LEICA R5 - 1986年発売

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LEICA R5 前期型 と Elmarit-R 180mm/f2.8
LEICA R5 前期型 と Elmarit-R 180mm/f2.8
LEICA R5 が発売された1986年といえば、TTL式のオートフォーカス一眼レフ黎明期でありカメラ業界にはミノルタショックに揺れていた。 ミノルタと提携関係にあったライカから発売された LEICA R5 は6年前に発売した LEICA R4 のブラッシュアップ機だったので、肩透かしを食らった人も多かっただろう。
1980年代も中頃を過ぎるとカメラも電子化が進み「ビンテージ」と呼べるのか微妙だが、前世紀発売で個人的に愛着のあるカメラは「ビンテージ」ものとしている。

LEICA R5

拡散版の奥で光るセルフLED
拡散版の奥で光るセルフLED
LEICA R5 が発売された頃は、既にミノルタはAFシステムを搭載した「α」シリーズに移行していた。 それでもライカは MINOLTA XD ベースの LEICA R4 を改良し続け、LEICA R4 のお姉さんっぽい風情はそのままで、各機能がブラッシュアップされたカメラを発売した。
それはM型ライカが LEICA M5 以外は基本構成を変えなかったのと似ていて、LEICA R4 / R5 / R6 / R6.2 / R7 と続くのであった。
そうそう、LEICA R5 にはバリエーションがあり、印刷だったシャッターダイヤルが浮き彫りになったり、背蓋にパームレストが付いたり、「R5」ロゴがシャッターダイヤル側になったり、赤丸Leitz赤丸Leicaになったり、変更時期は知らないけど少しづつ変化していた。

メカ式測光分布切換え

メカ式測光分布切換え
メカ式測光分布切換え 中央重点平均測光(上)とスポット測光(下)
測光分布比較(取説)
ハーフミラー化したメインミラーの裏側に、反射小ドットが同心円状に並んだサブミラーを設け、レンズを通った被写体光をマウント基部下側の測光センサーに集める像面測光方式もそのままで、中央重点測光とスポット測光とが切り換えられるのも同じである。
中央重点測光とスポット測光の切換方式も LEICA R4 と同じで、撮影モードセレクターに連動して集光レンズが測光センサー上に移動してスポット測光になるメカ切換え方式である。

シャッターダイヤル周り

シャッターダイヤル周り
シャッターダイヤル周り
大型のシャッターダイヤルが刻印じゃなく印刷なのは LEICA R4 のままだが、シャッター最高速は1/2000秒に引き上げられたけど1秒が無くなった。 シャッターダイヤルの中央にレリーズボタンがあるのもそのままで、LEICA R4 同様に操作フィーリングはあまり良くはない。 シャッターダイヤル基部に撮影モードセレクターがあり、選択状況に応じてダイヤル脇とファインダー内に選択状況が表示される。 なお、撮影モードセレクターには押しボタンがあり、ボタンを押すことでファインダー内のLED表示が点灯し、ボタンを押しながらモードを切り換える。
巻き上げレバー形状は LEICA R4 から変更され、独特でカッコイイデザインになっている。

AEロック機能

AEロック機能
AEロック機能(R4)
このカメラには LEICA R4 同様、レリーズボタンがAEロックボタンを兼ねている。 使い方は、先ず撮影モードをスポット測光の絞り優先AEにセットし、
 ①レリーズボタン半押しで測光スタート
 ②測光したい部位にカメラを向ける
 ③レリーズボタン中押しでAEロック
 ④撮影したい構図にカメラを向け直す
 ⑤レリーズボタン全押しで露光シーケンス開始
撮影時に余計な操作なしにAEロック出来るので大変便利なのだが、スポット測光の時だけ使えるというのが困りもので、他の撮影モードでもAEロックしたつもりになってしまう。
なお、大変軽い半押しの測光スタートに対し、その後のレリーズストロークが重くて長いので『どこでAEロックされるのか? どこでレリーズされるのか?』が判り難いのは LEICA R4 と同じだ。 ただし、AEロックした時のシャッター速度値表示が固定される様に改善されている。
巻き戻しクランク周り
巻き戻しクランク周り
■巻き戻しクランク周り
巻き戻しクランク軸と同軸にフィルム感度ダイヤルががあり、フィルム感度ロック解除ボタンを押しながらダイヤルを回せばフィルム感度を変えられる。 なお、フィルム感度ロック解除ボタンはバッテリーチェックボタンも兼ねていて、赤いLEDが点灯すれば電池OKである。
また、同軸に露出補正レバーがあり、露出補正ロックを解除すれば±2段で露出補正が掛けられる。 露出補正を多用する人にとってはロック解除を維持できるのは良い機構だろう。 露出補正関連の操作性は LEICA R4 に比べて上手に改善されている。  
エプロン右側
エプロン右側
■エプロン右側
エプロン右側には絞り込みレバーとレンズ着脱ボタンとセルフタイマーノブがある。
セルフタイマーを使う場合はノブをひねり、シャッターを「半押し」すればスタートする。 カウントダウン中はペンタカバー中央の LEICA ロゴの C 上にある赤いLEDが点滅する。
野暮なLEDむき出しではなく、拡散版でLEDを目立たないデザインにしているあたりは高級機メーカーらしい配慮だ。
ただし、シルバーボディーだと LEICA ロゴ上に鼻の穴の様に目立つので綺麗なお姉さんが台無しになる。
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視度調整ダイヤル
視度調整ダイヤル(上)
■アイピースシャッターと視度調整ダイヤル
ファインダーアイピース左側のダイヤルをひねるとアイピースシャッターが開閉する。 アイピースシャッターには白△マークがあり、アイピースシャッターが閉じた状態である事が一目でわかる。
LEICA R5 には±2dpの視度調整機構が追加装備された。 年寄りにとって視度調整機構の搭載は歓迎しただろうが、ファインダー倍率が小さくなってしまったのは歓迎できなかった。
ミノルタは1978年発売の Minolta XD 改良機に視度調整機構を搭載し、カメラの名称にシニアの「s」を付け加えて Minolra XDs として発売していて、ライカも LEICA R4S というカメラを販売していたが、LEICA R4 の廉価版というだけでシニアの「S」ではない。
シンクロソケット
シンクロソケット
■シンクロソケット
おでこ左側にシンクロソケットがあり、シンクロカバーで隠してある。 ブラックボディーならそんなに目立たないが、シルバーボディーだと結構目立つ。 これが「ほくろ」みたいなのでネットでお姉さんの「ほくろ」を調べてみると『恋愛にあまり興味がなく、仕事人間になりやすい』という「ほくろ」らしい。
目立つと言えば、トップの LEICA ロゴ上に二つある拡散版窓もシルバーだと鼻の穴の様に目立っている。
 

