CANON FD 28mm F2 S.S.C. - 普通に写るオールド広角レンズだけど...

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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C.
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C.
 このレンズは近距離撮影時における像の劣化を防ぐフローティングシステム(近距離補正機構)が組み込まれているので、無限遠から最短撮影距離まで画面周辺の劣化が少ないと謳われている。 実は28mmという焦点距離は苦手だったのでこのレンズは使い込まなかった為に随分と綺麗な外観だ。

CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. - 1975年発売

レンズ構成

CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. レンズ構成
レンズ構成
 8群9枚構成のレトロフォーカス型で、最初からS.S.C.仕様で発売された。 最短撮影距離は0.3mで、この時の撮影倍率は約0.14倍なのでそこそこ寄れるけど、0.2m位まで寄れたら嬉しかった。 絞り羽根枚数は8枚で、フィルター径はFDレンズ標準のΦ55mmである。 重量は343gなので軽いわけではないが、往年の重いカメラと組み合わせると適度な重量感という感じだ。
 このレンズには近距離補正機構が搭載されていて、近距離でも光学性能が低下しない設計になっている。 多分、距離環の操作に対してレンズ全長に変化は無いので、先頭の第1~3レンズ群は固定で、第4~9レンズ群を内部で繰り出すインナーフォーカス式の様だ...知らんけど。

フードの補修(金属製フード)

 バヨネット式脱着のキヤノン純正フードはバヨネット溝の樹脂片が劣化してボロボロになり、装着時の圧入感が無くなってスカスカになってしまう。 この状態では簡単に脱落するので補修しておいた。 金属製フードは3本のネジを外せば簡単にバヨネット部をバラすことが出来るので、劣化した樹脂片を除去・清掃して切り出した樹脂片に交換すれば良い。 樹脂片の厚み両面テープで貼るなら1mmで丁度良く、硬過ぎず柔らか過ぎない塩ビ系の樹脂が良さそうだ。

フードの補修:分解して劣化した樹脂片を入れ換える
フードの補修
 ちなみに純正バヨネット式フードは3本爪だけど、右に回しても左に回しても圧入される様に、圧入用の樹脂片は6個装着されている。 試してみると、硬めの樹脂片なら1か所だけのバヨネット穴の左右に樹脂片を入れるだけ(樹脂片は2個だけ使用)でも圧入感が復活する。 なお、樹脂製の純正フードは金属製フードの様にバヨネット部をバラすことが出来ないので、溝の奥にある劣化した樹脂片を綺麗にかき出してから、切り出した樹脂片を詰め込む必要がある。 なお、今回は28mmレンズ用の BW-55-B を補修したけど、BS--55 や BT-55 でも補修方法は同じで、金属製の BT-55 は片側回転装着タイプで樹脂片は3個だった。

描写性能

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
絞り:F2
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F4
絞り:F4
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F5.6
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F8
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F11
絞り:F11
 絞り開放の画面中央は少しフレアっぽく、画面周辺程フレアが酷くなる。 F2.8に絞ると画面中央は良い描写になるが、画面周辺は隅部にかけてフレアが残っていtる。 F4に絞ると画面四隅も良い描写となるが、この個体には画面左右で若干の片ボケがあるので右隅は少しボケた感じだ。 F5.6に絞ると画面隅でも充分な描写となるが、やはり片ボケの影響で画面右側の隅はボケている。 銀塩時代には片ボケは感じなかったけど、デジタルで拡大して観ると判っちゃうんだよねぇ。

一般描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオンにして現像しています。
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F11
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F5.6
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F5.6
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2.8
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F4
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
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CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
絞り:F2
CANON FD 28mm 1:2 S.S.C. 絞り:F2
絞り:F2
 絞り開放でも画面中央付近はフレア感は少な目で、画面周辺に行くほどフレアが多くなるが、屋外の一般撮影では立体物が多いので、画面周辺のピントが合っていない部分にはフレア感が判らなくなる。 主被写体を画面周辺に置いた場合でも合焦部はそれなりの描写なので、風景写真でなければ絞り開放でも...使える。 絞り込めば画面全域でシャープな描写になるのは当然だけど、開放付近で片ボケが影響しているのだと思う。

あとがき

 当時の明るい広角レンズとしては悪くないと思う。 後ボケにリングボケ傾向があるけど画面周辺でもリングが揃っているのと、意外とボケ像が嫌らしくないので気にせず楽しく撮れる。 銀塩時代には気にならなかったけど、この個体には片ボケがあるので本来の描写性能を発揮していないと思われる。 前群系を止めている3本ネジに極薄ワッシャを挿入すれば調整出来ると思うけど、最適なワッシャ厚を見つけるまでが面倒なのよぉ。 そのうち片ボケ調整して画面全域のバランスを取ってみようと思う。
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