HASSELBLAD 500C - 1957年発売 - 中版の覇者

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HASSELBLAD 500C + Planar 80mm
HASSELBLAD 500C + Planar C 80mm
 僕が若い頃はハッセルブラッドが憧れのカメラだった。 トッププロによる雑誌のグラビアや様々なシーンでハッセルブラッドによる作品が発表されていて、『プロならハッセル』『ハッセルを持ったらプロ』と言われる時代だった。 撮られるモデルもカメラ機材を見て撮影者のレベルを判断したとか...

HASSELBLAD 500C

HASSELBLAD 500C
HASSELBLAD 500C
 最初に発売されたハッセルのカメラは1949年発売の 1600F で、フォーカルプレーンシャッター式から始まったけど、全シャッター速度でストロボ同調させる要望(スタジオとかね)が強く、1957年に最高速1/500秒のレンズシャッター方式に変更した 500C シリーズが投入された。 僕がこのカメラを入手した時は既に 500C/M の時代だったけど『最も作りが良いのは 500C 後期型だ』と言われていたので、その教えに従ってわざわざ 500C を入手した。 ちなみに、レンズシャッターを採用した最初のハッセルは1954年に発売された一眼レフじゃない広角レンズ括り付けの HASSELBLAD SWA(Supreme Wide Angle)だった。

製造番号で製造年が判る
製造番号で製造年が判る
 僕の 500C は製造番号から500C/Mの発売年と同じ1970年製造のカメラなので、ほぼ最終ロットだと思われる。 半世紀を過ぎた今でも故障することなく元気に動き続けている。 なお、ハッセルのボディーとマガジンは製造番号の先頭アルファベット2桁から製造年が判り、アルファベットを次の対応表で数字に変換すればよい。
 例えば、本カメラの製造番号先頭2文字は「US」なので、変換すれば「70」となり、1970年製造という事が判る。
アルファベット文字 V H P I C T U R E S
対応変換数字 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0

巻き上げノブとクランク

巻き上げ部材も交換式 露出計付きノブを装着は
巻き上げ部材も交換式
 クランクで巻き上げる人が一般的だと思うけど、僕はノブによる巻き上げが好きなのだ。 恐らく、ノブ巻き上げ式の ROLLEICORD や HASSELBLAD 1000F に慣れていたせいだろう。 新しいハッセルではクランクを格納してノブ巻き上げ風に使える様になっているけど、この時代はクランク式かノブ式かを選択・交換する必要があった。
 セレン式露出計付きのノブ[54011]は意外と重宝したけど、メーター指針が横にあるので確認し難いという欠点もあった。 露出計ノブをフード上面に装着するアタッチメント[40266]もあり、これを使えばメーター指針を上から見ることが出来て使い易くなる。

交換式ファインダー

交換式ファインダー Waist Level / Prism Finder NC-2
交換式ファインダー
 ファインダーは交換式で標準装備のフォーカシングフード(ウェストレベルファインダー)の他にプリズムファインダーなども用意されていて、最新型までインターフェースが「ほぼ」同じだった。 この時代のフォーカシングフードはワンタッチで立ち上がるけど、畳むのは 左右の壁→後ろの壁→前面の蓋 という順番で指で押さえながら畳む必要があり面倒だった。 後の時代に後ろの壁を押せば簡単に畳むことが出来る様に改良された。
 プリズムファインダー NC-2[52027]を用いれば上下左右が正像になるので使い易くなるけど、ガラスの塊なので軽いハッセルが重くなってしまうのが難点だ。 また、この時代の武骨な容姿の露出計内蔵プリズムファインダー[52051]も存在したけど僕は持っていない。

