MINOLTA MC ROKKOR-PF 58mm F1.4 - 素敵に滲むオールドレンズ

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MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm
 「MC」は Meter Coupler の略で、絞りリングに開放測光用の露出計連動カプラー爪が付いている。 ミノルタのMCレンズは1966年発売の minolta SR-T 101で製品化され、MC対応の標準レンズはマクロレンズも含めて 50/1.4、50/1.7、50/3.5、55/2、55/1.9、55/1.7、58/1.2、58/1.4 などの多種類が製品化されていた。

MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm - 1966年発売

 このレンズは SR-T 101 の発売に合わせて製品化されたレンズで、先代の AUTO ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm とは光学系を含めて設計変更されている。 なお、お判りかと思うけど、このブログではカメラではロコに合わせて「minolta」と表現し、レンズでは銘板に合わせて「MINOLTA」と表現しています。 ミノルタは1980年頃まで「minolta」を使っていたけど、80年以降は「MIN●LTA」に統一されている。

レンズ構成

MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm レンズ構成
レンズ構成
 レンズは5群6枚構成で、前側の貼り合わせを分離した変形ダブルガウス型である。 ミノルタは同社初の一眼レフ用標準レンズ AUTO ROKKOR-PF 1:1.8 f=55m などを含めて、前群張り合わせを分離した変形ダブルガウス型を採用していた。 その後、MC ROKKOR-PG 1:1.4 f=50mm では前群も後群も張り合わせて、最終凸レンズを2枚にした5群7枚構成の拡張ダブルガウス型も製造している。

 この時代のロッコールレンズにはレンズ構成が表記されていて、このレンズは「PF」と表記されている。 最初のPはPentaの略で5群構成である事を意味していて、次のFはアルファベット6番目なので6枚構成である事を意味している。 この様な表記はMCレンズ終末期の製品では記載されなくなった。 群数の表現は以下の通り。
 3群:Triple  4群:Quadruple  5群:Penta 
 6群:Hexa  7群:Sept  8群:Oct  9群:Nona 

ACコート

緑に反射する2層アクロマチックコーティング
緑のロッコール
 この時代のロッコールレンズは前玉のACコート(2層アクロマチックコーティング)が見る角度によって緑色に見える事から、『緑のロッコール』と呼ばれていた。 緑色に反射して綺麗なんだけど、このACコートは蒸着が弱いらしいので、雑に拭くとキズが付き易いと言われている。 レンズを分解清掃する際にはゴミを完全に除去してから、汚れを「優しく」拭いてあげた方が良いだろう。

距離環

この個体は梅鉢の凹みが大きいので後期型レンズだと思われる
梅鉢タイプの距離環
 このレンズは初期のMCレンズなので、外観が金属梅鉢タイプの距離環になっていて、最短撮影距離は0.6mである。 標準レンズで最短が0.6mはテーブルフォトには厳しく、ちょっと寄り足りない仕様だ。 なお、このレンズには前期型と後期型があるらしく、距離環の梅鉢形状が異なるそうだ。 本個体の距離環は梅鉢の凹みが大きいので後期型だと思われる。 ちなみに、マウントアダプターと TECHART LM-EA7 を使うと、LM-EA7 の最大繰出し量4.5mmと合わせると、0.42m(撮影倍率0.19倍)ほどまで寄れるので、不満なく使える。

絞り環

開放絞りから4段ほどの位置にMC爪がある
絞り環のMC爪
 絞りはF1.4からF16までの等間隔絞りで、各絞り値には0.5段ごとにクリック(F1.4とF2の間は1段)が有る。 絞り羽根は6枚で、AUTO ROKKOR 1:1.4 f=58mm は8枚だったので2枚減らされている。 なお、このレンズの絞り環はF1.4とF2の間隔が0.5段ほどしかない。 このレンズに限らず MC ROKKOR-PG 1:1.2 f=58mm もF1.2とF2の間隔が0.5段ほどしかない。
 minolta ST-101 のカタログによると、レンズごとに開放絞りでの周辺光量落ちによる測光結果への影響を補正する様にMC爪の位置が調整されていると謳っているので、F1.4とF2の間隔が0.5段ほどしかないのは、この補正と関係していると想像している。 例えば、暗い結果を示すメーター指示に従って絞り環の角度を4段分回すと、実際には4.5段絞られる事になり、絞り込んだ撮影結果が露出オーバーになる事を防いでいるのだろう。

描写特性

 デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で、気にする程じゃないけど本来の描写性能は出ていないと思います。

遠景描写

 以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2
絞り:F2
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F4
絞り:F4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F8
絞り:F8
 遠景描写の絞り開放では収差フレアによりベール越しの様なソフト描写で、画面周辺ほどベールが厚くなる感じだけど、解像感はあると思う。 F2に絞ると画面中央付近はスッキリした描写になるけど、周辺は薄いベール越しの描写だ。 F2.8に絞ると画面中央はかなり良い描写で、画面四隅にはフレアがに凝っている。 F4に絞ると画面全域でフレア感がなくなり、画面四隅を除いて素晴らしい描写になる。 F5.6に絞れば画面全域で素晴らしい描写になる。
 画面中央付近はF5.6~F8がピークで、画面隅はF11~F16がピークという感じだ。 また、素敵な周辺光量落ちがあり、F2で劇的に改善し、F2.8で気が付かなくなり、F4で解消する。