ファインダー表示

ファインダー表示(中央重点平均測光・シャッター速度優先AE)
ファインダー表示(中央重点平均測光・シャッター速度優先AE)
LEICA R4 と比較して LEICA R5 はファインダー倍率が0.85倍から0.8倍へと低くなっている。 これは LEICA R5 が視度調整機構を組み込んだ弊害で、LEICA R4 の方がファインダー像に迫力がある。 でも、アイピースから眼を離しがちな僕にとっては LEICA R5 のファインダーの方が構図確認し易かったりもする。
基本的なファインダー情報内容は LEICA R4 と同じだが、右側のスケール表示が数値のLED透過照明に変わっている。 LEICA R4 ではファインダー像透過式のスケール表示脇にLEDドットが点灯する方式だったので暗がりでの視認性が悪かったが、LEICA R5 ではクッキリハッキリと数値が読み取れる。
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ファインダ表示 測光分布と撮影モード
スポット測光・マニュアル露出
スポット測光 / マニュアル露出
画面右のシャッター速度スケール値と画面下のシャッター速度設定値とが同じ値になる様に、絞りやシャッター速度を調節すれば適正露出になる。
スポット測光・絞り優先AE
スポット測光 / 絞り優先AE
逆光時などに主被写体の明るさで露出量をロックして撮影したい場合に有効で、光と影と深度と構図を使いこなしたい人むけのモード。
中央重点測光・絞り優先AE
中央重点平均測光 / 絞り優先AE
背景ボカシなどの絞りによる効果を有効に使って撮影するモードです。 ライカでは「背景ボカシとか言わないで「被写界深度を考慮し...」と説明している。
中央重点測光・プログラムAE
中央重点平均測光 / プログラムAE
シャッター速度と絞りとの組み合わせは所定のプログラム線図に沿って設定されるお気楽モード。
レンズの絞りはF22などの最小絞りに設定しておく。
中央重点測光・シャッター速度優先AE
中央重点平均測光 / シャッター速度優先AE
スポーツ撮影などで高速なシャッター速度を維持し、絞りで適正露出にする撮影モードで、設定可能な絞り範囲を超える場合はシャッター速度が変化し始める。
レンズの絞りはF22などの最小絞りに設定しておく。

DATA BACK DB2

DATA BACK DB2
子供の写真を撮るときに日付記録が欲しいと思って買ったけど、やっぱり写しこみは好きになれなかった。 上記写真の通り2021年でも日付対応していて、2045年ころまでは大丈夫だ。

MOTOR DRIVE R

MOTOR DRIVE R
MOTOR DRIVE R
カメラ本体と比べて MOTOR DRIVE R の質感はチープな印象だ。 結局、単三電池を10本も装填しなきゃならないモータードライブの出番は殆どなかった。

あとがき

タムロンレンズが頼り
タムロンレンズが頼り
『LEICA R5 は LEICA R4 と同じでしょ?』と思って触ってみると、まだまだ完璧とは言えないけど LEICA R4 から色々と改善されている事が実感できる。 そんなことで、つい魔が差して LEICA R5 も手に入れた。
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だけど、レンズが高すぎて貧乏人にはちょっと買えない。 必然的にマウント交換方式のタムロンレンズに頼っているが、何処かに SUMMICRON-R 50mm F2 が落ちてないかと探している。

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