500C後期型は左右のノッチを広げればスクリーンを交換できる
交換式スクリーン
 500C の後期型を選んだもう一つの理由はフォーカシングスクリーンが 500C/M と同様に簡単に交換できる事で、500C/M 以降の機種ともインターフェースが同じなので最新のアキュートマットスクリーンに交換すれば明るいファインダー像を実現できた。 スクリーンの交換はフィルムマガジンを外し、ファインダーを後ろ側へ引き抜いた状態で行う。 ボディー側のスクリーン部左右にスクリーン押さえラッチがあるので、これを広げればスクリーンを外す事ができる。 柔らかくて清潔なタオルの上などでカメラをひっくり返せばスクリーンが落ちて来る。 スクリーン交換後はラッチを元に戻してスクリーンを押さえておく。 なお、ラッチを元に戻さなくてもファインダーをスライドして装着すれば自動的に元に戻る。

交換式フィルムマガジン

交換式フィルムマガジン
交換式フィルムマガジン
 フィルムマガジンは120フィルム用と220フィルム用と70mm長尺フィルム用があった。 120フィルムで6x6cm版を12駒撮影する「A12」マガジンが一般的で、120フィルムで6x4.5cm版を撮影する「A16」マガジンや4x4cm版を撮影する「A16-S」マガジンを使う場合はファインダースクリーンにマスクを載せないと撮影範囲が判らない。 「A16」マガジンは120フィルムで16駒撮影できるという利点はあるけど、縦位置撮影する場合は泣きたくなるので持っていない。

フィルム装填はセミオートマット方式
フィルム装填
 フィルムマガジンは1000F時代より進化したセミオートマット方式となり、1000F時代の様にマガジン背面の蓋を開けて❝1❞を合わせる必要がなく、フィルム装填時にスタートマークを合わせて装填後、止まるまでマガジンのクランクで巻き上げれば自動的に1駒目がセットされる「Automatic」方式となった。 フィルム装填時にスタートマーク合わせが必要な方式をセミオートマット方式と呼んでいた。

 220フィルム用の「A24」マガジンは220フィルムで24駒の撮影が可能で、僕も持ってはいるけど120フィルムしか詰めた事が無い。 『A24マガジンに120フィルムを詰めたら裏紙分のピントがズレる』とデタラメを言う人がいるけど、既定のフィルム乳剤面位置に対して裏側から圧板で押しているだけなので乳剤面の位置は裏紙の有無には影響されないからピントの問題なんてないし、スタートマーク合わせで1駒目もちゃんと出ます。 ただし、大きな問題じゃないけど駒間隔がチョット多くなるのと、12駒撮影しても終了(巻き上げロック)にならないのでカウンターを確認してないとフィルムが終わってるのに撮ったつもりになっちゃう危険がある。 もちろん、個人の使用経験というだけで、A24マガジンで120フィルムの使用が保証されている訳ではない。

 長尺用の「70」マガジンは500EL/Mなどの電動巻き上げカメラや宇宙飛行士による宇宙撮影用だろうけど長尺フィルムは既に絶滅している。 「70」マガジンを実際に使った事は無いけど500EL/Mのセットとしてコレクション用に持ってはいる。

 なお、ハッセルのシステムはレリーズボタンを押すストロークがフィルムマガジンに伝わる様になっていて、フィルムマガジンに引きブタを入れたままではレリーズボタンを押せない様になっている。 レリーズボタンを押すストロークがフィルムマガジンに伝わればフィルムマガジン側のシグナル窓が未露光の白色から露光済みの赤色に変わる様になっていて、巻き上げ操作により白色に変わる。

ポラロイドマガジン 100型
ポラロイドマガジン 100型
 FP-100Cインスタントフィルムを使う「ポラロイドマガジン 100型」があったけど、開口部に光路長を合わせる為のガラス板があるのでキズやゴミが写り込むし、撮影された画質は露出確認・ライティング確認・構図確認など用でしかない。 それに、8.5×10.8cmの紙サイズなのに写真は6x6cmしかないので記念写真としても残念な雰囲気だ。
 また、僕が常用しているプリズムファインダーとは干渉して装着できないのが困りものだった。 既にFP-100Cの生産は終了しているけど、まだ冷蔵庫の中に数箱残っている。

