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Carl Zeiss Planar 2/100 T* MMG |
ヤシカ/コンタックス用の明るい中望遠レンズで、Carl Zeiss ブランド通りのドイツ製後期型個体である。
Carl Zeiss Planar 2/100 T* - 1980年発売
1980年に発売された新生CONTAX用の Carl Zeiss ブランドの中望遠レンズである。 前期型はAE型と呼ばれAE(Auto Exposure)仕様のみで自動露出は絞り優先しか使えなかったが、後期型はMM型と呼ばれMM(Multi Mode)仕様に変更されて自動露出はシャッター速度優先やプログラムモードなどが使える様になった。 本レンズは1986年にMM化された後期型である。 MM化された製品は最小絞りが緑色になっているので見分けられる。
新生CONTAX用の Carl Zeiss ブランドレンズには日本製とドイツ製があり、日本製はAEJとかMMJと呼ばれ、ドイツ製はAEGとかMMGと呼ばれていた。 日本製とドイツ製との描写上の違いがどうだったのかは知らない。
レンズ構成
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レンズ構成 |
5群6枚構成の拡張ダブルガウス型だけど、標準レンズの見慣れた拡張ダブルガウス型とは大きく異なり、絞りより前側の凹レンズがかなり肉厚になっている。 先に発売されていた
Planar 85mm F1.4 T* とレンズ構成の特徴が似ている。
最短撮影距離は1mまで寄れるけど『もう少し寄りたい』と思う事がある。 重量は670gなので少し重たいが鏡筒の作りは非常に良い。 ただし、どの Carl Zeiss レンズにも言える事だけど、絞り環と距離環が近接していて固定された部分はレンズ先端部しかない。 このため、回ってしまうリングを握ってレンズ交換する事になり着脱操作性が悪い。 絞り環と距離環の間にレンズ着脱時に握る固定されている部分が欲しかった。
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METAL HOOD 4 |
新生CONTAXレンズには大きな金属フードシステムが用意されていて、このレンズの場合は 67/86RING を介して METAL HOOD 4 を使う。 金属フードは深さが異なる HOOD 1 から HOOD 5 まであるので、他社製レンズにも流用が可能だ。 そこでレンズが大きい HASSELBLAD の F/FEシリーズ の 50mm F2.8(HOOD 1)・80mm F2.8(HOOD 4)・150mm F2.8(HOOD 4)・250mm F4(HOOD 5) にステップアップリングを介して流用している。
描写特性
遠景描写
以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。
絞り:F2 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
F2開放でもフレアっぽさが少なく良い描写だけど、ハイライト部には色収差によるパープルフリンジが少し見られる。 F2.8に絞ると画面中央付近はパープルフリンジも消えて充分な描写になり、画面周辺でもしっかりした描写になる。 F4に絞ると画面隅部のパープルフリンジも消えて全域で良い描写となり、F5.6まで絞ると画面全域で素晴らしい描写となる。 また、絞り開放では周辺光量落ちが少しあるけど、F2.8では殆ど目立たなくなり、F4まで絞ると解消される。
Planar 85mm F1.4 T* と似た描写傾向はあるけど、性能がより良く優秀なレンズだと思う。
夜景描写
絞り:F2 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F2 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
F2開放の画面中央はフレアもなく良い描写で、画面周辺ではコマフレアにより夜景描写には適さない。 F2.8に絞ると画面中央は素晴らしい夜景描写となり、画面四隅の夜景描写も向上するがコマフレアが少し残っている。 F4に絞ると画面四隅でも夜景にも使える描写になり、F5.6に絞ると画面全域で充分な夜景描写となる。
絞り開放での玉ボケは画面周辺でレモン型になるけど輪郭のエッジは穏やかで良いボケ味が期待できる。 絞り開放以外では六角形ボケになるが角ばった印象は少ない。
星像描写
以下の天体写真は空が暗いニュージーランド南島で撮影したもので、APS-Cサイズカメラで撮影した1駒のみを変態天体写真アプリで現像・補正したもので、複数駒コンポジットやフラット補正や倍率色収差補正などは行っていない。
天体写真では淡い部分を強調する様に現像するので、色収差やコマフレアが顕著に表れてしまう。 絞り開放ではとても使えない性能なのでF2.8に絞って撮影してあるけど、F2.8に絞っても星像の周りに少し滲みがあり、APS-Cサイズでも画面周辺では倍率色収差による色ズレが判る。
ちなみに、星野写真で妙に黒く写っている部分は天の川銀河でガスや塵が濃く集まっている暗黒星雲で、先が見通せないために星が少ししか見えていない領域である。
一般撮影
記載の絞り値は記憶に頼っているので間違っているかも知れません。 また、RAW現像時にDレンジオプティマイザーをオフにしてオートホワイトバランスで現像しています。
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F8 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F11 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F11 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2(PLフィルター) |
絞り:F2(PLフィルター) |
絞り:F2(PLフィルター) |
絞り:F2(PLフィルター) |
フラット気味の照明ならF2開放でもフレア感がなくスッキリした描写だけど、強いハイライト部にはフレアーが多いし色収差によるパープルフレアも発生する。 F2.8以上にに絞ると素晴らしい描写となるが、最短撮影距離が1mなので『あぁ寄れねぇ』って感じる事がある。
小さなボケから大きなボケまでスムース滑らかなボケ味だけど、ハイライト部のボケ像周りに後ボケは緑色で前ボケは紫色に色が付く「色ボケ」があるのが惜しいが、F2.8に絞れば目立たなくなる。
太陽を画面内に入れ込むとゴーストが発生するが派手なゴーストではない。 ただし、絞り開放だと対角に素敵な丸い大きなゴーストが出てくれる。
絞り開放では少しソフトな描写になるのでポートレイト撮影にはちょうど良い感じだ。 少し絞ればシャープな描写になるが、カリカリにシャープという感じではない。 コントラストが高くて色乗りや発色も派手過ぎず良い感じだと思う。
あとがき
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Carl Zeiss Lenses |
中望遠レンズでは無限から0.5倍までググっと近寄れてシャープな描写の OLYMPUS ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2 が大好きだったけど、距離環敏感度が高いのでピント合わせに難儀していた。 一方、Carl Zeiss Planar 100mm F2 T*の近距離撮影能力は高くないけど、柔らかさとシャープさを兼ね備えていて容姿端麗なお姫様といったレンズで、撮影していて楽しく感じるレンズである。
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