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NIKON F Apollo |
レンジファインダーカメラの NIKON SP をベースとして、ミラーボックスを挟んでペンタプリズムを乗せたカメラが NIKON F である。 巻き上げレバーやシャッターボタンや底蓋背蓋一体取り外し方式など、本当に NIKON SP を一眼レフにした様なカメラだ。 意外なことにデザインは社外の意匠デザイナーが担当したそうで、1966年にグッドデザイン賞を受賞している。
NIKON F
NIKON F は NIKON F2 発売後も併売され、NIKON F2 と同じ様に巻き上げレバーやセルフタイマーレバーにプラスチックの指当てが付いた。 1972年から発売されたこの最後期型を New F と呼んでいるが、米国ではアポロタイプと呼ばれるらしい。
それ以外にも様々なマイナーチェンジがあった様だが、富士山マークと「NIPPON KOGAKU TOKYO」ロゴが入った最初期型640万台の NIKON F 人気が高いらしい。
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僕がカメラ小僧だったころ父親に
Nikomat を買ってもらったけど、カッコ良いデザインでロボットの様に交換できるファインダーやモータードライブが使える NIKON F が欲しかった。 ただ、
Nikomat には露出計が内蔵されていて、シャッター速度リングがマウント基部にあるので NIKON F より数段使い易かった。
特徴的なペンタ部形状
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特徴的なペンタ部形状 |
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潰れ修復したペンタ |
アイレベルファインダー付きの NIKON F のデザインはとても美しいと思う。 喧嘩の道具に使えるほどシャープに尖ったペンタ部が精悍だ。 このペンタで殴られたらひとたまりもないだろう。
一方、フォトミックファインダー付きの NIKON F は無骨...というか不細工で、美しいとは言えない。 ただし、実使用面ではTTL露出計搭載のフォトミックファインダー付きを多用していたけどね。
ファインダーは交換式
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ファインダーは交換式 |
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交換ファインダー |
ファインダーは露出計搭載の Photomic FTn ファインダー や ウェストレベルファインダー や 長大なアイポイントを持つアクションファインダー などに交換が可能である。 喧嘩の道具に使って潰れたアイレベルファインダーも新品に交換すれば労せず元通りになる。
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NIKON F 用の露出計搭載ファインダーの変遷も色々あり、知っているだけで4種類ある。
発売年 |
製品名称 |
測光方式 |
開放F値設定方法 |
1959年 |
NIKON F(ベースカメラ) |
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1962年 |
NIKON F Photomic |
外光式露出計 |
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1965年 |
NIKON F Photomic T |
TTL平均測光 |
開放値手動設定 |
1967年 |
NIKON F Photomic TN |
TTL中央重点測光 |
開放値手動設定 |
1968年 |
NIKON Photomic FTN |
TTL中央重点測光 |
ガチャガチャ(半自動) |
などである。 僕が持っているのは Photomic FTn で、他の露出計搭載ファインダーは持っていない。
ファインダースクリーン
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ファインダースクリーン |
ファインダースクリーンも交換式で、最終的に12種類ほど用意されていた。 発売当初のフレネルレンズは8本/mmの粗いピッチ(白文字印刷)だったので覗くと渦が気になったが、その後12本/mmのフレネルレンズ(黄文字印刷)へ改良され、最終的に25本/mmのフレネルレンズ(赤文字印刷)となって渦はほとんど目立たなくなった。
手持ちのファインダースクリーンは「白文字印刷」と「赤文字印刷」で「黄文字印刷」は無かった。 ちなみに、最初期のファインダースクリーンは白文字刻印だったらしい。
アイピースアタッチメント
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初期型のアイピース |
ニコン高級機のアイピースアタッチメントは「〇」が基本だけど、NIKON F 初期~中期頃のアイピースアタッチメントは四角だった。
現在、中古として出回っている NIKON F はファインダーが後から付け換えられていたりするので、□から〇へ変更されたのがいつ頃なのか判断が難しいけど、1665年発売の NIKON F Photomic T からアイピースアタッチメントが「〇」になったのだと考えている。
ファインダー表示
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Photomic FTN のファインダー表示 |
