アトムレンズの線量率測定

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アトムな Leitz GmbH Wetzlar Summicron f=5cm 1:2 沈胴
アトムな Leitz GmbH Wetzlar Summicron f=5cm 1:2 沈胴
 透過光が黄色く着色しているレンズや巷で酸化トリウム含有硝材を使っていると言われるレンズを確かめるために、β線/γ線/X線を検出できる LifeBasis放射線測定器 を買ってみた。
 LifeBasis放射線測定器の本体サイズは 5.2cm x 11.2cm x 1.96cm と手の平サイズなので、小型のガイガーミュラー管だと精度が悪そうだけど、LifeBasisによるとは「高精度」と謳っている。 まっ、モニタリングポストじゃないので、相対的な線量率がある程度判れば良しとしよう。

線量率測定結果

Lifebasis放射線測定器にて線量率を測定
線量率測定の様子
 LifeBasis放射線測定器のガイガーミュラー管が何処に配置されているのか判らないけど、測定器の配置を変えてみると右側面の感度が高い様なので、簡易な台座に載せてレンズの光軸を測定器右側面に合わせて、約1cm離して測定してみた。 なお、この状態でレンズ無しのLifeBasis放射線測定器による机上の空間線量率は0.06μSv/hだった。 また、リファレンスとしてノーマルレンズである CANON FD 50mm F1.4 S.S.C. Type-1 も測定しておいた。

線量率測定レンズ製造番号判定前面側線量後面側線量
レンズなし(空間線量率)
 0.06μSv/h
CANON FD 50mm F1.4 S.S.C. Type-1402803〇 0.14μSv/h0.13μSv/h
Super Multi Coated Takumar 35mm F26030856 0.72μSv/h4.93μSv/h
Super Multi Coated Takumar 50mm F1.44784370 0.92μSv/h6.02μSv/h
Super Multi Coated Takumar 85mm F1.84848686 3.56μSv/h0.31μSv/h
Super Takumar 85mm F1.92916853〇 0.16μSv/h0.20μSv/h
NIKKOR-N・C Auto 35mm F1.43732612.22μSv/h3.50μSv/h
CANON R 50mm F1.8 Type-1
 第1群の裏面側から測定
271510.71μSv/h
2.64μSv/h
0.51μSv/h
CANON R 50mm F1.8 Type-2/31223450.21μSv/h2.31μSv/h
CANON FL 58mm F1.2 Type-1452010.65μSv/h3.27μSv/h
CANON FD 35mm F2 Type-1257070.60μSv/h1.91μSv/h
M-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.41148362.33μSv/h0.38μSv/h
UV TOPCOR 50mm F2681045660.30μSv/h1.31μSv/h
Leitz Wetzlar Summicron 5cm F2 沈胴11251203.77μSv/h0.74μSv/h
MC ROKKOR-PG 58mm F1.2 New Gen2590485〇 0.11μSv/h0.09μSv/h
MC ROKKOR-HG 35mm F2.8 New Gen4627747〇 0.09μSv/h0.11μSv/h
HEXANON AR 50mm F1.4 中期7653069 0.26μSv/h4.05μSv/h
HEXANON AR 50mm F1.4 中期7679571 0.28μSv/h5.24μSv/h

 ノーマルレンズでも空間線量率より少し高いのは、ガラスに含まれるカリウム同位体(β線・γ線を放出する)の影響と思われ、0.2μSv/h程度なら一般硝材の範囲内だろう。 また、レンズ後面に酸化トリウム含有硝材を使っていても、前面側では線量率が随分と下がるのは、測定距離が遠くなるのとレンズ内の鉛含有硝材により遮蔽されるからだと思う。 ちなみに、環境省によると一般的な空間線量率は0.02~0.1μSv/h とされている。

放射線測定器を買った理由

 放射線測定器を買う理由となったのは、SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm F1.8 Type-2/3 が本当にアトムレンズかどうかを確かめるためだった。 測定結果として Type-2/3 はアトムレンズである事が確認できた。
SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm F1.8 Type-1 の前群系を分解して第1群の裏面側から測定すると高い線量を示した
第1群の裏面側から測定
 一方、ノーマルレンズだと思っていた SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm F1.8 Type-1 が中途半端に高い値を示すのが不可解だ。 Type-1 の前群は黄変しているので、ひょっとしたら前群内の凸レンズに酸化トリウム含有硝材が使われていて、前玉面がフィルター枠の奥にあるので測定距離が長いのと、鉛含有硝材によりγ線がかなり遮蔽されているのかも知れない。 ...という事で、前群系を分解して第1群の裏面側から測定してみたら、高い線量率を示すので間違いなくアトムレンズだった。

気になるレンズも測定してみた

 Super Multi Coated Takumar 85mm F1.8 は殆ど黄変してない(気付いてない?)のでノーマルレンズだと思っていたけど、前面側線量率がとても高いアトム君でした。 それじゃ、と思ってSuper Takumar 85mm F1.9 を測定したところ、こちらはノーマルレンズでしたね。

 距離環がゴム巻きになった MC ROKKOR-PG 58mm F1.2 New Gen は、全く黄変しないので非アトムだと思ってましたが、海外のサイトでアトムレンズという事になっていたので測定してみたら.....やはりノーマルレンズでした。
 また、同じく距離環がゴム巻きになった MC W.ROKKOR-HG 35mm F2.8 New Gen は、中玉の小径凸レンズが黄変しているけど、放射線によるブラウニング現象ではなく硝材の経年劣化による黄変の様で、ノーマルレンズでした。 黄色く写るのはオールドレンズの味として容認しよう。

 HEXANON AR 50mm F1.4 は先代の 57mm F1.4 がアトムだったけど、このレンズは酸化トリウムを止めて後玉に凸レンズを1枚追加して性能改善したと思っていたが、アトム玉だった。 ランタン硝材の劣化で黄色いのだろうと思っていたけど、間違ってました。m(_ _)m

あとがき

 ノーマルレンズだと思っていたレンズがアトムレンズだったりしたので、ちゃんと測定してみないと断定できないですねぇ...まいったなぁ。 なお、ノーマルレンズでも少し線量率が高いのはカリウム同位体の影響だと思うけど、下記の事例を思い出してしまった。
 その昔に試作として、γ線・X線遮蔽能力が高いカリウムガラスを撮像センサーのカバーガラスに使ったら、長時間露光時の輝点ノイズが増大しちゃったのだ。 γ線は遮蔽できても、ガラスに含まれるカリウム同位体(カリウム40)のβ崩壊によりβ線(電子)が飛び出してくるのだ。
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