CANON NewFD 50mm F1.8 - 優秀なオールド標準レンズ

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CANON NewFD 50mm 1:1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8
 キヤノンの一眼レフ用 50mm F1.8 レンズは1959年の R 50mm F1.8Ⅰ型が始まりで、改良版・マウント変更を含めて、実に多くの 50mm F1.8 が存在した。 この NewFD 50mm F1.8 はFDのスピゴットマウントのままワンタッチ脱着を可能にしたレンズである。

CANON NewFD 50mm 1:1.8 - 1979年発売

 この CANON NewFD 50mm F1.8 は Canon AE-1 のセットレンズで、妻(正確には妻の父)のカメラだった。 ちなみに、カメラのロゴは「Canon」だけど、レンズの銘板は「CANON」なので、記事タイトルでは使い分けています。

レンズ構成

CANON FD 50mm F1.8 S.C. レンズ構成
レンズ構成
 レンズ構成は4群6枚の典型的なダブルガウス型で、実際の構成が判らないので FD 50mm F1.8 S.C. のもの(と思われる)を載せておいた。 実際にこれと同じかは判らないけど、当たらずとも遠からずだろう。
 NewFDはスピゴットマウントのまま、レンズのリングを回して締め付ける代わりに、レンズ外装がリングの役目を果たし、レンズ内部のマウント部分が回転する様になっている。 このため、通常のバヨネットマウントの様にレンズ本体を回して脱着する事が可能となった。

 NewFDになってからフィルター径がΦ55mm→Φ52mmとなり、エンプラを多用することで重量が255g→170gへと軽量化されると同時に高級感も軽減されている。 一方、最短撮影距離は0.6mのままなのがチョット残念だった。 また、絞り羽根は6枚→5枚に簡素化され、絞った時の輝点回折スパイクは6本から10本になった。 輝点回折スパイクの本数は好みが別れるところだろう。 なお、NewFDの殆どは小絞り側が拡張されていて、50mmF1.8はF16からF22に拡張されている。

 距離環に連動ピンが付いていないのでCATシステムには対応していない。 1971年の Canon F-1 発売時に『向こう10年間は不変です』と開発放棄宣言していたのに、10年経たずにCATシステムを捨てたのは約束違反だ。 もっともCATシステムなんて使わないけどね。

マウント部の違い

旧FD と NewFD のマウント部の違い
旧FD と NewFD
 旧FDではレンズの締め付けリングを回すことでカメラ側のマウント爪を銜えこむ構造で、締め付けリングを締め付け方向に回すことで退避位置(開放位置)にあった絞り値伝達レバーが設定絞り値に戻る仕組みだったけど、NewFDではスピゴットマウントのまま、レンズ外装がリングの役目を果たし、レンズマウント内部の部材は外装と独立して回転(カメラに対しては静態)する構造になっている。 これにより、普通のバヨネットマウントみたいにレンズ本体を回して脱着する事が可能となり、レンズを落っことす危険が減った。 また、レンズを装着したらロックされる様になり、レンズ側のロック解除ボタンを押さなければ外す事が出来なくなった。

描写特性

遠景描写

 以下の写真はカメラのホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして撮影したカメラJPEG画像です。

FD 50mm 1:1.8 S.C. 前期型
CANON FD 50mm 1:1.8 S.C. 前期型 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON FD 50mm 1:1.8 S.C. 前期型 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON FD 50mm 1:1.8 S.C. 前期型 絞り:F4
絞り:F4

New FD 50mm 1:1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F4
絞り:F4
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F8
絞り:F8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F11
絞り:F11
 遠景の絞り開放では少しソフトな描写で、F2.8に絞ると画面中央はシャープで素晴らしい描写になり、画面周辺の描写も向上する。 F4に絞ると画面周辺も良い描写になり、F5.6だと画面隅の描写もシャープで素晴らしい描写になる。 F16まで絞ると回折ボケが判る様になり、F22では回折ボケの影響がハッキリ判る。
 また、多めの周辺光量落ちは旧FDと同じ特性で、急に落ち込むタイプに近いけど効果として使えるだろう。 絞りF4では極4隅に周辺光量落ちが残っているけど、絞りF5.6で全く判らなくなる。

 NewFDの描写特性は旧製品である FD 50mm F1.8 S.C. より向上している。 絞り開放の中央付近でもNewFDの方が良い描写だし、画面周辺や隅部はNewFDの方が格段に良い描写で、全体的なコントラストもNewFDの方が良いと思う。 NewFDでは何らかの光学的な設計変更が行われたと思われる。

一般描写

 以下の写真はカメラをオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして撮影したカメラJPEG画像です。 なお、記載の絞り値はボケ老人の「記憶」に頼っているので間違っているかも知れません。
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F2.3
絞り:F2.3
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON NewFD 50mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
 開放絞りでは飽和しそうなハイライト部にフレアが発生してソフトフォーカスレンズの様な描写になるけど、光線具合によってはスッキリした良い描写にもなる。
 後ボケは妙なボケ方をすることなくスムースにボケてくれるので、背景が煩くなることは少ない。 デフォーカスが中庸な背景ぼけがリングボケっぽくなるけど、ザワザワする事は無い。 近距離での極小さな前ボケはリングボケとなり、多数の小さなリングが重なる様子は少し奇妙に感じるシーンもある...拡大して観察したらだけど。

 また、発色はキヤノンFDレンズ通りで色乗りも良く、FD 50mm 1:1.8 S.C. よりクリアになった感じがするのはコーティングの違いなのかも知れない。

 NewFDの方が明らかに描写性能が良くなっているけど、オールドレンズというより現代的な写りに近づいている。 ただ、道具としての満足感が低くなったのは残念だ。 とはいえ、絞りを開放にしても大崩れしないし、少し絞れば何でも無難に撮影できる優秀な標準レンズだと思う。

あとがき

 キヤノン製一眼レフ用 50mm F1.8 レンズが、1959年の発売当時からず~っと同じ光学系だったかどうかはは判らないけど、CANON NewFD 50mm F1.8 は1979年発売なので何度か設計変更が施されてきたと想像するし、FD 50mm F1.8 S.C. 前期型 より描写性能が良くなっている。 このレンズで残念なのは最短撮影距離が0.6mと遠いままだった事で、FD 50mm F1.4 並みに0.45mだったら便利だった。

 そぉいえば、FD時代のエクステンションチューブやエクステンダーは NewFD 化されなかったと記憶している。 脱着時に回転する外装に対してマウント部の臓物は回転しないので、中間リング的なものを NewFD 化するのは無理があったのだろう。 NewFDレンズはあまり持っていないので、別にイイんだけどね。
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