CANON FD 135mm F2.5 S.C. - 意外と良く写る

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CANON FD 135mm 1:2.5 S.C.
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C.
 キヤノンの一眼レフ用 135mm F2.5 レンズは1960年発売の SUPER-CANOMATIC LENS R 135mm 1:2.5 が始まりだけど、ミラーボックスを使う距離計連動機用レンズとして1958年には CANON M 135mm 1:2.5 が発売されていた。

CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. - 1973年発売

 本レンズはFDマウントになった1971年に発売された FD 135mm 1:2.5 のコーティングをS.C.(Spectra Coating)とした商品だけど、“Spectra Coating”はRレンズの時代から施されていたので、単なる名称変更だったと考えられる。 なお、FD 135mm 1:2.5 はS.C.仕様のままS.S.C.化される事は無かった。

レンズ構成

CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. レンズ構成
レンズ構成
 レンズ構成は4群6枚の変形クセノター型と呼べる構成で、FL 135mm 1:2.5 も数字上は同じ4群6枚構成だけど、ダブルガウス型だったのでレンズ構成が大きく変わった。 本レンズを「変形クセノター型」としたのは、ガウスタイプの前群とトポゴンタイプの後群とのハイブリットがクセノター型の特徴で、このレンズは前群の凸凹貼り合わせレンズを凸凹凸の3枚張り合わせにしているのが変形要素で、色収差の低減のためなのだと思う。 Mマウント・Rマウント・FLマウントまでは伊藤宏氏の呪縛の様にダブルガウス型が採用されていたが、FDマウント時にレンズ構成を大きく変更した明確な理由は知らない。

ロックできないスライド式内蔵フード
スライド式内蔵フード
 最短撮影距離は1.5m(撮影倍率0.14倍)なので同時代の他社製レンズと同じだけど、ちょっと寄り足りない感がある。 重量は670gでオールドレンズらしい重みと仕上げ品質が物欲を満たしてくれる。 フィルター径はΦ58mmでフォーカシングでも回転しない。 また、鏡筒先端に内面が植毛風のスライド式フードが内蔵されている。 内臓フードは引き出した状態でロックできないので、撮影しているうちにフードが引っ込んでいる事があるので困る。

 僕の個体は絞りリングの自動制御(Auto)設定を示すマークが「A」になっている製品で、レンズ後端の遮光筒がボソボソな黒塗装になっている。 自動制御設定マークが「」だった製品の初期までは遮光線付き艶消し塗装の遮光筒だった。 ボソボソな黒塗装への変更はコストダウン対策だと思われるけど、レンズの使用に伴ってゴミが付着し易いのが困りものだ。

描写特性

遠景描写

 以下の写真は現像時にホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像した画像です。 なお、F3.5はF2.5とF4の間で、本当にF3.5なのは判りません。
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F4
絞り:F4
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F8
絞り:F8
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F11
絞り:F11
 絞り開放では若干ソフトだけど充分な描写で、画面周辺もなかなか良い描写だ。 F3.2に絞ると画面中央は素晴らしい描写になり、画面周辺も充分な描写だ。 F8まで絞ると画面極隅でも素晴らしい描写になる。
 また、素敵な周辺光量落ちがあるけど、絞りF3.2で急激に改善されてしまい、絞りF4では画面四隅に僅かな周辺光量落ちがある程度で、絞りF5.6で解消される。

一般描写

 以下の写真はカメラをオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして撮影したカメラJPEG画像です。
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
CANON FD 135mm 1:2.5 S.C. 絞り:F2.5
絞り:F2.5
 開放絞りでは飽和しそうなハイライト部に色収差が少し見えるけど余り気にならない。 現代のレンズの様に切れる様なシャープさはないけど、充分に通用する描写だと思う。 また、ボケ味は悪くなく、少し硬めだけど背景に輝点があってもスムースにボケてくれるので安心して撮影できる。 なお、前ボケは滲みながら溶けて行くボケ方で、実に柔らかいボケ味だ。 手持ちのオールドレンズ Super-Multi-Coated TAKUMAR 1:2.5/135 より良く写る気がする。

あとがき

FDマウント部品を取り外して、開放専用のEFマウントに改造しておいた
EFマウントへ改造した
 実はこのレンズ、部品取り用に¥980円で買ったキズ・カビ玉だったのだ。 部品取りのために分解ついでに、各レンズのカビ取り・清掃を施したら思いのほか綺麗になったので、再組立てして試写してみた。 意外に良い描写なので惜しくなったけど、試写後はマウント周りのメカ部品を取り外して開放専用のEFマウントにしてしまった。 そのうち絞り環で絞りを変化させられる様に工夫してみようと思うけど、ヘリコイドによる伸縮対応が難しい。
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