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LEICA R4 |
1980年に発売された LEICA R4 のベース機が Minolta XD であることはご存知だろう。 Minolta XD は1977年に発売された世界初の両優先AEを搭載した一眼レフである。
従って LEICA R4 も両優先AEが搭載され、加えてプログラムAEも搭載されている。 最も Minolta XD でも シャッター速度優先AEでグリーン・グリーン・グリーンに設定すれば、サイバネーションシステムによりプログラムAE的な自動露出になる。
LEICA R4
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微妙な曲線が色っぽい |
先代の LEICA R3 は Minolta XE ベースで男っぽい雰囲気だったけど、Minolta XD ベースの LEICA R4 は 小型化されてお姉さんっぽいカメラになった。
お姉さんっぽいとは言っても、本体はアルミダイカストでトップカバーは亜鉛ダイカストで底板は真鍮なので、充分な剛性がありヤワなカメラではない。 残念なのは、ダイヤル操作感とレリーズの感触が良くない(個人的意見)ことだ。
特徴的な測光方式
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メカ式測光分布切換え 中央重点測光(上)とスポット測光(下) |
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透けて見えるサブミラー |
個人的に LEICA R4 で特筆すべき機能としては像面測光方式だと思う。 ハーフミラー化したメインミラーの裏側に、反射小ドットが同心円状に並んだサブミラーを設け、レンズを通った被写体光をマウント基部下側の測光センサーに集める方式で、理想に近い測光方式だと言える。
また、測光分布として中央重点測光とスポット測光とが用意されていた。 今どきのカメラは多分割センサーで各領域を測光するのだけど、LEICA R4 では撮影モードセレクターに連動して集光レンズが測光センサー上に移動してスポット測光になるメカ切換え方式であった...涙が出てくる。
なお、ハーフミラーの特性なのかファインダーがちょっと青っぽく感じる。
シャッターダイヤル周り
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シャッターダイヤル周り |
シャッターダイヤルはは大型で、100/B/X/1~1000まできざんであるが、刻印ではなく印刷なのでちょっと安っぽい。 シャッターダイヤルの中央にレリーズボタンがあり、操作性は悪くないがプラモデルのダイヤルを回すようなチープな感触は好きになれない。 シャッターダイヤル基部に撮影モードセレクターがあり、選択状況に応じてダイヤル脇とファインダー内に撮影モードが表示される。 撮影モードセレクターにはロック解除用の押しボタンがあり、ボタンを押すことでファインダー内のLED表示が点灯する。 また、巻き上げレバー形状は LEICA M4 以降の意匠に沿った形状だ。
AEロック機能
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AEロック機能 |
このカメラにはちょっと変わったAEロック機能が搭載されている。 特別にAEロックボタンがある訳ではなく、レリーズボタンがAEロックボタンを兼ねているのだ。 AEロック機能はスポット測光時に有効で、これが無ければスポット測光の絞り優先AEは使いこなせない。
使い方は、先ず撮影モードをスポット測光の絞り優先AEにセットし、
①レリーズボタン半押し:測光スタート
②測光したい部位にカメラを向ける
③レリーズボタン中押し:AEロック
④撮影したい構図にカメラを向け直す
⑤レリーズボタン全押し:撮影開始
これだけ見ると『イイじゃん!』って感じなんだけど、例えば絞り優先でAEロックすると絞り優先を示す「A」表示が消えてAEロックされた事が判るけど、シャッター速度表示はロックされないでぱらぱらと変化する。 レリーズすればロック時点のシャッター速度で切れるけれど、AEロック後も表示が変化するのは納得できない仕様だ。
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巻き戻しクランク周り |
巻き戻しクランク周り
巻き戻しクランク軸と同軸にフィルム感度ダイヤルががあり、フィルム感度ロック解除ボタンを押しながらダイヤルを回せばフィルム感度を変えられる。
なお、フィルム感度ロック解除ボタンはバッテリーチェックボタンも兼ねていて、赤いLEDが点灯すれば電池OKである。
また、同軸に露出補正レバーがあり、露出補正ロックボタンを押しながら露出補正をセットするのだけど、露出補正レバーの操作がやりにくい。 不用意に露出補正が掛からない様にする意図は判るけど操作性が悪すぎる。
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エプロン右側 |
エプロン右側
エプロン右側には絞り込みレバーとレンズ着脱ボタンとセルフタイマーノブがある。 セルフタイマーを使う場合はノブをひねり、シャッターを「半押し」すればスタートする。
セルフタイマーのカウントダウン中はペンタカバー中央 LEICA ロゴの C 上にある赤いLEDが点滅してタイマー動作を知らせてくれる。 野暮なLEDむき出しではなく、拡散版でLEDが目立たないデザインにしているあたりは高級機メーカーらしい配慮だ。
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アイピースシャッター |
アイピースシャッター
ファインダーアイピース左側のノブをひねるとアイピースシャッターが開閉する。 アイピースシャッターには白〇マークが印刷されていて、アイピースシャッターが閉じた状態である事が一目でわかる。
ファインダー表示
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ファインダー表示(スポット測光・絞り優先AE)
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シャッター速度優先AE |
LEICA R4 のファインダー視野外下部中央に絞り環直読窓があり、その右側にシャッター速度設定値、左側に撮影モード表示がある。 また、ファインダー右側に絞り値 又は シャッター速度スケールがあり、その脇のLEDドットが指針の役割をしている。 各撮影モードで表示内容が変化し、シャッター速度設定値はマニュアル露出とシャッター速度優先AE以外ではマスクされ、右側のスケールはシャッター速度優先AE時には絞り値スケールが表示され、それ以外ではシャッター速度スケールに切換るという凝った仕様である。
シャッター速度設定値は拡散版採光式だけど、右側のスケールはファインダ像透過式なので被写体条件によっては視認しずらくなる。
撮影モード(ライカでは撮影プログラムと呼ぶ)
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撮影モード(パンフレットから) |
LEICA R4 には Minolta XD 同様サイバネーションシステムが搭載されている。 シャッター優先AEモードにおいて、設定したシャッター速度によって適正露出が得られない場合は自動的にシャッター速度を変更し適正露出を得る方式である。
また、瞬間絞り込み測光を用いて実絞りの誤差も吸収しているので、レンズの絞り精度的な互換性は気にしなくて良いらしい。
あとがき
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レリーズの感触が良くないと思う |
レリーズタイムラグが大き過ぎるという指摘もあるけど、僕は許容範囲の「遅さ」じゃないかと思う。 瞬間絞り込み測光に掛かる時間なんて僅かだろうから、Minolta XD ゆずりのメカ的な遅さが主因だと思う。 でも、最大の問題は軽いシャッター半押し状態から『あれぇ?』と思うほど長くて重いシャッター全押しストロークだと感じている。
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