ASAHI OPT. smc PENTAX-FA 35mm F2 AL - 侮れない描写性能

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smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL
 このレンズは前世紀のレンズだけどオールドレンズという感じでない。 迷ったけど、smc PENTAX-D FA 1:2.8 50mm MACRO をオールドレンズに分類しちゃったので、これもオールドレンズにしてしまった。

smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL - 1999年発売

 旭光学の「35mm F2」は1963年に発売された Super-Takumar 1:2/35 が始まりで、レンズ構成の変更やSMC化やマウント変更などを経て多数の製品が発売されてきた。 このレンズはハイブリッド非球面レンズを用いる事で、たった6枚のレンズ構成で 35mm F2 の仕様を実現した。 ちなみに、Schneider-Kreuznach へもOEM供給され、D-XENOGON 1:2 35mm AL という名称で販売されていたので高いコストパフォーマンスが認められたレンズだった。

レンズ構成

smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL レンズ構成
レンズ構成
 5群6枚構成のレトロフォーカス型で、ベッツバーツ型レンズの前後を凹レンズと凸レンズで挟んだ様になっている。 別の見方をすれば、ダブルガウス型レンズの先頭凸レンズを凹レンズに変更してバックフォーカスを伸ばしているとも言える。
 いずれにしても、従来は7~8枚構成だった 35mm F2 という仕様をたった6枚で構成しているので、ぱっと見では開放F2の画面周辺描写が悪そうだけど、最終レンズをハイブリッド非球面レンズとする事で周辺描写を改善している様だ。
 このレンズ鏡筒はプラスチックでチープ感全開なのが残念だし、ボディー駆動方式のオートフォーカスに対応していてオートフォーカス時に距離環が連動して回転してしまう。 そのため、鏡筒先端にある短いゴム巻き距離環の感触も良くはない。 なお、最短撮影距離は0.3m(0.17倍)まで寄れるので一般撮影なら問題ないけど、もうちょっと寄りたいと思う事はある。 また、付属フードはPLフィルター用の操作穴が付いたバヨネットタイプで逆付け収納ができる。

描写特性

遠景描写

smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited 絞り:F1.9
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited 絞り:F4
絞り:F4
smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited 絞り:F8
絞り:F8
smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited 絞り:F11
絞り:F11
 F2開放でもフレア感が少なく画面中央はなかなか良い描写で、画面隅では解像感が低下するけど画面周辺の描写はしっかりしている。 F2.8に絞ると画面中央は素晴らしい描写となり、画面隅の描写も向上する。 F4に絞ると画面極四隅以外は充分な描写で、F5.6に絞ると画面全域で素晴らしい描写となる。 なだらかで素敵な周辺光量落ちがあるけど、絞りF4で殆ど判らなくなってしまう。
 風景などの遠景で画面極四隅までシャープに写すならF5.6まで絞った方が良いけど、身近な撮影なら絞り開放でも充分使える。

夜景描写

smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F4
絞り:F4
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 F2開放の画面中央はフレアもなく良い描写で、画面周辺ではコマフレアにより夜景描写には適さない。 F2.8に絞ると画面中央は素晴らしい夜景描写となり、画面隅の夜景描写も向上するがコマフレアは残っている。 F4に絞ると画面隅も夜景にも使える描写になり、F5.6に絞ると画面全域で充分な夜景描写となる。
 絞り開放での玉ボケは画面周辺でレモン型になるけど輪郭のエッジは穏やかで良いボケ味が期待できる。 絞りF2.8では六角形ボケになるが角ばった印象は少ない。 絞りF4だと画面全域で揃った六角形ボケになる。

一般撮影

 記載の絞り値は記憶に頼っているので間違っているかも知れません。 また、「CloseUp」や「ヘリコイド併用」と記載している写真は「多分」ヘリコイドアダプターを繰り出して最短撮影距離以上に寄って撮影している事を記しています。

smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F8
絞り:F8
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F8
絞り:F8
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-FA 1:2 35mm AL 絞り:F2
絞り:F2
 絞り開放では画面四隅の解像が悪いけど充分に良い描写だ。 F5.6まで絞れば遠景でも画面全域で問題なく使用できる。 露出条件によっては周辺光量落ちが判るけど、嫌らしい感じではないので素敵な効果として利用できる。
 絞り開放では小デフォーカスの後ボケに若干の二線ボケ傾向があるけどあまり気にならないし、総合的なボケ味は良いレンズだ。 発色も良いし、ゴースト・逆光フレアがとても少ないのはレンズ枚数が少ないお陰かもしれない。 鏡筒のチープ感に反して描写は侮れないレンズだ。

あとがき

 このレンズを購入して星像でチェックしたところ、若干の片ボケがあると感じた。 微妙にピントを変えながら確認すると像面がほんの少しだけ傾いている様なので、マウント取り付けネジの1本にワッシャーを挟んでみたところ少しは改善された。 通常の撮影では問題にならない程度の片ボケだけど、その原因は判らない。

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