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NIKON F 最初期型(641万番台) |
1959年から1973年まで生産された
NIKON F は、幾度かの変更が加えられていた。 内部機構の変更は簡単には判らないので、外観で判る変化をネット上で確認できる沢山の画像から機番で分類してみた。 ただし、ファインダーは付け換えられていて判断不能なので除外した。
NIKON F の分類
一般的に 前期型:富士山ロゴ、中期型:NIKONロゴ、後期型:プラ指当て という分類が多いけど、ネット上のカメラ画像などを調べてみた結果では 最初期型・初期型・前期型・中期型・後期型・アポロ型 の6タイプに分けるのが良さそうだ。
機番 |
製造年月 |
分類 |
上面ロゴ |
セルフレバー |
備考 |
640xxxx~ |
1959/04~ |
最初期型 |
富士山 |
斜ギザ+横溝 |
底蓋 赤白字ASA 641xxxxは白点あり |
642xxxx~ |
1960/07~ |
初期型 |
富士山 |
縦ギザ+横溝 |
以降 底蓋白字ASA 白点あり |
650xxxx~ |
1963/05~ |
前期型 |
富士山 |
縦ギザ | 以降 白点なし |
670xxxx~ |
1965/06~ |
中期型 |
富士山 |
縦ギザ |
以降 PhoT装着可 |
675xxxx~ |
1966/02~ |
NIKON |
690xxxx~ |
1968/05~ |
後期型 |
NIKON |
縦ギザ |
以降 PhoFTn装着可 |
731xxxx~ |
1972/01~ |
アポロ型 |
NIKON |
プラ指当 |
巻き上げプラ指当 |
いろいろ調べてはみたけど、改造された個体が混ざっているみたいだし、機番の変わり目の個体がどうなっているのか確信が無い。 ニコン教の信者から異を唱えられそうだけど個人的な分類なので勘弁してください。
- 最初期型:640xxxx~
セルフタイマーレバーが斜めギザ+横溝タイプだった。 また、底裏蓋のASA指標が赤白文字で刻印されていて、このタイプの底裏蓋内にはPAT番号が刻印されている。
内部機構としては、6408千番台以前の最々初期型はミラースプリングが2本だったらしい。 これらの最初期型から前期型までは富士山ロゴが刻印されていて昭和レトロを感じさせる懐かしさがある。
ファインダースクリーンのフレネルが8本/mmと粗いので渦がとても気になる。
また、中央Φ12mm内は凸レンズになっていて、凸レンズ部にかげりが出易い。 - 初期型:642xxxx~
ミラースプリングが1本になったことを示す白点が本体ファインダー・ハウジング部にあり、セルフタイマーレバーが縦ギザ+横溝タイプになった。 また、初期型647万番台あたりから巻き上げレバーのカット形状が変更されている。
これらの初期型で白文字ASA機であっても底裏蓋内にPAT番号が刻印されている個体もある様だ。
ファインダースクリーンは最初期型と同じだけど、枠の白刻印が単なる印刷に変更されている。 - 前期型:650xxxx~
初期型と同様に富士山ロゴが彫られているが、本体ファインダー・ハウジング部の白点が無くなり、セルフタイマーレバーが横溝が無い縦ギザのみのタイプになった。
なお、最初期型~前期型までのファインダー脱着釦ガードには横溝が無く、指の爪でボタンを押してファインダーを外すのは困難である。 - 中期型:674xxxx~(670xxxx~)
中期型以降は富士山ロゴがNIKONロゴになった。 本体ファインダー・ハウジング部が変更されて Photomic T ファインダーが装着可能になったが、前期型末期にアイレベルファインダー付きで出荷された個体(658~659万番台)には機番前に赤点が付いた Photomic T ファインダー対応機もある。
また、富士山ロゴ機ではあるけど、本体ファインダー・ハウジング部が変更されている670~674万番台機は改良済み前期型...というか中期型になっている。
ファインダースクリーンのフレネルが12本/mmと細かくなったが渦がまだ見える。 型式文字が白印刷から黄印刷になったので旧スクリーンと判別が出来る。 - 後期型:690xxxx~
後期型になると前面ネームプレート裾部のテーパー角が付けられ、幅が若干短くなって Photomic FTn ファインダーが無理なく脱着可能となっている。
ファインダースクリーンのフレネルが25本/mmと細かくなり渦が気にならなくなった。 型式文字が赤印刷になり、NIKON F2 と共通部品となっている。 - アポロ型:731xxxx~
NIKON F2 発売後に登場し、巻き上げレバーとセルフタイマーレバーにプラスチックの指当てが付いて NIKON F2 風になった最終型である。
また、アポロ型より前のブラックボディーは巻き戻しクランク台座も黒塗りだったが、アポロ型ではがシルバーの台座部品が使われている。