 ちなみに、ハッセルのマガジンは遮光用マガジンスライドの差込口から光線漏れが発生し易いので、定期的にチェックして光が漏れそうならメンテナンスした方が良いだろう。 差込口の内側に黒モルトと薄い樹脂シートで遮光されているだけなので、モルトが劣化していたらアウトだし、スライドを斜めに挿入すると光線漏れが発生し易い。 また、薄い樹脂シートが破損している場合もあるので補修パーツは用意しておこう。

iPhone4Sを使ってデジタル撮影が出来る Hasselnuts
Hasselnuts
 それから、お遊びでなら「Hasselnuts」というiPhone4Sを使ってデジタル撮影が出来るマガジンが2014年頃に商品化された。 iPhoneがレリーズの振動を感知して(光検出併用だと思うけど)撮影してくれるもので、ハッセルの操作性のまま撮影が出来た。 ハッセルのレンズによってバックのスクリーンに投影された映像をiPhone4Sで撮影する方式なので、スクリーンの粒状が出ちゃうし周辺光量落ちが酷いけど、小さな写真なら見られる程度に写ってくれる。 困ったことに、iPhoneが不調になったので初期化してアプリを再ダウンロードしようと思ったら...App Storeから消えていた💦 専用アプリ「Hasselnuts App」を譲ってくれる人いませんかぁ?

ミラーボックス

ミラー比較 500C(左)と 1000F(右)
ミラー比較
 カメラボディーの大きさは HASSELBLAD 1000F と殆ど同じだけど、マウント内径が一回り大口径になっている。 また、フォーカルプレーンシャッター機構が無いので 1000F より軽いけど、その分レンズの重量が増している。
 マウント側からミラーボックスの見た目を比べると、ミラー下端位置の違いに気が付く。 1000F はしゃくり上げ方式を採用することで、装着レンズに干渉することなく主ミラー下端を伸ばす様に工夫されていたが、後継機種の 500C では回転軸固定のミラーとなったために長いミラーは使えない。 このため、焦点距離が長いレンズを装着するとミラー切れによりファインダー画面上側が暗くなる。 例えば、Sonnar C 150mm F4 でもファインダー画面上部が暗くなる事に気が付くだろう。

撮影操作

500C 説明書
500C 説明書
 Vシリーズのカメラはクイックリターンミラーじゃないので、レリーズするとミラーが上がりっ放しでファインダーが暗転したままとなる。 巻き上げ操作によりミラーが降りてきて(巻き上げの早い段階でミラーが降りる)ファインダー像が復帰する方式システムだった。 また、レリーズボタンから指を離すと遮光観音扉が閉じてしまうので、1秒とか1/2秒とかの長秒露出中はレンズシャッターの動作が終わるまでレリーズボタンを押しっ放しにする必要がある。 なお、シャッターボタン基部にはロック機構があり、レリーズ状態でロック可能なので、ケーブルレリーズが無くても長時間露光でレリーズボタンから手を離すことが出来る。

ミラーアップボタン
ミラーアップボタン
 また、カメラ右側面の巻き上げクランク部下方にミラーアップボタンがあり、このボタンを上へ押し上げると ミラーアップ・レンズシャッター閉・観音扉開 までのシーケンスが進み、レリーズボタンを押せばレンズシャッターの露光動作のみが行われる。 これによりミラーなどの動作による振動を防いだ露光動作が可能になる。 勿論、露光中はレリーズボタンを押したままにする必要があし、露光後はミラーがアップしたままでファインダーは真っ暗だ。 こんな旧態然としたシステムだと普通なら競合製品に淘汰されてしまうのだけど、カールツァイス製レンズが圧倒的な支持を得て中版一眼レフカメラの覇者となった。

