ASAHI PENTAX SP - 1964年発売

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ASAHI PENTAX SP + Super Multi Coated TAKUMAR 1:1.8/55
ASAHI PENTAX SP + Super Multi Coated TAKUMAR 1:1.8/55

 1964年発売の PENTAX SP は、1960年のフォトキナで発表された試作機である ASAHI PNTAX Spot Matic の製品版である。 発表時は「世界初のTTL露出計搭載カメラ」だったけれど、発売までの間にTTL開放測光露出計搭載の TOPCON RE Super が1963年に先行発売されて「世界初」の座を逸してしまった。

ASAHI PENTAX SP

 PENTAX SP は世界で2番目に発売されたTTL露出計内蔵型一眼レフで、世界的なベストセラー機となった。 製品版の内臓露出計は名前の由来となった「Spot Matic」ではなく、測光分布が平均測光に変更されていた。 露出計のスイッチは絞り込み操作と連動している絞り込み測光方式である。 発売当時はTTL露出計が内蔵されている意義が大きく、絞り込み測光方式への不満はあまり無かった気がするけど、トプコンで既に実現されていた開放測光方式の搭載は急務だったと思う。

カメラ上部

カメラ上部
カメラ上部

 軍艦部右側には フィルムカウンター と 巻き上げレバー と シャッターボタン と シャッター速度ダイヤルがあり、シャッター速度ダイヤルはASA感度設定を兼ねている。 また、シャッター速度ダイヤルは一軸不回転式だけど、1/1000秒を越えてBulb、あるいはその逆でも自由に回して設定できる。

アクセサリーシュー
アクセサリーシュー

 軍幹部左側には巻き戻しクランク と フィルムインジケータがあり、巻き戻しクランクを引き上げれば裏蓋を開けられる。 この配置が一眼レフの基本スタイルである。
 また、ファインダー接眼部に溝があり、アクセサリーシューを差し込める様になっている。 PENTAX S3 にはここに差し込む外光式露出計があったりした

セルフタイマーレバー

セルフタイマーレバー
セルフタイマーレバー

 セルフタイマーをセットすると押しボタンが現れる。 このボタンを押すとセルフタイマーが動作開始する。 中古市場のカメラを弄ってみると、押しボタンが押された状態のまま固まった個体を見かける。 押されたままだと、セルフタイマーがセットできず、指を離すとすぐに動作してしまい使い難いセルフタイマーになってしまう。 大抵は治せるので、『これ、壊れてますよ!』って言って値切ってみるのが宜しい。

絞り込み 兼 露出計スイッチ

絞り込み 兼 露出計スイッチ
絞り込み 兼 露出計SW

 エプロン左側に絞り込み兼露出計スイッチがあり、スイッチを上へスライドするとレンズが絞り込まれると共に露出計の電源が入って絞り込み測光が開始される。 露出計のスイッチが入るとメーターがじわじわと動き出し、往年のアナログ感を楽しめる。 このスイッチはメカ的にホールドされるので、不要ならスイッチを下へスライドするか、シャッターを切れば解除される。
 シンクロターミナルがボディー前面左側にあり、FP接点 と X接点 が用意されていて自動切換え式にはなっていない。

自動絞り解除レバー(レンズ側)

自動絞り解除レバー(レンズ側)
自動絞り解除レバー

 旭光学の Super TAKUMAR 以降には自動絞り解除レバーがあり、レリーズの瞬間に自動的に絞り込まれる自動絞りと常に絞り込まれた状態の実絞りとを切り換えられる。 ただし、AUTO 位置でレンズをカメラから外すとAUTO 位置でロックされるので、知らない人は無理やり切り換えようとして壊してしまう。 決して無理やり操作しない事を覚えておこう。 どうしても切り換えたい場合はレンズをカメラに装着して切り換えるか、レンズのマウント面にある小さな「ポッチ」を押せば切り換えられます。

露出計用電池

電池室と変換アダプター
電池室と変換アダプター

 PENTAX SP の使用電池は1.33VのH-B9型水銀電池だ。 現在、簡単に入手できるSR41やLR41酸化銀電池は1.55Vだし形状が異なるので変換アダプターが必要である。 なお、PENTAX SP の測光回路は多少の電圧変動には影響されない回路になっているので、電圧が違っても問題ない。 僕の PENTAX SP は赤いプラスチックのサイズ変換アタプターで問題なく使えている。

ファインダー表示

ファインダー内表示
ファインダー内表示

 ファインダー視野には露出計メーターがあるだけのシンプルな眺めだ。 明るい標準レンズを装着しているとあまり気にならないけど、28mm F3.5 などの開放F値が暗いレンズを装着するとザラつきが目立って見易いファインダーとは言えない。 フォーカシングスクリーンの拡散特性がイマイチなのと、プリズム蒸着が銀蒸着ではなくアルミ蒸着なのが原因だと思う。 ペンタプリズム内では3回の反射があるので反射率の差が意外に効いて、アルミ蒸着と銀蒸着とでは明るさに結構な差が出るのだろう。
 露出計が平均測光なので、カメラの向きを多少変えてもメーターに大きな変化が現れないので、視野内の状況に応じて主被写体が適正露出になる様に補正を掛ける必要がある。 僕は中央重点測光の方が好みだし、AEカメラであればスポット測光+AEロックに一票入れたい。

あとがき

 PENTAX SP の開発当初はスポット測光を搭載した高級一眼レフを作るのが目標だったらしい。 しかし、様々な検討を重ねた結果、従来シリーズのサイズ感のまま平均測光の中級機になったそうだ。
 僕は PENTAX SP のデザインはブラックよりシルバーの方が似合うと思っている。 シルバーボディーも持っていたんだけど、随分と昔に後輩にあげてしまった...なので、ちょっと後悔している。

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