僕が持っている露出計搭載ファインダーは Photomic FTN で、ファインダー視野外上部に露出計メーターと設定シャッター速度が表示される。 一方、アイレベルファインダーの場合は像視野しかない超シンプルで原始的な一眼レフのファインダー表示となる。
なお、NIKON F2 Photomic では画面下側外に露出計メーターを挟んで左右に絞り値とシャッター速度が表示される羨ましい仕様だったと記憶している。
ガチャガチャ
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ガチャガチャ |
装着レンズの開放F値を設定する操作の事を「ガチャガチャ」と呼び、1960年代の終わりから1970年代にニコン信者の伝統作法となっていた。 その伝統作法は
- レンズを装着してロックする
- 絞り環を最小絞りまで回す(ガチャ1)
- 絞り環を開放F値まで回す(ガチャ2)
Photomic FTNの「ガチャガチャ」メカニズムはかなり凝っているけど、もう少し頑張ってファインダー内に絞り値も表示してくれたら不細工なのは我慢してベタ褒めしてあげる。
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実はガチャガチャを初めて搭載した機種は
Nikomat FTN で、レンズを装着する際は最初にカメラの絞り連動ピンをレンズ着脱側に突き当たるまで移動しておき、レンズの絞り環をF5.6にしてから装着すればレンズのカニ爪と連動ピンとを合わせ易い。 あとはガチャガチャすれば装着レンズの開放F値が設定される。
レリーズボタン周り
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NIKON SP と NIKON F |
NIKON F のレリーズボタンは、数年使い込むと人差し指が曲がってしまうほど押し難い位置に付いている。
NIKON SP の一眼レフ版とはいえ、たいへん使い難いままだった。 この位置にレリーズボタンがあるニコンの一眼レフは NIKON F だけで終わったのは幸いで、曲がった僕の人差し指も元に戻っている。
底蓋が一体で外れる背蓋
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底蓋が一体で外れる背蓋 |
ニコンはレンジファインダーカメラの頃から伝統的に底蓋と背蓋が一体で外れる仕様だけど、これも使い難かった。 カメラを三脚に取り付けたままだとフィルム交換が出来ないし、屋外では蓋を持ったままフィルム交換しなきゃならない。 そういえば、旦那様の NIKON Photomic FTN を持って旅行に来た奥様から、『フィルム交換が出来ないのよぉ』と頼まれた事があった。 底蓋と一体になっている背蓋を取り外して見せると、『横に開くんじゃないんだぁ!』とびっくりする。
ガンカプラー
クリップオンストロボを使うにはアクセサリーシューを備えたガンカプラーが必要だ。 ただ、これを装着するとフィルム巻き戻しが出来なくなる。 また、ガンカプラーに昔のストロボを装着すると、吊り環横のシンクロ接点に高電圧が出て来るので、縦位置撮影の時に感電する事故が良くある。
フィルムマガジン
フィート缶のTriXを買ってこれに詰めて使っていた。 なので沢山持っていたハズなんだけど、1個しか見当たらない。 いったい何処へ消えたんだ?
フォトミックイルミネータ
実用にはちょっと...という感じだけど、ファインダー内のメーターが照らされると気分が高揚する。 それだけ!
何処へ消えた?
今回、記事を書くためにアクセサリー類を探してみたが、全然みつからない。 いったい、何処へ消えたんだろう? どれかのおもちゃ箱の底に死蔵されていると思ってはいるけど....
モータードライブ
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NIKON F MOTOR DRIVE F-36 |
底蓋一体で取り外せる背蓋をモータードライブに交換できる。 ただし、この時代のモータードライブはカメラボディーとモータードライブをサービスセンターに持ち込んで調整してもらう必要があった。 確か、1週間ほど預けた記憶があるけど、トリガー用に穴の開いた底板に交換される。 どこを調整していたのかは知らないけど、恐らくレリーズトリガーの長さを確認し、必要に応じて調整していたと思われる。
昔、フィート缶の Kodak Tri-X を買って自分でパトローネに詰めて写真を撮っていたが、モータードライブF-36には使ってもモータードライブF-250に使う事は無かった。 なんせ、自分で250駒分の長いフィルムを現像する現像タンクを持っていなかったのねぇ。
あとがき
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Reflex NIKKOR 500mm F5 と NIKON F MOTOR DRIVE F-250 |
反射ミラーレンズ Reflex NIKKOR 500mm F5 に着けた NIKON F MOTOR DRIVE F-250。 重厚でカッコ良い姿だけど、この組み合わせで写真撮影などした事はない。 全く必要ない機材であっても構わずお布施してしまうのがニコン教の恐ろしいところである。 ちなみに、Reflex NIKKOR 500mm F5 は 50cm F5 表記品も含めて 3000本ほど製造されたらしい。 軽いので手持ち撮影も可能だけど、後部直進ヘリコイドによるピント合わせは困難を極める。
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