Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 - 嬉しいマクロ機能

0

Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C.
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C.
 各社からテレコンが製品化されていたけど、カメラメーカー純正のテレコンは高価だったので、安価なサードパーティー製のテレコンを愛用していた人も多かったと思う。 ケンコーの 2X Macro TELEPLUS MC7 はマクロ機能があるので楽しめるテレコンだった。

Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 - 1980年代発売(多分)

 ケンコーのテレコンは製品名の最後の数字がレンズ枚数だったと思うので、このテレコンは7枚構成だと思われる。 当時のサードパーティー製テレコンは4枚構成などが多かったと思うので、7枚構成のサードパーティー製テレコンは奢った設計だったと言える。 そして、2X CFE Macro TELEPLUS MC7 の最大の特徴はヘリコイドを内蔵していて、焦点距離を2倍にするだけでなく接写能力も上げられる事だ。

 当然だけど、テレコンで発生する収差も加わるし、マスターレンズの収差を拡大(球面収差は4倍拡大)するので、マスターレンズの素性が描写性能を大きく左右する。 テレコンとマスターレンズとのマッチングが良ければ「意外と」良い結果が得られる事がある。 とはいえ、口径比も大きく(暗く)なるので、銀塩時代では「テレコン付けたからASA感度を上げる」ことも出来ないので、手振れを覚悟する必要があった。
 なお、サードパーティー製テレコンはマスターレンズを無収差レンズとして光学設計しているのかも知れないけど、カメラメーカーのテレコンは自社製マスターレンズの特性に合わせてテレコンの光学設計を行える。 例えば、CANON FD 300mm 1:2.8 S.S.C. FLUORITE 専用のテレコンである EXTENDER FD 2x などはマスターレンズの収差を出来るだけ拡大しない様に設計していた...ハズだ。

50mmレンズ用の撮影倍率表示
撮影倍率表示
 テレコンを購入するユーザーは標準レンズに装着する事が多いと想定され、CANON FD 50mm 1:1.4 S.S.C. に装着すれば 100mm F2.8 になり、最短撮影距離の0.45mまで寄れば0.3倍近くまで大きく写せる。 テレコンのヘリコイド環には50mmレンズによる撮影倍率が刻印されていて、マスターレンズの距離環が無限遠の場合が白文字で、距離感が0.45mの場合が青文字でテレコンヘリコイドを回した時の撮影倍率が判る。 マスターレンズの距離環を0.45mにしてヘリコイドを最大に繰り出せば等倍接写が可能な中望遠マクロレンズとなり、等倍撮影でもワーキングディスタンスが確保できる。 なお、テレコンのヘリコイドはテレコン光学系の位置はカメラに対してそのままで、マスターレンズを繰り出す様に動作する。

装着作法など

Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 をカメラに装着してからマスターレンズを装着
カメラに装着してから
 キヤノンFD用の Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 にはスピゴットマウントの締め付けリングに連動して絞り値伝達レバーを退避する仕組みがないので、基本的にテレコンをボディーに装着してからマスターレンズを脱着した方が良い。 マスターレンズにテレコンを装着したまま、開放絞り以外の状態で脱着すると故障させる原因になる...かも知れない。

 またテレコン側にはマスターレンズの絞り値自動制御ポジションをカメラに伝達する機構も無い(使用パーツは搭載可能)ので、テレコンの締め付けリング近くに「MA」切換えリングが設けられている。 シャッター速度優先AEで撮影する場合は、マスターレンズの絞り環を自動制御ポジションにセットし、更にテレコンの「MA」切換えリングをA位置にする必要がある。 シャッター速度優先で撮影するのは面倒な設定・解除手順があるし、「MA」切換えリングが非常に操作し難いので、テレコンを使う場合はマニュアル露出か絞り優先AEを使うのが現実的だ。

レンズが4枚構成の 2X CFE TELEPLUS MC4
2X CFE TELEPLUS MC4
 キヤノンのFDマウントはマウント基準面に対するストローク長によって情報を伝達するピンがあるので、カメラとレンズの間が伸縮するアクセサリーでは、マスターレンズの情報を正しく伝達させる工夫が必要になるので製造が面倒になる。 開放F値伝達ピンには対応したけど、絞り値自動制御ポジション伝達ピンにの対応は諦めたのだろう。 なお、ヘリコイドが無い 2X CFE TELEPLUS MC7 や MC4(MC4テレコンはお勧めしない)などは絞り値自動制御ポジション伝達ピンにも対応している。

描写特性

 一般的にサードパーティーのテレコンは50mm標準レンズに装着される事を想定しているハズなので、マスターレンズに CANON FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 前期型 を選んでみた。 これは「ある思惑」があったので、他のレンズと組み合わせれば異なる結果になるかも知れない。

遠景描写

 以下の写真はカメラのホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして撮影したカメラJPEG画像です。

FD 50mm 1:1.4 S.C.C.
FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4
絞り:F1.4
FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F2
絞り:F2
FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F2.8
絞り:F2.8
FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4
絞り:F4
FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F5.6
絞り:F5.6
FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F8
絞り:F8
 FD 50mm 1:1.4 S.S.C. の絞り開放ではフレアが多いソフトな描写で、F2に絞ると画面中央はシャープで素晴らしい描写になり、画面周辺の描写も向上する。 F2.8に絞ると四隅を除いて画面周辺の描写も良い描写になる。 F4に絞ると画面周辺も素晴らしい描写になり、F5.6だと画面極隅の描写も素晴らしい描写になる。 この特性から絞りはF2以上に絞るのが実用的でF2.8なら充分な描写だと判る。 なお、発色はFDシリーズ共通で、派手ではないけどニュートラルで良い発色だ。