なお、初期型や前期型にTTL式Photomicファインダー を装着可能にするメーカー純正改造があったらしいけど、現在では本体ファインダー・ハウジング部を自力で削る必要がある。 もっとも、削るくらいなら後期型の中古個体を購入すべきだろう。
また、
ファインダースクリーンについてはこちらに記載してある、
富士山ロゴ と NIKONロゴ
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NIKONロゴ(アポロ型)左 と 富士山ロゴ(最初期型)右 |
昭和感漂う富士山ロゴがイイ感じだ。 ブランド名である NIKON ロゴは前面ネームプレートにあるし社名がニコンになったのは1988年なので、カメラ上面には社名が入った富士山ロゴのままで良かったんじゃないかと思う。
初期型の本体ファインダー・ハウジング部
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初期型の本体ファインダー・ハウジング部 |
最初期型の640万番台の途中から初期型までは本体ファインダー・ハウジングの巻き戻しクランク側隅に白点があり、ミラースプリングが1本になったことを示している。 この白点はファインダー・ハウジング部に広い出っ張りあった前期型まで施されていた。
前期型までのファインダー・ハウジング部には広い出っ張りがあるため、外光式 Photomic ファインダーは装着できても、TTL式の Photomic T や Tn ファインダーは装着できなかった。 このため、ニコンで純正改造サービスを施された初期型・前期型の個体も存在する。
また、前期型の終わり頃である658~660万番代のカメラでアイレベルファインダー付きで出荷されたカメラにはTTL式ファインダーが装着可能である事が判る様に製造番号の先頭に赤点が打たれた個体が存在する。 従って658~675万番台のカメラは富士山マーク付きの中期型と分類すべきかも知れない。
ちなみに、僕の641万番代の個体は本体ファインダー・ハウジング部が純正改造された個体で、Photomic T や Tn ファインダーが載せられる様になっている。
NIKONネームプレートの変化
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NIKON F ネームプレートの変化 |
最初期型から中期型までのNIKONネームプレートと後期型・アポロ型のNIKONネームプレートは長さ・形状が若干異なる。 後期型からは直線カットだったNIKONネームプレートが二段カットになり裾が少し短くなっている。 これは Photomic FTN ファインダーを無理なく装着するための変更だけど、こんなのは Photomic FTN ファインダー側で対応すべき問題たと思う。
セルフタイマーレバーの変遷
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セルフタイマーレバーの変遷 |
最初期型と初期型と後期型とアポロ型のセルフレバーだけを比較すると、全く違う機種を比較している様に見える。 ちなみに、NIKON SP のセルフタイマーレバーも機番によって変遷していて、小判タイプや縦ギザ横溝タイプや縦ギザのみタイプなどと色々ある様だ。
底蓋の変化
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NIKON F 底蓋の変化 |
最初期型のASA感度インジケータは赤白字だったが、642万番台の初期型以降はのASA感度インジケータは白字ASAに変わっていて、ASA感度インジケータ範囲も変化しているのが判る。 NIKON F は底背蓋が普通に外れるカメラなので、ちゃんと意識していないと出荷時とは異なる組み合わせにしちゃう事がある。 中古市場では妙な事になっている個体もある様だ。
あとがき
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NIKON Photomic FTN Apollo Type with MOTOR DRIVE F-36 |
NIKON F は発売時期によって様々な変更が加えられ、ニコン教の狂信者は全種類を揃えたりするのだろう。 変更・変化はカメラボディーに限ったことではなく、近年では「不変のFマウント」と謳っているレンズマウントも不変なのはバヨネット部だけで、測光・露出に関わるインターフェースは随分と変更されてきて、装着出来ない組合せがあったりする。 しかし、ありがたいことに、ニコン信者は修行と受け止め、文句も言わずに使い続けるのである。
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ニコンFファンには楽しく詳しい内容です。
返信削除ニコンFはニコンF2とシャッター音を比較するとFの方が落ち着いた音です。F2は甲高い音でFの方が好ましい音です。私は今までにFを8台分解注油しました。
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