CANON FD 80-200mm F4 S.S.C.

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CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C.
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C.
 このレンズ以前のキヤノンの望遠ズームは FD 100-200mm 1:5.6 が投入されていたが、ニコンの Zoom-Nikkor Auto 1:4.5 f=80mm~f=200mm に対してスペック的に劣っていた。 ニコンと同等以上を目指して頑張った製品が FD 80-200mm 1:4 S.S.C. だったのだろう。

CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. - 1976年発売

レンズ構成

CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. レンズ構成
レンズ構成
 11群15枚構成の古典的な望遠系4群ズームで、ズーム比は2.5倍である。 当時の一般的な望遠ズームレンズとほぼ同じスペックだけど、先行していたニコンの直進ズーム操作式に対してキヤノンは独立ズームリング操作式だったので、好みは判れるところだろう。 個人的には指の持ち換えが不要な直進ズーム操作式の方が好きだったけど、直進のズームトルクが緩いレンズをテレ側で撮影した後にそのままぶら提げると、ズームがワイド端に「スッコーン」と落ちてしまうレンズもあるので困りものだ。 その点、独立ズームリング操作式なら安心して使用できる。 なお、ズームリングには金属のポッチが付いていて、左手親指の指掛かりになる。 2リング式ズームなので仕方ないけど、外装デザインが竹筒のようでカッコ良いとは言えない。

 フォーカシングは前群繰出し方式だけど、最短撮影距離がズーム全域で1mまで短縮されている。 FD 200mm F4 S.S.C. の最短撮影距離が2.5mだったので大きなアドバンテージがあり、テレ端であれば撮影倍率が0.4倍なので、望遠マクロ的な使い方が出来て便利だった。 前群繰り出し方式は周辺光量の関係から繰出し量が制限されるが、最短撮影距離が1mという事は前群のパワーを強くして繰出し量が少なくて済む様に工夫したのだろう。 テレ側でのフォーカス敏感度は丁度良いけど、ワイド端では許容範囲だが低いと感じる。

 フィルター径はΦ55mmで、他の一般的なFDレンズ群と共用でき、前玉繰り出し方式だけどフィルター枠は回転しないので、PLフィルターの使用にも支障はない。

 重量は750gなので軽くは無いけれど、200mmなりの長さがあるので手持ち撮影する場合はバランスが良かった。 また、スカスカになり易いけど内面が植毛風に処理された内蔵フードが装備されていて、前枠のバヨネットにBT-55フードを装着するより内蔵フードの方が効果がありそうだ。

描写特性

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。

焦点距離:80mm
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F4
絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F8
絞り:F8
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F11
絞り:F11
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F16
絞り:F16
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F22
絞り:F22
 絞り開放では少しソフトな描写だけど、画面全域で均質な描写は好感が持てる。 F5.6に絞ると充分良い描写となり、F8では素晴らしい描写だ。 F22まで絞ると回折の影響でぼやけ始める。
 また、周辺光量落ちは目立たないが、F11で解消されるまでジワジワと周辺光量が上がって行く。

焦点距離:135mm
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F4
絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F8
絞り:F8
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F11
絞り:F11
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F16
絞り:F16
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F22
絞り:F22
 絞り開放では少し柔らかい描写だけど、画面全域で均質な描写だ。 F5.6に絞ると充分良い描写となる。 F8に絞ると切れる様なシャープ感はないけどで素晴らしい描写になる。 F22まで絞ると回折の影響でぼやけ始める。
 また、周辺光量落ちは目立たないが、F11で解消されるまでジワジワと周辺光量が上がって行く。

焦点距離:200mm
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F8
絞り:F8
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F11
絞り:F11
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F16
絞り:F16
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F22
絞り:F22
 やはり絞り開放では画面全域で少し柔らかい描写で、画面周辺から隅にかけて倍率色収差感がある。 F5.6に絞ると充分良い描写となる。 F8に絞ると素晴らしい描写となるが、倍率色収差感は消える事は無い。 F16より絞ると回折の影響でぼやけ始める。
 また、周辺光量落ちはあまり目立たないが、F11で解消されるまでジワジワと周辺光量が上がって行く。

一般描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオンにして現像しています。 なお、記載の焦点距離や絞り値はボケ老人の「記憶」に頼っているので間違っているかも知れません。 当然だけど、絞れば描写性能は向上するので、主に絞り開放で撮影しています。

CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F4
f=80mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F4
f=135mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F4
f=80mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F4
f=135mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F4
f=135mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F4
f=135mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F8
f=80mm 絞り:F8
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=200mm 絞り:F4
f=200mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F4
f=80mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=135mm 絞り:F4
f=135mm 絞り:F4
CANON FD 80-200mm 1:4 S.S.C. f=80mm 絞り:F4
f=80mm 絞り:F4

 開放値がF4と無理のない明るさなので、絞り開放でも悪くない描写で、画面中央は結構良い描写だ。 さすがに望遠端の開放では少し甘い描写となる場合があるけど充分に使える描写だと思う。

 ディストーションはワイド側で樽型でテレ側は糸巻型だけど、タイル張りの建物を正対して撮影しなければ全く気にならない。

 発色はFDレンズ群共通の派手過ぎない素直な発色なので、FDレンズを使っているならレンズ交換で気にする必要は無い。

 寄って写したくなる事が多いので、寄り足りない広角側より望遠側でテレマクロ的な撮影が多くなる。 望遠側ならワーキングディスタンスが取れて、草花などもちょっと大きめに映るので便利だ。 また、絞り開放の至近端は甘めだけど、悪くない描写をみせてくれる。

あとがき

 FD 80-200mm 1:4 S.S.C. はなかなか良い描写性能の望遠ズームだけど、テレ側の色収差は少し気になるところだ。 New FD時代の1985年に人口蛍石とUDレンズを使った New FD 80-200mm F4L が発売されたけど、安っぽい鏡筒なので触手は動かなかった。 また、80-200mm F4 という仕様は当時としては一般的な望遠ズームのスペックだったけど、1981年には Tokina AT-X 80-200mm F2.8 が発売され、1982年には Ai Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S が発売されて、明るい望遠ズームが普通になる時期が近付いていたけど、FDレンズやNew FDレンズで明るい望遠ズームが発売される事はなかった。
CONTAX AX + TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD
 この頃は各メーカーともαショックでそれどころじゃなかったと思うけど。 僕は各カメラ用にマウントが交換できる1985年発売の TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD(Model 30A)を入手して使っていた。 重さが1.3Kg以上あるし、1.5mまでしか寄れないし、思ったほど色収差が抑えられていないと感じたけど、AF時代になる前は直進ズームが断然使い易いし、マウント交換式なので便利に使っていた。 CONTAX AX と組み合わせればオートフォーカス撮影も可能だった。
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