TOPCON R - 1957年発売

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TOPCON R + Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm
TOPCON R + Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm
 1957年に発売(1958年かも)された日本で3番目のペンタプリズム付きフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラである。 ボディが大きかったことからアサヒカメラの「ニューフェース診断室」で「軍用カメラ」と評されたけど、頑丈なカメラという証でもあった。

TOPCON R

 マウントは当時のユニバーサルマウント的な Exaktaマウントであるが、シャッターボタンの位置が Exakta とは逆側なので、プリセットアームが付いたレンズを装着する場合はトプコン用レンズとエキザクタ用レンズとで、その機能が使えないし邪魔になってしまう。
 
 トプコンの標準レンズにはカメラのシャッターボタンに被さるプリセットアームがあり、撮影時にアームのシャッターボタンを押し込む事で予めチャージされた絞りが所定絞り値まで瞬時に駆動し、更に押し込む事でカメラ側のシャッターシステムが動作する仕組みだった。 レンズの絞り込み駆動とカメラのレリーズ駆動に対するシャッターボタンのストローク位置がなかなか絶妙である。 とはいえ、レンズが絞られてファインダーが暗くなってからシャッターが動作するまでには大きなタイムラグがある。
 
 このプリセット絞り駆動方式はレリーズ後も絞り込まれた状態なのでファインダーが暗いままとなるのが欠点で、1959年頃にプリセットチャージ方式を止めてレンズ側シャッターボタンのストローク動作で絞りを実駆動させる方式に改められたが、シャッターボタンが重いという弊害もあった。 このストローク実絞りレンズは主にアメリカで販売された様で、1960年に完全自動絞りの TOPCON RⅡ(Automatic TOPCON R)が発売された事もあり、ストローク絞りタイプのレンズは少ないと思われる。
 
 フィルムカウンターは順算式だけど、裏蓋に連動した自動リセット式ではないので、フィルムを装填したら手動でゼロリセットする必要があるのでチョット面倒だ。
 
 シャッターダイヤルはレリーズで回転する方式になっていて、シャッター速度の変更はシャッターダイヤルを引き上げて速度を選択する。 倍数系列にはなっているけど等間隔にはなっていない旧式タイプである。 シャッター速度ダイヤル上面で設定出来るのはB・X・高速シャッターだけで、1/30~1秒の低速側はシャッターダイヤル基部の低速シャッターノブで設定する。 2軸式よりは良いけどやはり設定が面倒だ。
 
 ペンタプリズムは交換式で後ろにスライドさせて脱着するタイプで、ウェストレベルファインダーなどが用意されていた。 ファインダースクリーンには日本製カメラで初めてスプリットイメージが採用されたが、交換式スクリーンではなかった。

交換レンズ

Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm 構成図
Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm
 標準レンズは5群6枚構成の拡張ダブルガウス型を採用した Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm で、当時は最も優れた標準レンズの一つだった。 このレンズは後の RE,Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm でも同じ構成で生産されている。
 プリセットアームが付いた他の交換レンズには Auto-Topcor 1:2.8 f=3.5cm(レリーズボタン:緑色) や Auto-Topcor 1:2.8 f=10cm(レリーズボタン:金色) が用意されていた。 また、プリセットアームがない通常のプリセット絞りのレンズも用意されていて、R Topcor 1:2 f=13.5cm という驚愕の明るさを誇る望遠レンズは当時で¥70,800円という高額商品だった。 ちなみに、当時の TOPCON R の価格は¥56,000円で、当時の大卒初任給が¥12,000円ほどなのを考えると超高額商品だったことは確かだ。
 
Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm
Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm 絞り:F1.8 SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/6400s
絞り:F1.8
Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm 絞り:F2.8 SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/800s
絞り:F2.8
Auto-Topcor 1:1.8 f=5.8cm 絞り:F1.8 SONY ILCE-9 ISO:100 Tv:1/500s
絞り:F2.8
 RE,Auto-Topcorとレンズ構成が同じなので写りもほぼ同じで、なかなかイイ感じの描写をしてくれる。 後ボケが多少煩いのはトプコールの特徴だけど解像感のある描写で、この時代にしては良く写るレンズだと思う。 前玉面が鏡筒先端から奥まった位置にあるのでフードが無くてもある程度のハレ切れ対応になっている。
 プリセット絞りが駆動する時の反動で絞り環が動いてしまう対策として、絞り環に1段ごとのロックがあるのが面倒だし、デジカメに装着して遊ぶにはプリセットアームが邪魔になるのが残念だ。

あとがき

 トプコンはExaktaマウントを採用してしまったために、その後のトプコン製カメラでは自動絞りレバーや絞り値伝達レバーなどの独自建増しがあったり、絞り環の回転方向が変更されたりと Exaktaマウントである意味が殆どなくなっていった。 また、小さいマウント径が後の明るいレンズ設計の障害になっただろうと想像している。 1963年に発売された TOPCON RE Super で世界初のTTL開放測光を実現し、海軍の日本光学に対して陸軍の東京光学たる技術力の高さを示したが、製品のセールス面では振るわず1978年発売の中級機「TOPCON RM300」を最後に35ミリ一眼レフ市場から撤退した。
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