Vマウント交換レンズ

Vマウント用 C レンズ 左から 50mm/F4 60mm/F4 80m/F2.8m 150mm/F4 120mm/F5.6
Vマウント用 C レンズ
 ハッセルのレンズ交換には守らなければならない作法があり、作法を破ると壊しちゃう原因となる。 ハッセルVマウントシステムは回転軸でレンズとボディーとを連動させる方式で、噛合った回転軸がレンズシャッターをチャージし、レリーズにより軸が回転してレンズ側はシャッター閉⇒シャッター開⇒露光⇒シャッター閉までの一連の動作が進行する。 当然、この間にカメラ側ではミラーアップ・遮光観音扉開⇒露光⇒遮光観音扉閉の動作が進行する。
ボディー側マウント内の回転軸
マウント内の回転軸
 この様な複雑な動作を連動させるためには、カメラ側軸とレンズ側軸の位相が間違いなく合っている必要がある。 これを担保するため、レンズの脱着はカメラ側もレンズ側もチャージされた状態でなければ脱着出来ない構造になっていて、チャージされていない状態とかカメラとレンズの位相が異なる状態で無理やり脱着しようとすれば壊しちゃう事になる。
 また、外してあるレンズ側の軸が「ひょんな事」で回転(レリーズ動作)しちゃう事があり、これに気付かないで無理に装着しようとすると悲惨な事になる。 回転軸を回す専用棒が発売されていたけど、指の爪でグリグリ回してチャージしてやればレンズをカメラに装着出来る様になる...指の爪が割れるかもね。

レンズ側の回転軸ロックピン
ロックピン
 先に「ひょうんな事」と表現したのは、レンズの回転軸横にあるガード付きのポッチが軸のロックピンになっていて、このピンを下へ引くとロックが解除されて軸が回転してしまうのだ。 カメラ側にはレンズのロックピンを下へ引くロック解除ピン(出っ張り部材)があり、レンズ装着と同時にロックが解除されるのだけど、レンズの回転軸はカメラの回転軸で保持されているのでレリーズまで回転しちゃう事は無い。 レンズを外す際は、先に解除ピンが外れてロック状態になってから回転軸が外れる仕組みになっている。
 レンズの回転軸ロックピンを触ってしまい軸が回ってしまったり、レンズを外す際にカメラやアクセサリとの相性によってはレンズの回転軸が回ってしまう。 この状態だとレンズを装着出来ないので、レンズの回転軸を溝が水平になるまで(ロックするまで)回してやる必要がある。 また、レンズや接写リングなどとの「相性」により、レンズを外すときにレンズ側の回転軸が回っちゃう事もある。

EVロック式
EVロック式
 レンズシャッター方式なのでシャッター速度リングはレンズ側にあり、絞りリングとシャッター速度リングが先端側に並んでいる。 通常状態では両リングが連結されていて、両設定とも連動変化するEVロック方式になっている。 絞りリングのノブをカメラ側に引けばロックが解除されて絞りリングを単独で回すことができる。 あるいは、両手操作になるけど絞りリングのノブを引いてシャッターリング側を回しても良い。 ノブを離せば再びEVロックされる。 この仕様はEV値を表示する露出計では便利だけど、僕にとっては不便な操作性だった。 その後のFシリーズレンズではデフォルトでフリーになっていて、絞りリングにあるボタンを押せばEVロックされる方式になり、Fシリーズ方式が僕の好みだった。

 Cレンズの最短撮影距離は概ね焦点距離の10倍ほどで、撮影倍率は135システムと同じ程度の約0.1倍となっている。 ただし、135システムに比較してフィルム面が広いので、画面に占める被写体の大きさが半分程度になってしまう。 つまり『寄れない!』と感じてしまうのである。 また、135システムで人物撮影する場合は撮影倍率が0.02倍程度が良く、光学系もこの倍率で最良となる様に設計する場合が多いけど、6x6版だと0.03倍程度でないと人物が小さすぎるし、バストアップで撮ろうとすると0.06倍程度まで寄る必要がある。 ハッセルのレンズはどの距離に重点を置いて設計してあったのだろう? なお、最短撮影距離まで寄っても135システムの様に顔・表情のドアップは撮れないのでとても不満だった。

