旭光学では PENTAX SP F 発売前の1971年に「世界初」開放測光で絞り優先AEを搭載した PENTAX ES を発売していた。 そして、PENTAX SP の改良機として1973年に発売されたのが PENTAX SP F である。 露出計はTTL開放測光となり、露出計のために絞り込む必要は無くなった。 レンズもこれまでの Super TAKUMAR に開放測光機能を追加した Super Multi Coted TAKUMAR に変更されている。 勿論、それ以前の開放測光機能を持たない Super TAKUMAR などは絞り込み測光で利用できる。
ASAHI PENTAX SP F / SP F Motor Drive
旭光学は1961年発売の完全自動絞り一眼レフ PENTAX S3 に合わせてプラクチカM42スクリューマウントに自動絞りピンを追加した Super TAKUMAR シリーズを製品化していた。 この Super TAKUMAR 方式が事実上のユニバーサルマウントになっていたが、1971年発売の PENTAX ES に合わせて開放測光に対応した Super Multi Coted TAKUMAR を独自規格としたためにユニバーサルマウントでは無くなってしまった。
カメラのデザイン・仕様は PENTAX SP と殆ど同じなので、主に PENTAX SP と異なる部分を記載しておく。
カメラ上面
軍艦部右側に フィルムカウンター と 巻き上げレバー と シャッターボタン と シャッター速度ダイヤルがあり、軍幹部左側に巻き戻しクランク と フィルムインジケータがあり、PENTAX SP と全く変わらないスタイルである。 PENTAX SP と異なる点はシンクロ接点付きアクセサリーシュー(ホットシュー)が装備された事だ。 パーツが殆ど変わらないという事は金型の償却などはとっくに終わっているので、利益率が高くはない中級機であっても結構な利益が出ていたと想像している。
絞り込みレバー
PENTAX SP では露出計スイッチ兼絞り込みレバーだったが、PENTAX SP F では単なる絞り込みレバーとなり露出計スイッチでは無くなった。 新たな露出計のスイッチは測光センサーが感光すると自動的にメータースイッチが入るフォトスイッチ呼ぶ便利なもので、『レンズキャップを外すと測光体勢』と謳われた。 でも、僕は電池の液漏れが心配なので頻繁に電池を取り外している。 なお、Super TAKUMAR などの開放測光に対応していないレンズは PENTAX SP 同様に絞り込んで測光する。
露出計スイッチではなくなったので、絞り込みレバーには「SW」という刻印は無くなった。 また、PENTAX SP ではレリーズすると絞り込みが解除されたが、SP F では絞り込み状態が維持される。
ただし、本当に「SW」じゃなくなったのかというと嘘で、開放測光と絞り込み測光との回路を切り換えるスイッチにはなっているハズだ...単純な回路だろうけど。
露出計用電池
PENTAX SP F の使用電池は1.33VのMR-9型水銀電池だ。 現在、簡単に入手できるSR44酸化銀電池は1.55Vだし形状が異なるので変換アダプターが必要である。 ただし、PENTAX SP F の回路は多少の電圧差には影響されない回路になっているので、電圧降下素子が付いていない単純で安価な変換アダプターでも問題ない。 実際に電圧降下型アダプターと比べてみたけど、測光値に違いはなかった。
ファインダー内表示は同じ
ファインダー視野は見え具合も含めて PENTAX SP と同じで、露出計メーターがあるだけのシンプルな眺めで、暗くてザラついているのも同じだ。 もっと積極的にファインダースクリーンの研究開発を行ってもらいたかった。
PENTAX SP F MOTOR DRIVE
PENTAX SP F MOTOR DRIVE |
そういえば、2007年ころに PENTAX SP F MOTOR DRIVE 250 「も」見つけて衝動買いしたんだけど、使うつもりが全く無かったので何処かにしまったままだ。
アトムレンズ
旭光学の 50mm F1.4 には様々なバリエーションがある様だ。 僕の Super Multi Coted TAKUMAR 50mm F1.4 は酸化トリウム含有ガラスを用いたアトムレンズで、かな~り黄変してしまう。 酸化トリウムが発する放射線による影響だけど、晴れた日に数日紫外線にさらすと黄変が軽減する。 暗闇でブラックライトを当てるとレンズ中玉にうっすらと青く発光するレンズが確認できる。 他にも Super Multi Coted TAKUMAR 35mm F2 なども黄変しちゃうので定期的な対処が必要だ。
あとがき
旭光学は1961年発売の完全自動絞り一眼レフ PENTAX S3 に合わせてプラクチカスクリューマウント(M42)に自動絞りピンを追加した Super TAKUMAR シリーズを製品化していた。 この Super TAKUMAR 方式が事実上のユニバーサルマウントになっていたが、1971年発売の PENTAX ES に合わせて開放測光に対応した Super Multi Coted TAKUMAR では独自規格としたためにユニバーサルマウントでは無くなってしまった。 また、従来からの互換性を重視してプラクチカマウントに固執したため、バヨネットマウントへの移行が遅れてしまったのは事実だろうけど、TAKUMAR として発売された銘玉たちは今でも汎用性の高いスクリューマウントとして楽しめている。
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