ASAHI OPT. smc PENTAX-M 40mm F2.8 - ボディーキャップ代わり

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SMC PENTAX-M 1:2.8 40mm
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm
 1975年にKマウントになった当時のレンズはスクリューマウント時代のレンズをKマウント化したレンズが多かった。 しかし、翌1976年に小型化された PENTAX MX が発売され、レンズも小型化された PENTAX-Mシリーズへ置き換えが進んだ。 本レンズはシリーズ最薄のレンズで小型なボディーに良く似合う。

smc PENTAX-M 1:2.8 40mm - 1976年発売

 本レンズは1976年に発売された PENTAX-MシリーズのKマウントレンズで、小型軽量なMシリーズカメラに似合う薄型のパンケーキレンズである。 また、従来のレンズでは「SMC TAKUMAR」とか「SMC PENTAX」と全て大文字体で標記されていたが、PENTAX-Mシリーズからは「smc PENTAX-M」の様に smc が小文字体で標記されるようになった。

レンズ構成

smc PENTAX-M 1:2.8 40mm レンズ構成
レンズ構成
 レンズ構成は4群5枚で、テッサー型の後ろに凸メニスカスレンズがある配置だ。 F2.8のパンケーキレンズは GN Auto NIKKOR 45mm F2.8 や CONTAX Carl Zeiss Tessar 2.8/45 T* などの様に3群4枚の普通のテッサー型が多いけど、本レンズは最後部にレンズを1枚追加して画面周辺の収差補正を試みたのだろう。 なお、絞りは第1レンズの直後にあるのでテッサー型というより昔のエルマー型の発展形と言った方が良いのかも知れない。

 このレンズは第3・4レンズの貼り合わせを従来のバルサムではなく新しい接着剤を用いたらしく、白化現象により曇っている個体が多い。 僕の2本の個体も白化が進行中である。 新素材に対する開発部門の吟味・検証を怠っていたのだろう。 白化が貼り合わせ面の全面に進行したら貼り合わせを無理矢理剥がして再接着するしかないけど、そこまで頑張って補修するレンズじゃないと思う。

 極薄鏡筒であるためヘリコイドの繰り出し可能量に限りがあり、最短撮影距離は0.6mと全く寄れない。 スナップ撮影なら良いけど、年寄りが撮りたくなる花などには寄れないし、テーブルフォトも絶望的だ。 なお、距離環は絞り環より薄いけどピント合わせ操作に支障は感じないので、ちゃんと写せるボディーキャップと考えれば良い。

描写特性

遠景描写

smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F4
絞り:F4
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F8
絞り:F8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F11
絞り:F11
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F16
絞り:F16
 F2.8開放では画面全体が霞がかった感じなのは貼り合わせレンズの白化が原因だと思う。 画面中央の描写はテッサーらしい解像感があるけど、画面周辺部では解像感が低下し、画面極四隅ではぼやけている。 像高が7割付近では若干前ピン傾向となり、画面極四隅では非点較差が急激に大きくなってぼやけている様だ。
 ただし、銀塩プリントではカットされる部位なので不満は多くなかっただろう。 F4に絞ると画面中央付近の霞感が消えて画面極四隅以外は良い描写となり、F5.6に絞れば画面全域で充分な描写となる。 ただし、絞っても画面隅の霞感は残っている。 なお、周辺光量落ちはF5.6でほとんど判らなくなる。

一般撮影

 記載の絞り値は「多分」とお考え下さい。 また、「CloseUp」や「ヘリコイドアダプター使用」と記載している写真は「多分」ヘリコイドを繰り出して最短撮影距離以上に寄って撮影している事を記しています。

smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F2.8 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F2.8 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F8
絞り:F8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F2.8 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F2.8 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F5.6(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F5.6 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F2.8 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F22
絞り:F22
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8(ヘリコイドアダプター使用)
絞り:F2.8 CloseUp
smc PENTAX-M 1:2.8 40mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 特にF2.8開放ではコントラストが低い描写なのは貼り合わせ面が白化している影響だと思う。 その昔は絞り開放でもクリアだった...と記憶している。 また、球面収差補正がフルコレクションタイプらしく、絞り開放で輝点の後ボケには輪郭があるので背景によっては煩く感じる場合があるけど二線ボケ傾向はあまり感じない。 画面中央付近では充分な解像感があるので、白化によるコントラスト低下が惜しまれる。 なお、開放がF2.8と暗いのでハイライト部の後ボケ周辺・前ボケ周辺に色が付く色ボケも殆ど目立たない。 また、F5.6に絞ると極四隅を除いてとてもシャープな描写を示してくれるが、画面周辺に白化の影響によるコントラスト低下がある。

 逆光や太陽入れ込みでもゴーストは少ないけど、フレアーが出てしまう。 このフレアーは恐らく白化による影響だと思われる。 また、最短撮影距離が0.6mなので『全然寄れない!』と感じてしまうが、ヘリコイドアダプターを使えばグイグイ寄る事ができ、描写・解像感も悪くない。

あとがき

 小型一眼レフに良く似合う薄型レンズで、ボディーキャップ代わりに常時装着しておくのも良いし、普通に使うのにも良いレンズだ。 開放がF2.8だし最短撮影距離が0.6mと遠いので大きな後ボケを作る事は出来ないが、ヘリコイド付きマウントアダプターを用いれば大いに遊ぶことが出来る。 ただし、ヘリコイドアダプターを使うと極薄鏡筒の意味が無くなってしまうので、やはりクラシックな一眼レフに装着して極薄鏡筒を愛でるのが正しいのだろう。
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