ASAHI OPT. smc PENTAX-M 50mm F1.4 - 良く写る標準レンズ

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smc PENTAX-M 1:1.4/50
smc PENTAX-M 1:1.4/50
 Kマウントになった当時の SMC PENTAX 50mm F1.4 は SMC Takumar 50mm F1.4 と同じ光学系だったと思う。 その後の smc PENTAX-M 50mm F1.4 は光学系も見直され、小型・軽量になって PENTAX MX と共に発表された。

smc PENTAX-M 1:1.4 50mm - 1977年発売

 本レンズは1977年に光学系を新設計して発売された 50mm F1.4 標準レンズである。 旭光学の 50mm F1.4 は1962年に8枚玉の Super-Takumar 1:1.4/50 が登場し、1965年に7枚玉の Super-Takumar 1:1.4/50 へ変更された。 その後7枚構成の光学設計はほぼそのままで1975年にKマウント化されていた。 また、従来のレンズでは「SMC TAKUMAR」とか「SMC PENTAX」と全て大文字体で標記されていたが、PENTAX-Mシリーズからは「smc PENTAX-M」の様に smc が小文字体で標記されるようになった。

レンズ構成

SMC PENTAX-M 1:1.4/50 レンズ構成
レンズ構成
 本レンズは1965年から続いた50mm F1.4 標準レンズを1977年にMシリーズ用に光学系も再設計して小型・軽量化したレンズである。 基本構成は従来通りの6群7枚の拡張ダブルガウス型だけど、第6~7レンズは薄肉に設計され、第2~4レンズの曲率も緩くして組立て間隔を圧縮させている様だ。 新しい硝材やコンピュータによる設計手法の進化などが小型化を可能にしたのだろう。
 1965年に8枚構成から7枚構成にできたのは高屈折率硝材が利用できる様になったためで、それが酸化トリウム含有硝材だった。 その後、酸化トリウム含有硝材は別の硝材に置き換えられたが、光学設計はそのままで1975年にKマウント化されていた。 このレンズは久しぶりに全面設計変更された 50mm F1.4 標準レンズなのである。

描写特性

遠景描写

smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F4
絞り:F4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F8
絞り:F8
 F1.4開放では画面全体が少しフレアっぽく、画面周辺ほどサジタルコマフレアにより解像感が徐々に低下する。 F2にすると画面中央のフレアは消えて良い描写となるけど、画面周辺のコマフレアは残っている。 F2.8に絞ると画面四隅を除いて充分な描写となり、F4に絞るとだと画面全域で充分な描写になる。 なだらかで素敵な周辺光量落ちがあるけど、絞りF2.8で殆ど気が付かなくなってしまう。
 風景などの遠景で画面四隅までシャープに写すならF4~F5.6まで絞った方が良いけど、身近な撮影なら絞り開放を除いて必要な焦点深度設定として絞り値を利用できる。

夜景描写

smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F4
絞り:F4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 F1.4開放では輝点が優しいフレアを纏っていて、画面周辺では長く伸びるサジタルコマフレアが発生しているけど、この時代の明るい標準レンズはこんなものだと思う。 F2に絞ると画面中央付近のフレアは消えるが画面周辺のサジタルコマフレアがまだ残っている。 F2.8に絞ると画面隅でも夜景に使えそうになり、F4に絞れば充分に夜景撮影に使えるだろう。
 絞り開放での玉ボケは画面周辺でレモン型になり、輪郭のエッジが立つけど目立たない方だと思う。 絞りF2では八角形ボケになり画面隅ではちょっといびつになる。 絞りF2.8では画面全域で揃った八角形ボケになる。

一般撮影

 記載の絞り値は記憶に頼っているので間違っているかも知れません。 また、「CloseUp」や「ヘリコイド併用」と記載している写真は「多分」ヘリコイドを繰り出して最短撮影距離よりも寄って撮影している事を記しています。

smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4(ヘリコイド併用)
絞り:F1.4(CloseUp
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4(ヘリコイド併用)
絞り:F1.4(CloseUp
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4(ヘリコイド併用)
絞り:F1.4(CloseUp
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4(ヘリコイド併用)
絞り:F1.4(CloseUp
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4(ヘリコイド併用)
絞り:F1.4(CloseUp
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4(ヘリコイド併用)
絞り:F1.4(CloseUp
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 F1.4開放では光線具合によっては少しフレアっぽいけど、充分な描写だと思う。 またヘリコイドアダプターで接写しても画面中央付近に置いた被写体ならフレアっぽいけど絞り開放でも「意外に」良く写ってくれる。 一眼レフの時代では試したことが無かったけど、ミラーレスデジカメなら存分に楽しめる。
 ただし、絞り開放の接写では被写界深度が浅いので、ホワホワな描写でピント位置のみシャープという感じにしたり、背景が全く判らなくする事も可能だ。 また、少し絞れば遠景でも充分にシャープな描写が得られる。

smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F8
絞り:F8
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2
絞り:F2
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F2
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
smc PENTAX-M 1:1.4 50mm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
 絞り開放ではフレアのある描写だけど、色収差によるパープル滲みフレアが少ないので素直なソフトな描写として効果的に使えると思う。 また、ピント位置の前後ボケ周囲に色が付く「色ボケ」も少ない方で、下手すると現代のレンズより少ない気がする。
 デフォーカスが大きい場合のボケは良いと思うけど、デフォーカスが小さめの後ボケは絞り開放ではリングボケの影響でちょっと騒がしくなるシーンがある。 また、画面に太陽を入れてもゴースト・逆光フレアの発生が少ないのは優秀だけど、オールドレンズらしさが少ないとも言える。

あとがき

 先代の SMC PENTAX 1:1.4 50mm を持っていないので比較はできないけど、さすがに古い Super-Multi-Coated TAKUMAR 1:1.4/50 より描写性能が向上している。 その昔はMレンズよりKレンズの方が人気があった様だけど、このレンズを入手して初めて撮影した時は向上した描写性能に驚い事を記憶している。 中古市場での流通量も多いし価格も安いのでオールドレンズ入門にお勧めだ。

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