KONICA HEXANON AR 28mm F3.5

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KONICA HEXANON AR 28mm F3.5
KONICA HEXANON AR 28mm F3.5
 HEXANON AR 28mm F3.5 は都合4世代あり、各世代の特徴は以下の通りだ。 僕のレンズは第3世代に相当する。

世代 レンズ構成 距離環 深度指標環 最小絞り EE/AE
第1世代 7群7枚 梅鉢型黒色金属 銀色梨地 F16 黄EE
第2世代 7群7枚 梅鉢型黒色金属 黒色仕上げ F16 黄EE
第3世代 7群7枚 ゴム巻き黒色金属 黒色仕上げ F16 緑AE
第4世代 5群5枚 ゴム巻き黒色金属 黒色仕上げ F22 緑AE

 実はプリセット絞りタイプの HEXANON 28mm F3.5 も存在していて、恐らく KONICA F 用に準備(未発売)されたレンズのマウント部をARマウントに変更したレンズだったのだろう。 プリセット絞りタイプのレンズは第1~3世代レンズとは異なる6群7枚構成で、アンジェニュー社オリジナルのレトロフォーカスと同様に凹前群と凸後群との空気間隔を大きく空けた構成だった。

KONICA HEXANON AR 28mm F3.5

HEXANON AR 28mm F3.5 レンズ構成
レンズ構成
 アンジェニュー社が1950年代に発売した広角レンズ「レトロフォーカス」が一眼レフ用広角レンズの主流になり、各社とも同様のレンズを開発・設計していた。 HEXANON AR 28mm F3.5 は古典的レトロフォーカス型の前凹群と後凸群の長い空間を厚いガラスで埋める事により、光路長を確保(像面湾曲補正にも有効)しつつ前玉の小型化を図った設計になっていて、Super-Multi-Coarted TAKUMAR 1:3.5/28 と似た光学構成である。 古典的なレンズ構成の 本家 Angenieux RETROFOCUS TYPE R11 28mm F3.5 や NIKKOR-H Auto 1:3.5 f=28mm や MC W.ROKKOR-SG 1:3.5 f=28mm や Auto C.C Petri 1:3.5/28 などより前玉径が随分と小さくなっている。

 60年代の他社製28mmは周辺画質の悪化を嫌って最短撮影距離が0.6m程度までしか寄れない(寄らせない)という欠点があったけれど、AR 28mm F3.5 は0.3mまで寄れるという大きな強みがある。 近距離補正機構などは搭載していないので、近距離ほど非点収差やプラスの像面湾曲がに大きくなるので周辺描写は悪化する。 でも、近距離撮影のシーンでは平面の複写じゃなく主被写体にピンフォーカスしたい事が多いので、寄れる事は撮れる写真が増えるとポジティブに考えれば決して欠点ではない。

 絞り値は F3.5~F16 しか無いので絞り環の刻印が寂しくて、ヘキサノン伝統の「ガチガチ」な0.5段クリックにはガッカリする。 絞り環クリックを改造してマイルドにしないと使う気にならないほど操作感が悪いのに、コニカがこれを善しとし続けた理由が僕には判らない。

実写サンプル画像

HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F5.6
絞り:F5.6
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F8
絞り:F8
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F5.6
絞り:F5.6
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 35mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
絞り:F3.5
HEXANON AR 28mm F3.5 絞り:F3.5
角型フードを装着
 1960年に登場した28mmとしては「それなり」な描写性能だと思う。 開放F値がF3.5と暗いこともあり絞り開放でのフレアーは少な目だけど、無限遠状態では若干アンダーの像面湾曲があるらしく遠景では画面周辺の描写が甘め(画面周辺の近い住宅はシャープ)になる。 遠景では絞っても像面が湾曲しているので画面隅の画質向上は鈍いけど、周辺光量落ちも含めてF8~F11なら画面隅でも使える描写になる。 絞り込めば風景撮影にも使えるけど、F11やF16では回折の影響で解像が少し落ちる。

 一方、近距離ほど像面湾曲がオーバーになるので、1.5mほどの中距離では相対的に画面周辺の画質悪化は少ない様だ。 また、至近付近で主被写体だけにフォーカスするなら周辺画質の劣化は殆ど気にならない。 後ボケに二線ボケの傾向があるけど暗い広角レンズなので大きなボケは得られにくいし、汚いボケじゃないので背景に気を遣う必要は無いだろう。

 総じて Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm F3.5 の方が解像感が高い感じだけど、Petri 28mm F3.5 よりは良い描写だと思う。

HEXANON AR 28mm F3.5 + 純正角型フード
純正角型フードを装着
 逆光に弱いのはコニカの伝統だけど、前群レンズの曲率が緩い事もありAR標準レンズ系よりは逆光耐性が高いと思う。 念のため、外光カットに効果的な純正角型フード(24・28mm用)を利用すべきで、内面が静電植毛された純正フードを装着した容姿はなかなかカッコ良いと思う。 このフードは被せ式で金属ベルトで締め付ける方式なので、極薄い樹脂シートを挟んで金属同士が擦れない様に工夫・加工しておいた。

あとがき

 コニカのARレンズには優秀なレンズもあるけど、素晴らしい銘玉って言うのは少なかった気がする。 中古市場では AR 57mm F1.2 などは高額で取引されているけど、希少だから高額なのか描写が素晴らしいから高額なのかは判らない。 AR 28mm には明るい AR 28mm F1.8 UC があり、コレクターズアイテムらしく高額で取引されているけど描写性能はイマイチの様で、実用的には AR 28mm F3.5 の方が適しているらしい。 AR 28mm F3.5 は市場にゴロゴロしてるので、探せば¥1000円以下のレンズもあるだろう。 個人的には距離環がゴム巻きになる前の第2世代レンズが精悍でカッコイイと思っている。
 なお、海外では HEXANON AR シリーズとは別に低価格の HEXAR AR シリーズが販売され、28mm F3.5 / 135mm F3.5 / 200mm F4 の3本が存在する。 これらの HEXAR AR  シリーズは光学系がコストダウンされたレンズ構成になっている様だ。

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