Carl Zeiss Distagon C 50mm F4

Carl Zeiss Distagon C 50mm F4 絞り:F4
絞り:F4
 135換算で27mm相当の広角レンズだけど、正方画面だと広角感が乏しいと感じてしまう。 描写としては普通に写るレンズだけど、二線ボケ気味なので小デフォーカスの後ボケは騒がしい。 中景~遠景撮影ではF8程度まで絞って撮影した方が画面周辺の描写が良い。 周辺グルグル感とかを気にしなければ絞り開放で太陽を木の葉の陰に入れ込んだ滲み具合は絶妙だと思う。
 重いレンズなので装着するとフロントヘビーになるので構え難いし、長めのシルバー鏡筒はちょっと擦っただけでも傷が目立つのが困りものだ。 また、最短撮影距離は0.47mなので近接撮影能力は高くないので広角らしいぐぐっと寄った写真は撮れないし、焦点距離が50mmなのでF4でも背景がそれなりにボケてくれる事から、広角らしくない写真になる事が多い。
(期限切れで腐ったモノクロフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)

Carl Zeiss Distagon C 60mm F4

Carl Zeiss Distagon C 60mm F4 絞り:F8
絞り:F8
 Vマウントの60mmとしては2代目のレンズで、初代はF5.6だったので1段明るくなった。 鏡筒は初代のF5.6レンズと殆ど同じで、製造本数は1500本とも2ロット生産のみとも言われているけど、滅多に見かけない事は確かだ。 135換算で33mm相当の準広角レンズなので使い易いし、Distagon C 50mm F4 より軽くて短いので取り回しが良い。 なお、このレンズの構成図はネットを探しても見つからない。
 意外にシャープな描写だしボケも素直で優秀なレンズだと思う。 やはり、最短撮影距離が0.55mと寄れないのがイマイチだけど、デザイン的に最も好きなVマウント用 C レンズだ。 特に HASSELBLAD  500EL/M 20 Years in Space に装着した容姿はすこぶるカッコ良い。
 ちなみに、シャッター速度値目盛を含む全ての標示文字がプリントではなく、ちゃんとした刻印・墨入れなのでカスレにくいし、カスレても墨入れすれば容易に復活させられる。 僕が持っている60mm以外のCレンズではシャッター速度値目盛がプリント板をネジ止めしてあるので、カスレたら厄介だ。
(期限切れで腐ったモノクロフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)

Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8

Carl Zeiss Planar C 80mm F2.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 ハッセルの標準レンズで、5群7枚構成の風変わりな拡張ダブルガウス型である。 開放では優しいソフトな描写で若干二線ボケの傾向かあるけど、一段絞るとスッキリした描写になる。 なんとなくトーンが豊かに撮れる印象で、空気感のある表現をしてくれるレンズだと思う。 最短撮影距離が0.9mなので、あまり寄れない事が残念だ。
 ごく初期に6枚構成のレンズが存在したらしく、詳細は知らないけどマニアの間ではレアものとして珍重されている。 また、シルバー鏡筒からT*黒鏡筒への変更の端境期にシルバー鏡筒なのにT*付きのレンズも存在したらしい。
(期限切れで腐ったモノクロフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)

Carl Zeiss S-Planar C 120mm F5.6

Carl Zeiss S-Planar C 120mm F5.6 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 S-PlanarのSは特殊(Special?)レンズという意味らしく、マクロとは記載されていないけどマクロレンズに分類される。 絞りをF11に設定して撮影倍率が0.1~0.5倍の場合に描写性能が最良となる様に設計されているらしい。 でも、F11なら大抵のレンズは優れた描写性能を示すハズだ。
 このレンズはピント面がシャープな事もさることながら、開放値がF5.6なので絞り開放でも前後のボケがとても滑らかだ。 開放F値が暗い事を除けば撮影対象を選ばないレンズだと思う。
 なお、レンズ単体では0.18倍(0.95m)まで寄れるので他のレンズよりはマシだけど、マクロレンズとしては物足りない。 ちなみに、プロクサーを装着してもシャープな描写で、プロクサーレンズはC 120mm F5.6との組合せ専用に設計したんじゃなかと思わせる。
(期限切れで腐ったモノクロフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)

