CANON MACRO FD 50mm F3.5 S.S.C. - 散歩レンズ

0

CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C.
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C.
 このレンズはマクロレンズとして競合他社と基本仕様はおなじだけど、光学系は少し奢った設計になっている。

CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. - 1973年発売

 ニコンは1965年発売の Nikon F Photomic T / Nikomat FT により、自動絞りや開放測光に対応した Micro Nikkor Auto 55mm F3.5 が存在していたが、キヤノンは1965年に自動絞りに対応した MACRO FL 50mm 1:3.5 を投入し、開放測光に対応するには10年後の1973年まで待つ事となった。

レンズ構成

CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. レンズ構成
レンズ構成
 先代の MACRO FL 50mm 1:3.5 は 3群4枚構成のテッサー型(絞りは第1レンズの後ろ)だったけど、本レンズ4群6枚の変形ダブルガウス型となっている。 見方によっては最終レンズを貼り合わせにした変形クセノター型とも言える。 いづれにしても、先代に対して随分と奢った光学設計になっているが、明るさや最大撮影倍率や絞り枚数などの仕様は同じだ。

 解像力に優れる本来のクセノター型を採用する方法もあったと思うけど、キヤノンの設計者だったダブルガウス型の権威である伊藤宏氏は紫綬褒章を賜ったほどの方なので、ダブルガウス系以外の選択肢は無かったのだろう。 なお、光学系自体は小さく、重量が310gなので他のFD標準レンズと比べれば軽めだ。 また、光学系が鏡筒の奥に納まっているのでフードは不要なのは散歩レンズに最適だ。

最大に繰り出した状態
最大に繰り出した状態
 最短撮影距離は0.232mで最大撮影倍率は0.5倍のハーフマクロで、通常の使用範囲ならハーフマクロで全く問題ない。 エクステンションチューブ FD25 を併用すれば等倍接写が可能となり、鏡筒横には FD25 を併用した場合の撮影倍率と撮影距離がカラフルに刻印されている。 ただし、FD25 を併用すると撮影倍率が0.5~1.0倍の範囲に限定され、遠距離に合焦しなくなってしまう。

 また、CATシステム用の距離環連動ピンが付いているので、FLASH-AUTO RING を装着すれば SPEEDLITE 133D を使って CANON F-1/FTb/EF で距離に応じた露光調整が出来る。 ただし、マクロ撮影には対応していないし、距離環調整範囲が制限されるCATシステムは不便なだけで、CATシステムなんて使う必要は無いだろう。

遠景描写

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F4.5?
絞り:F4.5?
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F8
絞り:F8
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F11
絞り:F11
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F16
絞り:F16
 遠景の絞り開放でも画面中央は解像感のあるびょうしゃだけど、画面周辺は少しフレアっぽい描写だ。 F4.5?(F3.5とF5.6の中間)では画面周辺のフレア感じが少し良くなり、F5.6に絞れば画面の極々四隅以外は素晴らしい描写となる。 F8に絞れば外面全域で素晴らしい描写となる。 なお、なだらかに落ちる周辺光量落ちがあり、落ち込みは大きくないので通常は効果としては期待できないし、F5.6で殆ど判らなくなり、F8まで絞れば消失する。
 マクロレンズだけど遠景でも優れた描写を示すが、開放での画面周辺描写がもっと優れていれば銘玉と崇めただろう。 恐らく、ニッコールの様に焦点距離を55mmにしたらニッコールを凌駕する描写性能になったと想像している。

一般描写

 以下の一般撮影写真はRAW現像時にオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオンにして現像しています。 ただし、接写系ではオートホワイトバランスがコケるので、太陽光で現像したり色温度を指定したりしている。
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F16
絞り:F16
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F8
絞り:F8
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON MACRO FD 50mm 1:3.5 S.S.C. 絞り:F8
絞り:F8
 明るいレンズでは無いので前後ボケの周りに現れる紫や緑の「色ボケ」は殆ど気にならない。 遠景撮影や平面撮影でなければ絞り開放でも画面周辺のフレア感は全く感じないし、合焦させた部分はとてもシャープだ。 また、平面接写(倍率0.5倍)の描写も絞り開放では周辺光量落ちがあるのと画面周辺がちょっと眠いので、F5.6以上に絞れば画面全域でシャープで均質な描写が得られる。

 カメラのオートホワイトバランス性能にもよるけど、発色は悪くないし他のFDレンズ(FD 35mm F2 アトムを除く)とも発色に差異は無いので、FDレンズ群を使う人はレンズごとの発色差を気にする必要は無いと思う。

 他社のマクロレンズより遠景のピント合わせが楽に感じるのが不思議だけど、例によって手持ち接写では体の揺れなどでピント合わせに難儀する。 でも、道端で寄って撮りたくなる散歩レンズには良い選択だ。

あとがき

ベローズに装着した MACRO NewFD 50mm F3.5
MACRO NewFD 50mm F3.5
 実は NewFD MACRO 50mm F3.5 も持っている。 これは中古の格安FDベローズを買った時に付いていたものだ。 いまでもベローズに装着したままで専用化しているが、フィルムスキャンする時以外に使用する機会はない。 なお、NewFDレンズにはCATシステム用の距離環連動ピンなんて不要な物は付いていない...フィルター径も違うしね。

 マクロレンズは年寄りにとって散歩レンズとして楽しいのだけど、ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2 を知っているので、あのレンズの楽しさには敵わない。 娘と共に家出しているけど、早く帰ってこないかなぁ。
Sponsored Link
Sponsored Link

0 件のコメント :

コメントを投稿

Sponsored Link