TAMRON SP 80-200mm F2.8 LD 30A - ボケ味が良い高性能レンズ

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TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A と CONTAX AX(レンズの下にあるのは専用フード 82HF)
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A と CONTAX AX
 超ド級の Ai-S Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8 が¥42万円だったので、¥14万3千円の TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A は、描写性能は別として小型・軽量で超リーズナブルなレンズに思えてしまう。 しかも ADAPTALL-2 システムなので、各種カメラに装着出来るレンズだった。

TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A - 1985年発売

 メーカー説明では『高性能を誇る80-200mmの大口径望遠ズーム。このクラスでは最も明るいF2.8ですから、動きの速い被写体に対しても一段速いシャッターが切れます。LDレンズ(特殊低分散ガラス)の採用により、色収差を極限まで除去。高い光学性能を秘めています。ズーム全域で優れた高解像力とヌケの良い色再現性を発揮します。』という事らしい。

レンズ構成

TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A レンズ構成
レンズ構成
 12群16枚構成の古典的なズーム比2.5倍の望遠系4群ズームで、当時の一般的な望遠ズームレンズの仕様に対して1段明るいF2.8という高速レンズであった。 前群の1枚(構成図の緑色のレンズ)に特殊低分散レンズを使用する事で、明るい望遠レンズで顕著になる色収差を抑えている...事になっている。 また、絞り羽根は9枚仕様で、絞っても多角形感が少ない綺麗な玉ボケが得られる。

 ズームとフォーカスを一つのリングで行う直進ズーム方式で、マニュアルフォーカス時代では操作リングを変更することなく両方の操作が行えるのは便利だった。 操作環を手前に引けば望遠になり、前方へ押せばワイドになるのは他の直進式4群ズームと同じである。
 ちょっと残念なのは、大き目で5枚もあるバリエーターレンズ群が重いのに、ズーム操作トルクが軽めなので、レンズを垂直にするとズームがズルズル・スコーンと移動しちゃう事だ。 気になる人は気にするだろう...僕だよ。

 フォーカスは前群繰出し方式で、フォーカス敏感度は高過ぎずちょうど良いと思う。 最短撮影距離は1.5mで、テレ側は良いのだけどワイド側では寄れないと感じる事が多い。 重量は1359gもあり、結構な重さだけど鏡筒の作りは高級感があって良い。 フィルター径はΦ77mmでフォーカス操作に伴って回転してしまうので、PLフィルターは使い難い。 フードはバヨネット式の金属製フード 82HF が付属していて、収納時は逆付け収納できるものだ。

操作性が良くない付属の三脚座
付属の三脚座
 重量級のレンズなので脱着式の三脚座が付属している。 この三脚座の上半分は円弧状になっているのだけれど、下半分は直線二股状になっていて下側の2点が鏡筒に接する様になっているので、鏡筒側の2点に集中して負荷が掛かる。 また、鏡筒に当たる部分には滑り止め樹脂が付いていて、緩めてもちょっと回し難いし不安定なので操作感が良くない。 下半分も円弧状にして、鏡筒側には回転用のガイド溝があれば操作性が良かったと思う。

緑のロッコールを彷彿とさせるコーティング反射色
コートの反射が綺麗
 前玉系・バリエーター系のコーティング反射色がグリーン系で「緑のロッコール」を彷彿とさせる。 全体に光る美しい緑の反射の奥に中玉レンズからのパーブルやマゼンタの反射色が華を添えている。 もっとも、「角度を探して覗けば」というだけで、いつでもどこでも緑に見える訳ではない。 もし、ミノルタのヤワなACコート(2層アクロマチックコーティング)と同じ様なコートだとしたら、レンズ面の拭き掃除は優しくした方が良いだろう。

 ちなみに、一度も見かけたことが無いけど、ライバル?である Ai-S Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8 は重量が1900gもある超ド級ズームレンズだった。 ニコンのサイズと重量に比べたら SP 80-200mm F2.8 LD の1359gは可愛いと言える。 そういえば、トキナーも ATX 80-200mm F2.8 を出していたなぁ。

テレコン対応

Tamron SP Teleconverter 140F(1.4X)と 01F(2X)
Tamron SP Teleconverter
 タムロンでもテレコンを販売していて、各カメラメーカー専用のテレコンもあったと記憶しているが、アダプトール2マウント専用のテレコンが用意されていた。
 これはテレコンの前後マウントがアダプトール2マウント仕様になっていて、レンズと各カメラ用マウントとの間に装着するものだ。 従って、アダプトール2マウントレンズならカメラメーカーに関係なく装着出来る便利なものだった。 本レンズにタムロンのテレコンを装着すると...
  • Tamron SP 1.4X Teleconverter 140F 装着 → 112-280mm F/3.9
  • Tamron SP 2X Teleconverter 01F 装着 → 160-400mm F/5.6
 ...と焦点距離を1.4倍と2倍に伸ばすことが出来る。 タムロンのテレコンは両方とも持ってはいるのだけど、使う準備をしただけで使った記憶が無いのよねぇ。

 現代のレンズ用である SONY SEL14TC も持っているけど、やはり使う機会が少ない。 謀有名カメラマンが『SONY FE 300mm F2.8 GM OSS と組み合わせてもAF性能・画質ともに素晴らしいよ』と褒めていたけど、僕にはAF性能・画質とも低下するのが判るので、よほどの事情が無い限り使う機会が無いのである。