FD 50mm 1:1.4 S.C.C. + 2X Macro TELEPLUS MC7
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F2(実効F4)
絞り:F2(実効F4)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F2.8(実効F5.6)
絞り:F2.8(実効F5.6)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F5.6(実効F11)
絞り:F5.6(実効F11)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F8(実効F16)
絞り:F8(実効F16)
 2X Macro TELEPLUS MC7 を装着してもF1.4(実効F2.8)の中央付近は比較的良い描写で、テレコン無しの開放より良いほどだ。 画面周辺は芯はあるけどベール越しの様なホワホワな描写で、テレコンが収差を拡大している様だ。 F2(実効F4)に絞ると中央付近の描写が若干向上し、画面周辺のホワホワ感もかなり和らぐ。 F2.8(実効F5.6)に絞ると中央付近は良好な描写となり、画面周辺もスッキリしてフレア感が少ない描写となる。 F4(実効F8)まで絞ると画面周辺も良い描写となる。
 なお、発色はマスターレンズに対して、かなり黄緑っぽく濁った発色で、明らかにマスターレンズの特性が「劣化」している。

 Kenko 2X Macro TELEPLUS MC7 はマスターレンズの口径比F1.4には対応していないらしく、マスターレンズの絞りをF1.4にしてもF1.8程度の光束しか受け取れない様だ。 従って、マスターレンズをF1.4開放にしても少し絞った様な状態になるので、絞り開放でのフレアが軽減されてF2の描写と大差ないのだろう。 マスターレンズの開放値がF1.8やF2のレンズを使えば違った結果になるだろう。

一般描写

 以下の写真はカメラをオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオンにして撮影したカメラJPEG画像です。 なお、記載の絞り値はボケ老人の「記憶」に頼っているので間違っているかも知れません。
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F2.8(実効F5.6)
絞り:F2.8(実効F5.6)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F5.6(実効F11)
絞り:F5.6(実効F11)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F4(実効F8)
絞り:F4(実効F8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F1.4(実効F2.8)
絞り:F1.4(実効F2.8)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F2.8(実効F5.6)
絞り:F2.8(実効F5.6)
Kenko 2X CFE Macro TELEPLUS MC7 + FD 50mm 1:1.4 S.S.C. 絞り:F5.6(実効F11)
絞り:F5.6(実効F11)
 絞り開放では周辺描写がソフトフォーカスの様になるので、画面中央を強調する効果として使えるかも知れない。 一方、画面中央の光束が制限されているので周辺光量落ちは目立たないので、効果としては使い難い。 遠景ではF2.8(実効F5.6)に絞れば充分な描写だし、中景~近景の立体的な被写体なら、画面周辺に主被写体を置かなければF2(実効F4)でも我慢できる...かも知れない。 なお、掲載写真で“F1.4(実効F2.8)”と記載していますが、先に書いた様に受け取れる光束限界から、本当の実効は“F1.4(実効F3.4)”くらいだと思われる。

 テレコンを装着すると、距離環敏感度が高くなるのでピント合わせが少し厄介だ。 息を止めてピントを合わせても、距離環にちょっと触るとピンボケになってしまう。 また、接写撮影の絞り開放では描写性能うんぬんより、深度が極薄なので実用上は2段ほど(1段では向上が乏しいので)絞りたい。 F2.8(実効F5.6)に絞れば実用的な描写になり、F4(実効F8)なら描写的にも深度的にも落ち着いた写真になると思う。 また、等倍接写での手持ち撮影は非常に厳しく、三脚など「支え」を使用しないとピント合わせもままならない...けど、楽しい苦行だ。

 夜景ではF2.8(実効F5.6)に絞れば四隅以外は充分な描写で、F4(実効F8)かF5.6(実効F11)まで絞れば画面隅でも充分な夜景描写になる。 でも、よほどの事情が無い限りテレコンを付けて夜景撮影はしないだろう。

 発色が黄色味を帯びるので、晴天時にホワイトバランスを「太陽光」にすると夕方に撮影した様になる。 オートホワイトバランスに設定しても、被写体や照明条件によってはカメラが夕景と勘違いして暖色系に仕上げてしまう可能性もある。

あとがき

 テレコンは口径比が大きく(暗く)るな事や、描写性能が低下する問題もあるので、一度使ったら敬遠しがちな製品だけど、Kenko 2X Macro TELEPLUS MC7 はヘリコイドというオマケによって楽しめるアクセサリーになっている。 しかも描写性能の低下は「楽しむ範疇」なら充分使えるレベルなので、散歩のお供には良いアクセサリーだろう。
 フランジバックが短いFDマウントのレンズやテレコンなどはEOSマウントになってから銀塩時代の遺物となって休眠してたけど、ミラーレス一眼なら遊びに使えるオモチャとして楽しめる様になった。
Sponsored Link
Sponsored Link

0 件のコメント :

コメントを投稿

Sponsored Link