 |
| TAMRON SP 350mm F/5.6 Model 06(左はRF ROKKOR 250mm F5.6) |
TAMRON SP 350mm F/5.6 Model 06B は 500mm F8 ミラーレンズより短くてコンパクトだったけど、ミノルタの RF ROKKOR 250mm F5.6 には遠く及ばない。 でも、300mm以上は欲しいけど、500mm までは必要がないユーザーには 350mm F5.6 が受け入れられただろう。
TAMRON SP 350mm F/5.6 Model 06B - 1981年発売
レンズ構成
 |
| レンズ構成 |
4群7枚構成で、反射ミラーと屈折レンズとを組み合わせたカタディオプトリック式反射望遠レンズである。 主ミラーには加工が面倒な穴あけは行わず、蒸着していない部分を光学ガラスとして利用している。 前玉有効径は約80mmほどで、中央光束は多分Φ74mmほどなのでF4.76(350/74=4.76)相当になるけど、中央遮蔽を差し引いてF5.6という事になっている。 従って被写界深度はF4.76なので、ピント合わせはシビアになる。
フォーカシングは副鏡を含む前群をヘリコイドで繰り出す方式で、最短撮影距離は1.1m(撮影倍率は0.4倍!)まで寄れるので、ハーフマクロに迫る近接能力だ。 この近接能力はModel 55B より高い近接能力で、Model 06B の5年後に発売された New Reflex-Nikkor 500mm F8 と同じ撮影倍率(最短は1.5m)を既に達成していた。
なお、フォーカス敏感度が高いので、距離環を少し触っただけでもピントがズレてしまうので、息を止めてピントを合わせたら距離環を動かさない様に撮影する必要がある。
 |
| リアフィルターセット |
フロント側にΦ82mmのフィルターネジがあり、使わないけど、フォーカシングで回転するのでPLフィルターは使い難い。 通常はΦ30.5mmサイズのフィルターをレンズ後部にネジ込んで装着し、標準でNORMALフィルターが付属する。
タムロンからY-52/O-56/R-60/ND4Xの4種がセットになったフィルターが別売されていた。 なお、このΦ30.5mmフィルターはAdaptall2マウントを外さないと脱着し難い...というか、脱着できない。 ちなみに、4種セットのフィルターケースは表裏に個装フィルターを入れられるので、都合8枚まで収納できる。 4枚収納で良いので、もっとコンパクトな収納ケースの方が有用だったと思う。
 |
| リアフィルター や フード |
なお、フロント側のΦ82mmフィルターネジには、内面が植毛風になっている専用フードをネジ込んで装着する。 このフードは逆付け収納できるので、フード込みで携行の際もコンパクトになる。 引き出し式内蔵フードではないので、充分な深さがあって非常に有効なフードだ。
レンズには固定式の三脚座が装備されていて、レンズ後端を回転させられるので、三脚に載せても縦横の構図変更が楽だけど、回転部のクリック・ロックに少し回転ガタがあるのが惜しい。
 |
| 虹色ニュートンリング |
残念な事に、前世紀末から主ミラー側の貼り合わせレンズにバルサム切れの症状が出ていて、虹色のニュートンリングが見えている。 一応、撮影は可能だけど、どの程度の影響が出ているのかは判らない。 でも、ニュートンリングが見えるという事はそれなりに影響があるハズだ。 ちなみに、冬場には目立たないけど、夏場には虹色ニュートンリングが目立つので、硝材と接着剤(バルサム)の線膨張係数が結構違うのかも知れない。 急激な環境温度変化や極端な乾燥がバルサム切れの原因とされているけど、大きな主鏡なので応力が掛かり易いハズで、接着剤の選定などを含めた設計ミスだろう。
描写特性
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.00.04171 にて、ホワイトバランスをオート(ツツジは太陽光)に設定し、Dレンジオプティマイザーもオートに設定して現像してあります。
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
SP 350mm F/5.6 Model 06B
|
全体的にコントラストが低めの写真になるので、背景を暗くするなどの工夫をしないと主被写体が浮かんでこない。 また、350mm F5.6 だけど、被写界深度はかなり浅いレンズなので、遠景でもピントが合っている範囲は限られる。
色収差は全く感じられないし、周辺光量落ちは酷くはないけど、画面中央付近では光束がリング状になるけど、画面周辺5割以上ではランドルフ環の様にC字状になってしまう。
遠景では陽炎の影響で描写性能は正確に判らないし、ミラーレンズらしい二線ボケ・リングボケになるけど、画面周辺でもピントが合っている部分の描写性能は良く踏み留まっている。
また、接写能力が高いので、ある程度離れていても小さな被写体を大きく写す事ができるけど、通常のレンズの様に絞って深度を確保できない。 近距離・接写でピントを合わせるのはエラク難しい。 ただし、撮影時の絞り値を覚える必要が無いのは楽だ。
参考として SP 350mm F/5.6 Model 06B に SP 1.4x Tele-Converter Model 140F を装着してみたけど、全体的にフレアっぽくて、解像感の無い描写になってしまう。 しかも、フォーカス敏感度が更に高くなり、手持ち撮影でピントがピークの位置に合わせるのは息を止めても難しい。
 |
| TAMRON SP 350mm F/5.6 Model 06B + SP 1.4x Tele-Converter Model 140F |
あとがき
ミラー望遠レンズは各社とも発売していたけど、500mmより短い焦点距離を製品化したメーカは少なかった。 1979年に minolta RF ROKKOR 250mm F5.6 が製品化されていたけど、タムロンは350mmという焦点距離を選択した。 TAMRON SP 350mm F/5.6 Model 06B(¥48,400)の外径は 500mm F/8 Model 55B(¥79,500)とほぼ同じで、minolta RF ROKKOR 250mm F5.6(¥55,000)の様にコンパクトではない。 なので、よほどの理由が無い限り、絞りもあって近距離補正も搭載している屈折型の TAMRON SP 300mm F/5.6 Model 54B(¥49,000)の方が扱い易いだろう。
1982年頃に Vivitar Series 1 450mm F/4.5 というミラーレンズが発売された。 光学ガラスと光学プラスチックを用いた7群11枚構成のハイブリッド型ミラー光学系で、非球面も使われていた。 日本国内での正規販売は無かったと思うけど、輸入しようとすると20万円近かったと記憶している。 その当時にお金が有ったら買っただろう。
コメントを投稿