CANON FD 24-35mm F3.5 S.S.C. ASPHERICAL - 当時としては良く写る

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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL
 このレンズは焦点距離24mmから35mmをカバーする広角ズームレンズで、ズームレンズとしては世界初の非球面レンズを採用した製品である。

CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL - 1978年発売

レンズ構成

CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. Aspherical レンズ構成
レンズ構成
 1枚の非球面レンズを含む9群12枚構成の超広角ズームで、凹パワーの前群と凸パワーの後群との配置を移動させる事で焦点距離を変化させるシンプルな移動方式の2群ズームである。 第1レンズの第1面が非球面になっていて、画面周辺の収差補正を担っている。
 設計思想的にはキヤノンの田島氏が設計した FD 35-70mm F2.8-3.5 S.C. の流れを汲むズームレンズで、ズーミングで鏡筒全長が変わらない構造も同じである。 フォーカシングは前群繰出し方式だが、前群全体の繰出し量に対応して前群の内部の第3~5レンズを少し多く繰り出す近距離補正機構(フローティングシステム)が搭載されている。 最短撮影距離は0.4mで、テレ端の35mmならそこそこ寄れる感はあるけど、ワイド端の24mmだと全然寄り足りない。 せめて FD 35-70mm F2.8-3.5 S.S.C. の様にワイド端マクロ機能があれば嬉しかった。

 重量は515gなので、それなりの重量感と存在感が心地よい。 フィルター径はΦ72mmで、鏡筒外周に装着するので、FD 35-70mm F2.8-3.5 S.C. の様にワイド端にしなくてもフィルターの脱着が可能だ。 ただし、距離環操作でフィルター枠も回転してしまうのが難点だ。 なお、金属製のクランプオン式フード W-75 が用意されていたけど、どこかで無くしてしまった。 このレンズはワイド端状態で前玉に触れやすいので、Φ72mm径の広角用ネジ込みフード(社外製)を代用していた。

前群の分解清掃

前群の分解清掃開始
前群の分解清掃開始
 一般撮影の結果が逆光フレアが増えたように感じたので、LEDで照らしてみたら前群の中玉に汚れがある事が判った。 カビが生えない様に保管していても、レンズ内部の汚れが目立ってくることもある様だ。 原因は判らないけど、汚れの酸化などの影響なのだろうか? 仕方ないので、前群をバラシて清掃してから遠景描写を撮影してみたが、一般撮影を再撮影する気にはならなかった。m(_ _)m 分解清掃したら確かにスッキリした描写になった気がする。

描写特性

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。 また、この遠景写真はレンズの前群を分解清掃した後に撮影したものです。

焦点距離:24mm
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F8
絞り:F8

焦点距離:28mm
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F8
絞り:F8

焦点距離:35mm
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
絞り:F3.5
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F8
絞り:F8

 画面中央から周辺まで絞り開放から素晴らしい描写だけど、画面四隅はワイド側ほど甘い描写になる。 絞ると画面四隅の描写も向上するが、ワイド側ほど極四隅ほど甘い描写が少し残る。 ただし、左右がカットされる銀塩プリントなら絞り開放でも気にならないだろう。
 なお、ワイド側ほど周辺光量落ちが顕著になるけど超広角ズームレンズとしては少ない方なので、ガンマカーブが急な輝度範囲入る様に少しアンダー目に撮影すれば効果として利用できるだろう。

一般描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。 なお、記載の焦点距離や絞り値はボケ老人の「記憶」に頼っているので間違っているかも知れません。 また、以下の写真はレンズの前群を分解清掃する前に撮影したものなので、全体的なコントラストや逆光フレアなどはもっと良いと思います。

CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
f=35mm 絞り:F3.5
CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F5.6
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F8
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F8
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F8
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F8
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=28mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=35mm 絞り:F3.5
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CANON FD 24-35mm 1:3.5 S.S.C. ASPHERICAL f=24mm 絞り:F3.5
f=24mm 絞り:F3.5

 開放値がF3.5と明るくはないともあり、絞り開放でも良好な描写で、画面中央は素晴らしい描写だ。 さすがに広角端の画面極四隅は甘い描写となるけど、画面周辺に主被写体を置いても結構シャープに写ってくれるのは非球面を採用しているおかげなのだろう。

 散歩では寄って写したくなる事が多いので、寄り足りない広角側より35mmを多用してしまう。 遠景や風景撮影なら気にならないけど、散歩に連れて行くと寄れない24mmは周囲の余計な物を排除するのが難いのだ。

 オールドズームレンズをデジタル一眼に装着して撮影していると、手振れ補正に設定した焦点距離と実際の焦点距離が異なると逆効果になるのでイライラする事がある。 24-35mmなら手振れ補正の焦点距離を28mmにしておけば概ね対応出来ている感じだ。
 ズーム比が小さいのは否めなく、現代の標準ズームの様に24-70mmだったら爆売れしただろうけど、2群ズームじゃ24-70mmの設計は無理だなぁ。

あとがき

FD時代はレンズ名に技術的特徴が記載されていた
特徴の能書き
 FDレンズの時代は「S.S.C.」とか「ASPHERICAL」とか「FLUORITE」という技術的な特徴を表す文言がレンズ名に付いていた。 New FDレンズの時代になると、これらの文言は削除され、高級レンズには「L」(Luxuryの略)というシンプルな称号が与えられる様になった。 なので、非球面を使っていてもフツーのレンズには「ASPHERICAL」という記載は無いし、「L」すら冠しないレンズも存在した。
 ちなみに、本レンズの2年後に発売された TAMRON SP 24-48mm F/3.5-3.8 Model 13A は様々なカメラに装着出来て便利なレンズだった。 発色があっさりしてたけど、銀塩時代としては描写性能も悪くはなかったし、マウントを交換できたので LEICA R5 や CONTAX で良く使ったなぁ。 特に CONTAX AX ならオートフォーカスが出来るしレンズの最短撮影距離を越えて寄る事が出来たので便利だった。
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