YASHICA ML 50mm F1.4 - とみおか

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YASHICA ML 50mm 1:1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4
 ヤシカ/コンタックス用の明るい標準レンズで、恐らく富岡光学製のレンズである。 ヤシカ/コンタックス用のレンズは Carl Zeiss ブランドと YASHICA ML ブランドのレンズがあった。 Carl Zeiss ブランドは新生 CONTAX シリーズ向けの誰もが憧れる高級レンズ群で、YASHICA ML ブランドは主に YASHICA FR シリーズカメラ用の普及価格帯レンズ群だった。 勿論、両ブランドともヤシカ/コンタックスマウントなので互換性がある。

YASHICA ML 50mm 1:1.4 - 1977年発売

 1975年に発売された Carl Zeiss ブランドのレンズ群は1985年にMM(Multi Mode)仕様に変更されて自動露出はシャッター速度優先やプログラムモードなどが使える様になった。 一方、1977年発売の YASHICA FR 用交換レンズ群として登場した YASHICA ML ブランドのレンズはAE(Auto Exposure)仕様のみで自動露出は絞り優先しか使えない。

レンズ構成

YASHICA ML 50mm 1:1.4 レンズ構成
レンズ構成
 6群7枚構成の拡張ダブルガウス型で、後群に凸レンズを1枚追加したタイプである。 Carl Zeiss ブランドには Planar 50mm F1.4 T* があり、レンズ構成は同じ6群7枚構成の拡張ダブルガウス型だけど各レンズのパワー配置はかなり異なるので設計思想の差が表れているのだろう。
 重量は295gと比較的軽いけど、Planar 50mm F1.4 T* の275gより少しだけ重い。 また、最短撮影距離は0.5mなのでもう少し寄りたいと感じる事がある。
 このレンズは後期型のMLレンズで、前期型の外観意匠はM42マウントの AUTO YASHINON DS-M 50mm F1.4 に近い外観だと思う。 なお、富岡光学製の 50mm F1.4 レンズにも酸化トリウム含有硝材を使ったレンズがあったと伝えられているけど、僕の ML 50mm F1.4 は全く黄変しない。 酸化トリウム含有硝材の使用は1960年代の製品で、MLになる前のYASHINON DS-M時代に硝材変更・設計変更が行われていたのだろう。

描写特性

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。

YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
絞り:F1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2
絞り:F2
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2.8
絞り:F2.8
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F5.6
絞り:F5.6
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F8
絞り:F8
 F1.4開放では収差フレアによりベール越しの様な描写となり、画面隅では画像がぼやけている。 F2に絞ると画面中央の収差フレアは消えるけど画面周辺には収差フレアが残っていて、画面隅のぼやけは少し良くなる程度だ。 F2.8まで絞ると画面周辺の収差フレアは少なくなるが、画面隅のぼやけは残っている。 F4まで絞ると画面極四隅以外は良い描写となる。 また、素敵な周辺光量落ちがあり、F4で殆ど判らなくなりF5.6で解消する。
 銀塩時代にはもっと良いレンズだった気がしていたけど、デジタルで画面の隅々まで観察すると『何だかなぁ...』と思ってしまう。

夜景描写

YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
絞り:F1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2
絞り:F2
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2.8
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
絞り:F1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 F1.4開放では輝点に盛大な収差フレアがあり、画面周辺では円周方向に伸びるサジタルコマフレアがある。 F2に絞ると画面中央の収差フレアが激減するけど、画面周辺のサジタルコマフレアも少なくなるが画面隅のサジタルコマフレアはあまり変わらない。 F2.8に絞ると点像が点像っぽく見える様になり、F4に絞れば画面周辺の点像も先鋭化してくる。
 絞り開放での玉ボケ具合は悪くないがエッジが立ち気味だ。 絞り開放以外は8角形ボケになり、F4まで絞ると画面全域で形の揃った8角形ボケになる。

一般撮影

 記載の絞り値は記憶に頼っているので間違っているかも知れません。 また、RAW現像時にDレンジオプティマイザーをオフにしてオートホワイトバランスで現像しています。

YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
絞り:F1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F8
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F5.6
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
絞り:F1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
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YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F2.8
絞り:F2.8
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F1.4
絞り:F1.4
YASHICA ML 50mm 1:1.4 絞り:F8
絞り:F8
 F1.4開放ではフレアっぽい描写で、画面周辺ほどサジタルコマフレアにより解像感が徐々に低下する。 ただし、光線具合によってはフレアっぽさが目立たないシーンもある。 絞りをF2にすると画面中央のフレアは消えるけど、画面周辺のコマフレアは残っているけど風景や遠景でなければ気にならない。 F2.8にすると画面周辺でも使える描写となり、F4以上に絞れば画面隅でも良い描写になるので遠景や風景でも使える。 なお、ニュートラルな発色なのでオートホワイトバランスが想定通りに働いてくれる様だ。

純正角型フード
純正角型フード
 逆光には弱く、太陽を画面に入れると盛大にゴーストや逆光フレアが現れる。 絞り開放で太陽を入れ込む場所を選べば映画「未知との遭遇」の様な綺麗で派手なゴーストを楽しめる。 これらのゴースト・逆光フレアはオールドレンズならではの楽しみで、最新のレンズでは得られない。 ただし、この素敵なゴーストを有効活用するには朝夕の時間帯でないと具合よく太陽を入れ込むのが難しい。 また、画面内に太陽を入れなくても前玉を陽光が照らす状況だとスジの様な嫌なゴースト・逆光フレアが写り込むので、通常はフードを装着した方が良い。 ちなみに、ML 50mm F1.4 のフードは内径Φ54mmでクランプオン式の金属製角型フードである。

あとがき

 このレンズは YASHICA FR I 用に追加購入したレンズだけど、 FR I のキットレンズだった ML 50mm F1.7 の方が画面周辺描写は良かった気がする。 Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 T* は持っていないので比較は出来ないけど、画面隅部の描写に目を瞑れば悪いレンズではないと思う。 でも、残念ながらF1.4の標準レンズなら PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm の方が僕好みのレンズだ。

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