Carl Zeiss Makro-Planar 60mm F2.8 T* AEJ - オールラウンダー

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Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ
 ヤシカ/コンタックス用の等倍標準マクロレンズで、Carl Zeiss ブランドだけどこの個体は日本製である。

Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* - 1975年発売

 1975年に発売された CONTAX RTS 用の Carl Zeiss ブランドのレンズで、自動露出は絞り優先しか使えないAE型である。 このレンズには S-Planar という名称と Macro-Planar という名称のレンズが存在する。 S-Planar はドイツで製造されたレンズだったらしく、「S」は特殊レンズをあらわしている。 日本で製造される様になってからは Macro-Planar と標記される様になったらしい。 HASSELBLAD のレンズも昔は S-Planar だったが終末期には Macro-Planar になっていた。

レンズ構成

Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ レンズ構成
レンズ構成
 4群6枚構成のダブルガウス型で、無限遠から0.24mまでピントを合わせられる等倍マクロレンズである。 ハーフマクロ仕様だけど、YASHICA ML MACRO 55mm F2.8 も4群6枚のダブルガウス型だった。 普通は等倍までの接写は必要ないのでハーフマクロになった Makro-Planar 60mm F2.8 の後期型や、より小型・軽量な ML MACRO 55mm F2.8 の方が扱い易いかも知れない。 なお、光学レンズ本体は鏡筒の奥にあるのでフードは必要ない。 ちなみに、1980年に5群6枚構成の変形ダブルガウス型を採用してハーフマクロ仕様の Ai Micro-NIKKOR 55mm 1:2.8 を発売している。

ヘリコイドを630°回して最大繰り出しにした状態
最大繰り出し状態
 本レンズは 60mm F2.8 というスペックにしては大きく重い(570g)レンズになっているのは等倍まで繰り出すヘリコイドが大型であるからだ。 ヘリコイドは一周を越えて回る構造で、その回転角は630°もある。 ヘリコイドの回転角が大きいことで、等倍マクロレンズにありがちな高い距離環敏感度が抑えら、比較的ピント合わせは楽だ。
 このレンズは生産途中で構造変更が行われていて、初期モデルには凝った構造の内面反射防止が簡素化されていたり、黒色だったマウントが銀色マウントに変更されたりしている。 この個体は銀色マウントなので、日本で製造された前期型の最終モデルだと思う。 なお、1992年に光学系はそのままでMM化されると共にハーフマクロ仕様へと大きく変更された後期型が発売された。

描写特性

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。

Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F4
絞り:F4
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F8
絞り:F8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F11
絞り:F11
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F16
絞り:F16
 F2.8開放ではフレア感は無いけど柔らかめの描写で切れる様なシャープさはない。 F4に絞ると画面中央付近はシャープな描写になるが、画面周辺は少し柔らかさが残っている。 F5.6まで絞ると画面全域でシャープな描写となる。
 なお、F11まで絞ると回折の影響が出始め、F16ではぼやけが判る様になる。 また、周辺光量落ちはF4で目立たなくなりF5.6だと判らなくなる。

夜景描写

Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F4
絞り:F4
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F4
絞り:F4
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 F2.8開放の画面中央はフレアもなく良い描写で、画面周辺ではコマフレアにより夜景描写には適さない。 F2.8に絞ると画面中央は素晴らしい夜景描写となり、画面隅の夜景描写も向上するがコマフレアは残っている。 F4に絞ると画面隅も夜景にも使える描写になり、F5.6に絞ると画面全域で充分な夜景描写となる。
 絞り開放での玉ボケは画面周辺でレモン型になるけど輪郭のエッジは穏やかで良いボケ味が期待できる。 絞りF4では風車の様な玉ボケになるが、絞りF5.6では六角形ボケになる。

一般撮影

 記載の絞り値は記憶に頼っているので間違っているかも知れません。 また、RAW現像時にDレンジオプティマイザーをオフにしてオートホワイトバランスで現像しています。

Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F4
絞り:F4
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F4
絞り:F4
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F8
絞り:F8?
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F11
絞り:F11
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F8
絞り:F8
Carl Zeiss Makro-Planar 1:2.8 f=60mm T* AEJ 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 F2.8開放では少しフレアっぽく感じるシーンもあるけど、硬過ぎないポートレート向きの描写だ。 また、暗部つぶれ気味になるのはコントラストが高いことの証だろう。 絞り値は開放から小絞りまで深度のコントロールに使えば良く、開放絞りから安心して使えるレンズだ。 なお、小デフォーカス時の後ボケが少し騒がしい場合もあるけど、ボケ味は全般的にスムースで良好だし、近寄れば大きな背景ボケを作り易い。

 画面に太陽を入れ込むとゴーストが発生してくれるけど、迫力のないゴーストだ。 また、T*コーティングのお陰なのか逆光フレアやハレーションも少なくオールドレンズとしては非常に優秀だ。 内面反射対策が厳重だった最初期型レンズなら逆光フレアやハレーションがもっと少ないのかも知れない。

 また、コントラストが高いため色乗りがとても良く、発色はニュートラルに近いのでカメラのオートホワイトバランスが適切に働いてくれる様だ。 なお、今回の写真ではDレンジオプティマイザーはオフで現像しているが、オンにすれば暗部が潰れ気味になるのを軽減できる。 ただし、絞り開放でのイイ感じの周辺光量落ちも軽減されてしまう。

あとがき

CONTAX用 Carl Zeiss のレンズ達
Carl Zeiss Lenses
 マクロレンズなのにキレキレの高解像化ではなく、コントラストを重視したボケが美しいレンズを目指した様に思える。 ちょっと大きく重いレンズだけど普通にぶら提げられる範疇なので、マクロレンズが好物な年寄りにとっては徘徊用レンズにぴったりだ。 風による被写体の前後ブレや自身の前後ふらつきなどは防げないけど、ピントを合わせ易いレンズなので楽しく撮影できる。
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