Carl Zeiss Sonnar C 150mm F4

Carl Zeiss Sonnar C 150mm F4 絞り:F8
絞り:F8
 絞り開放からシャープに写る中望遠レンズで、ボケ味も悪くないので安心して使えるレンズだった。 ただ、背景を大きくボカそうとしたときに『F2.8だったらなぁ』と思う事が多かった。 また、他の交換レンズと同様に最短撮影距離が遠くて1.4mまでした寄れず、最大撮影倍率が135カメラ用レンズと同じであっても中版カメラでは被写体が広く写っちゃうので『全然、寄れない!』と感じる事になる。 撮影した写真をトリミングすればイイんだけど、それなら135カメラの方が便利だという事になっちゃう。 また、500C ではファインダー画面上側がミラー切れで暗くなるのも嫌な感じではあった。
(期限切れで腐ったモノクロフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)

アクセサリー類

フィルター類

Softer(ソフトフィルター)と Proxar(接写レンズ)
Softer と Proxar
 この時代のCレンズはシルバーレンズだったので、純正のフィルター類もシルバー仕上げになっていた...しかも、ピッカピカのシルバー! C80mm~C150mmまでは内爪バヨネット式のB50フィルターで統一されていたので使い回しができた。
 一方、C50mmやC60mmはΦ63mmのアタッチメント押さえ枠内側にネジなしフィルター(シリーズ63)を落とし込む方式で、丸型フードと併用する場合はフードが押さえ枠にもなっていた。 Φ63mmアタッチメントは何かと不便なこともあるので、通常のΦ67mmネジフィルターに変換するアダプターもあり、通常のΦ67mmPLフィルターを利用するのに便利だった。

フード類

専用フード類 蛇腹フードは折り畳めない
専用フード類
 レンズのバヨネット外爪に装着する各レンズ専用角型フードの他に、C50mmやC60mmなどの広角レンズはΦ63mmのネジ込みフードが用意されていた。 当時はちゃんとハレ切りするのが作法の一つで、B50バヨネット用の蛇腹フードを使えば外光を効果的にカット出来た...けど、とても大袈裟な風情になってしまう。 蛇腹フードの取り付け口にはシートフィルターの差込み溝があり、ゼラチンフィルターなどを装着出来た。 500C 時代の蛇腹フードはレールが折り畳めない構造だったので携帯するのに異常にかさばる代物だった。

速写ケース

速写ケース
速写ケース
 革製の速写ケースはフォーカシングフード装着専用で上下に分かれるタイプだ。 カメラ底面のシューをケース内の金属レールにスライドして装着する。 撮影時は速写ケースがカメラ後方にぶら下がるので、カメラ本体をホールドして撮影できる。 撮影時にぶら下がっている速写ケースがチョット邪魔だけど、カメラストラップがそのまま使えるので散歩用には良いかもしれない。

ピストルグリップ

ピストルグリップ
ピストルグリップ
 カメラの底面に装着し、左手でグリップを握って左人差し指で「ピストル」の様にレリーズできる。 少しでも撮影しやすくなるならと思って買ってみたけど、握ったグリップでカメラを持ち上げる感じになり、左腕が疲れやすいし構えが安定しない。 やっぱりカメラ底面を左手の平でホールディングした方が個人的には安定する。

あとがき

僕のハッセルたち
僕のハッセルたち
 HASSELBLAD 500C は中版一眼レフカメラとしては軽くてコンパクトな良いカメラだし、なにより佇まいが美しい。 学生時代に住んでいた中野区の近所にあった写真スタジオでシュリロさんから借りたハッセルでヌード姉さんの撮影したときに『いつかは僕もハッセルを...』と思わせるカメラだった。
 でも、実際に買って使ってみると 貼革は縮み易いし 黒塗装部は剥がれ易いし レンズの指標文字が刻印じゃなく印刷なのでカスレ易いし、値段の割に手抜きな作り込みが欠点だ。 それにしても、ヤ〇オクで購入した期限切れフィルムはちょっと酷すぎたなぁ。
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