクリーン面にスレが多くて見難くなった赤文字A型(スプリットプリズム)の枠を使ったが、F3用のスクリーンがぴったりと嵌ってくれた。 ちなみに、F3用のスクリーン枠を分解する際に力を加えたらグニャグニャするので慌ててしまった。 F用の枠は金属製だけど、F3用の枠はプラ製だったのだ...知らなかった。

ファインダーの見え具合

スクリーンによる見え具合の違い(スマホの露出量は同じ)
スクリーンによる見え具合の違い

 ファインダーを交換して覗いた第一印象は NIKON F/F2 のスクリーンより明るい事で、僕の腐った眼でもマット面でピント合わせが出来そうな気がしてしまう。 白文字の初期型スクリーンと比較すると、見え具合はフレネル渦も含めて格段に改善され、方眼線があるので構図を決め易い。 なお、上の比較画像はアイピースから露出量を固定したスマホで撮影した最初期型との比較画像で、スマホの画像でも見え具合の差が良く判る。

Photomic FTn で測光の影響を確認
Photomic FTn で影響確認

 ファインダーが明るいという事は接眼レンズを通して眼に届く光が多く、光軸外のCdSセンサーへ届く拡散光が少ないハズなのでTTL測光系への影響がありそうだ。 久しぶりに引っ張り出した Photomic FTnファインダーを装着して F/F2用赤文字スクリーンとF3用スクリーンとを比較したところ、F3用スクリーンは約0.5段暗い測光結果を示した。 今回の改造スクリーンを装着してTTL露出計を使う場合は感度設定を0.5段ほど高く設定する必要がありそうだ。 Photomic FTnであれば、ASA感度設定ダイヤルの 赤▲ と 1 との間の で感度設定すれば良いだろう。

あとがき

NIKON F 最初期型 + NIKKOR-S Auto 5cm F2
NIKON F 最初期型 + NIKKOR-S Auto 5cm F2

 若い頃は「最新型」の NIKON F を買い求めてていたけど、年寄りになると初期型の NIKON F が恋しくなる。 ひょっとしたら、ただ懐かしんでるんじゃなく恐ろしいニコン教の呪縛かも知れないけど、明るいファインダーだと古い NIKON F を使う気になってしまう。 今回の改造を前世紀にやっていたなら、もっと充実した写真生活を楽しめただろう。

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