夜景・点光源描写

 以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を、古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などの高額補正は施していません。
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2
絞り:F2
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F4
絞り:F4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F8
絞り:F8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2
絞り:F2
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 絞り開放では収差フレアが多くて霞がかった描写で、メリディオナル・サジタルコマがラグビーボール状に発生していて、画面の隅々までが収差フレアにまみれている印象だ。 後継標準レンズがサジタルコマよりメリディオナルコマを重点補正する設計思想とは異なるアプローチだと判る。 F2に絞ると画面中央付近はかなりすっきりするが、画面隅にかけてコマフレアが残っている。 F2.8に絞ると画面中央付近は充分な描写で、画面隅ではメリディナルコマが残っている。 F4に絞ると夜景写真として満足できる描写になる。 F5.6まで絞れば画面隅が更にシャープになる。
 絞り羽根が6枚なので、絞り込むと輝点の周りに6本の光芒が現れる。 光芒を効果として使うなら、F8以上に絞るとシャープな光芒が得られる。

 絞り開放の玉ボケ描写にはエッジが立ってバブルボケになり、「綺麗」な写真になる。 画面周辺ではレモン型の玉ボケになるが、嫌らしさはない。 F2に絞れば玉ボケのエッジが立たなくなり、丸みを帯びた6角形の玉ボケになり、画面周辺ではレモン型が残っている。 F2.8に絞れば明確な6角形の玉ボケになり、画面周辺でも6角形の玉ボケが揃う。

一般撮影

 以下の写真は MD → LEICA M マウントアダプターを介して、TECHART LM-EA7 と SONY ILCE-9 とで撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオンに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F4
絞り:F4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F4
絞り:F4
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4(フード装着)
絞り:F1.4(フード装着)
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4(フードなし)
絞り:F1.4(フードなし)
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4(フードなし)
絞り:F1.4(フードなし)
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4(フードなし)
絞り:F1.4(フードなし)
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4(フードなし)
絞り:F1.4(フードなし)
MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm 絞り:F1.4(フードなし)
絞り:F1.4(フードなし)
 F1.4開放では収差フレアによりソフトフォーカス的な描写になるので、ピントを置く位置が微妙で難しい。 コントラストで判断するとピンボケ写真になるので、芯が出る位置にピントを置く必要がある。 F2.8に絞ればピント合わせが楽になる。
 LM-EA7 によるオートフォーカスでも開放絞りでジャスピンで撮影するのは難しいけど、明るいレンズなので画面全域でオートフォーカスが可能だ。

 絞り開放の玉ボケはエッジが立つので、背景の輝点がバブルボケ風になって綺麗だ。 意外にも二線ボケの傾向は目立たなく、滑らかにボケてくれるのでボケ味は良い。 少し絞ればバブルボケ風にはならないけど、ボケ味は良いままだ。 ただ、遠方にピントを合わせた場合の小デフォーカスによる前ボケがザワつくことがある。 勿論、絞ればコントラストも良くてシャープな描写になり、色乗りも悪くない優秀なレンズだと思う。

 巷の評判ではエモい描写が良いと評されているけど、絞り開放でフードを外して前玉が陽光を拾えば円弧状の迷光フレアが発生し、ハイライト部が滲む「エモさ」が良く判った。 個人的に逆光による迷光フレアは好きじゃないし、フードを外して迷光フレアが出る位置を探しながら撮影する事にアホらしさを覚えた。 高性能レンズが当たり前の現代では欠点やクセがあるオールドレンズが好まれるとは当時の設計者は考えもしなかっただろう。

 絞り開放では飽和する様なハイライト部分には盛大なフレアが目立つけど、飽和させなければソフトな描写という範疇になる。 ポトレなどで幻想的でソフトな写真を撮るならこのレンズもありだろう。 また、露出を抑え気味にすれば MC ROKKOR 1:1.4 f=50mm より良い感じの描写だと感じる場合もある。 58mmという長めの焦点距離とF1.4のボケ量は中望遠レンズ感覚で楽しめるレンズだけど、僕好みのレンズは PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm の方だなぁ。

あとがき

 ミノルタのオールド標準レンズは MC ROKKOR-PG 1:1.2 f=58mmMC ROKKOR-PG 1:1.4 f=50mm をもっているけど、58mmのF1.4が気になっていた。 なので、オークションに出ていた minolta SR-T 101 とセットになったレンズをポチってみた。 ポチったレンズを検品すると、ヘリコイドはスムースだし、絞りも綺麗だし、レンズ光学系はフィルター以外は綺麗...イヤ、さほど汚くなかったので、前玉と後玉だけ清掃して、中玉には手を付けなかった。

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