W-NIKKOR・C 1:3.5 f=2.8cm - 絞り操作に難

0

Nippon Kogaku W-NIKKOR・C 1:3.5 f=2.8cm
Nippon Kogaku W-NIKKOR・C 1:3.5 f=2.8cm
 1930年代からあった Carl Zeiss Jena Tessar 1:8 f=2.8cm や Leitz Hektor f=2.8cm 1:6.3 などは開放F値が暗くて、照明環境が良い条件でなければ撮影に不向きなレンズだった。 1950年代初頭で 28mm F3.5 という仕様はかなり明るい広角レンズだった。

Nippon Kogaku W-NIKKOR・C 1:3.5 f=2.8cm - 1952年発売

 このレンズは発売当初は真鍮製クロームメッキのシルバー鏡筒だったが、後にアルミの黒鏡筒へデザイン変更された。 恐らく1957年の NIKON SP 発売時期に黒鏡筒に変わっていたと思われる。

レンズ構成

Nippon Kogaku W-NIKKOR・C 1:3.5 f=2.8cm レンズ構成
レンズ構成
 レンズ構成は4群6枚の典型的なオルソメター型である。 開発当初、このレンズは F4 で設計されたそうで、発売直前に設計変更が入り、開放が F4 から F3.5 に変更して製品化された。 設計変更の理由は、1951年にキヤノンからダブルガウス型で 28mm F3.5 が製品化されたので、対抗として同じ F3.5 へ設計変更したらしい。 どちらが優れていたのかは判らないが、キヤノンはダブルガウス型で製品化し、ニコンはオルソメター型で製品化するという異なるアプローチが面白い。
 ちなみに、1957年に発売されたキヤノンの 28mm 1:2.8 ではダブルガウス型ではなく、貼り合わせレンズの凸凹を逆転させたオルソメター型を採用していた。

外爪に装着

カメラへの装着は外爪を利用する
外爪に装着
 マウントは Zeiss Ikon Contax方式の NIKON S マウントで、カメラへの装着は外爪を使うのでカメラ側の50mm用ヘリコイドは利用しない。 レンズ内側にはサスペンション付きのスライド筒があり、スライド筒がカメラ側のヘリコイドと連結して回転量がレンズ側ヘリコイドに伝わり、カメラ側のフォーカスダイヤルでもピント調節ができる。 このシステムは回転ヘリコイド式なので、絞り環も含めて回転しちゃうので絞り変更が非常にやり難い。 しかも、このレンズの絞り値指標はレンズ前面内側にあるので、絞り値の確認・設定がやり難いうえに、絞り環がフィルター枠にもなっていて掴みにくい。
 なお、レンズをカメラに装着する際は、カメラもレンズも無限遠位置で装着するのが作法の様で、異なる距離関係で装着すると距離計がズレたままになる事がある。 また、外爪を使うレンズなので、カメラ側の無限遠ロックピンが押されて、無限遠ロックは掛からない。

フード

フードを装着すると絞り環を操作し易い(右のリングは標準用フード筒)
代用フードを装着
 フィルターはΦ43mmで、専用フードが用意されていたが、別売のフードを買い求める人は少なかった様だ。 僕は鏡筒色と同じシルバー色で、シリーズVIIフィルターを挟める標準レンズ用フードのフィルターを挟む部でを代用していた。 このフードには「JAPAN」の刻印はあるけど「Nippon Kogaku」の刻印は無いが、製品外箱には「NIPPON KOGAKU K.K. TOKYO」と記載されているのでOEM製品だったのかも知れない。 フードを装着すると絞り環の操作が楽になる。 このフードを装着した場合のフロントキャップはΦ55mmサイズ用のカブセ式キャップが使える。

あとがき

NIKON SP は28mmファインダー内蔵(端の小さな窓)
内蔵28mmファインダー
 NIKON SP には28mmのビューファインダーが内蔵されているので、NIKON SP との組合せなら外付けのビューファインダーは必要ない。
 このレンズの生産初期製品は絞りの段数間隔が狭くて非線形だったのを、現代風の(ほぼ)線形間隔になる様に改良された。 僕の個体は(ほぼ)線形間隔になったタイプである。 更に、1957年頃には真鍮クロームメッキ鏡筒からアルミ製の黒色鏡筒へ変更された。 シルバー鏡筒は距離環の刻印文字が視認し難くて、無限遠刻印が「INF」と表記されていたが、黒鏡筒では「∞」と表記される様になり、刻印文字も視認し易くなった。
Sponsored Link
Sponsored Link

0 件のコメント :

コメントを投稿

Sponsored Link