描写特性

遠景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。

焦点距離:80mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F8
絞り:F8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F11
絞り:F11
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F16
絞り:F16
 絞り開放の画面中央付近は少しソフトな描写で、画面周辺ほどソフト感が増す。 F4に絞ると、画面中央付近は良い描写になり、画面周辺の描写も少し向上する。 F5.6に絞ると画面全域が充分な描写になり、F8まで絞ると画面全域で素晴らしい描写となる。 なお、陽炎の影響で画像がボヤボヤしているので、色収差以外の詳細な描写性能の判断は難い。
 また、周辺光量落ちはあるけど目立つ程ではなく、F8で解消されるまでジワジワと周辺光量が上がって行く。

焦点距離:135mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F8
絞り:F8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F11
絞り:F11
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F16
絞り:F16
 絞り開放の画面中央付近は少しソフトな描写で色収差も感じられ、画面周辺ほど描写性能が少し低下してゆく。 F4に絞ると、画面中央付近は良い描写になり、画面周辺の描写もぐっと向上する。 F5.6に絞ると画面全域が充分な描写になり、F8まで絞ると画面全域で素晴らしい描写となる。
 ただし、画面隅で倍率色収差が少し認められる。 なお、陽炎の影響で画像がボヤボヤしているので、色収差以外の詳細な描写性能の判断は難い。
 また、周辺光量落ちはあるけど目立つ程ではなく、F8で解消されるまでジワジワと周辺光量が上がって行く。

焦点距離:200mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F8
絞り:F8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F11
絞り:F11
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F16
絞り:F16
 絞り開放では少しソフトな描写だけど、画面全域が均質で実用的な描写である。 F4に絞ると周辺光量が向上するけど描写性能は開放と大きく変わらない。 F5.6に絞るとシャープ感が増して充分な描写となり、F8まで絞ると画面全域で素晴らしい描写となる。
 ただし、画面周辺のハイライト部に倍率色収差が認められる。 なお、陽炎の影響で画像がボヤボヤしているので、色収差以外の詳細な描写性能の判断は難い。
 また、周辺光量落ちはあるけど目立つ程ではなく、F11で解消されるまでジワジワと周辺光量が上がって行く。

夜景描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを白色蛍光灯に設定し、Dレンジオプティマイザーをオンにして現像しています。

焦点距離:80mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放では高輝度部の周りにパープルフレアが少し発生していることが判り、画面全体に少しソフトな描写だ。 また、画面隅ではサジタルコマフレアが少し発生している事も判る。 F4に絞るとパープルフレアは目立たなくなり、画面隅のサジタルコマフレアは判らなくなる。 F5.6に絞るとパープルフレアは感じなくなり、画面全域で充分な夜景描写になる。

 9枚絞りなので輝点に18本の回折スパイクが発生するけど、円形絞りに近いのであまり強烈には発生しない。 絞って太陽を画面に入れ込んで強烈な回折スパイク(サンスターとも言う)を出したくても無理だろう。 

焦点距離:135mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放では高輝度部の周りにパープルフレアが少し発生していることが判り、画面全体に少しソフトな描写だ。 また、画面隅ではサジタルコマフレアが少し発生している事も判る。 F4に絞るとパープルフレアが目立たなくなり、画面隅のコマフレアは激減して丸くなる。 F5.6に絞るとパープルフレアは感じなくなり、画面全域で充分な夜景描写になる。

焦点距離:200mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放では高輝度部の周りにパープルフレアが少し発生していることが判り、画面全体に少しソフトな描写だ。 画面隅のサジタルコマフレアは意外と少ない。 F4に絞ると画面隅のコマフレアはかなり減少し、パープルフレア感が少し残っている。 F5.6に絞ると画面全域で充分な夜景描写になるが、高輝度な窓枠にパープルフレア感が少し残っている。

玉ボケ描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にホワイトバランスを白色蛍光灯に設定し、Dレンジオプティマイザーをオンにして現像しています。

焦点距離:80mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放でも玉ボケのエッジが目立つ事無くとても素直な玉ボケだ。 画面周辺ではラグビーボール型の玉ボケになるが、エッジが立たないので穏やかだ。 絞りをF5.6にすると画面隅近くまで丸い玉ボケになり、絞りによる多角形感は気にならない。

焦点距離:135mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放でも玉ボケのエッジが目立つ事無くとても素直な玉ボケだ。 画面周辺ではいびつなラグビーボール型の玉ボケになるが、エッジが立たないので穏やかだ。 絞りをF5.6にすると画面隅以外は丸い玉ボケになり、絞りによる多角形感は気にならない。 これは絞りをF8にしても同様である。

焦点距離:200mm
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放でも玉ボケのエッジが目立つ事無くとても素直な玉ボケだ。 画面周辺ではラグビーボール型の玉ボケになるが、エッジが立たないので穏やかだ。 絞りをF5.6にすると画面隅以外は丸い玉ボケになり、絞りによる多角形感は気にならない。 絞りをF8にすると多角形感が感じられる様になる...気がする。

一般描写

 以下の遠景描写の写真はRAW現像時にオートホワイトバランスに設定し、Dレンジオプティマイザーをオフにして現像しています。 なお、記載の焦点距離や絞り値はボケ老人の「記憶」に頼っているので間違っているかも知れません。 当然だけど、絞れば描写性能は向上するので、主に絞り開放で撮影しています。

TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=70mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F2.8
f=135mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.86
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F5.6
f=200mm 絞り:F5.6
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F8
f=80mm 絞り:F8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F8
f=200mm 絞り:F8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F2.8
f=135mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=135mm 絞り:F2.8
f=135mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F2.8
f=200mm 絞り:F2.8
TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD f=200mm 絞り:F5.6
f=200mm 絞り:F5.6

 開放値がF2.8と明るいので1段高速なシャッター速度が使える利点があり、絞り開放でもなかなか良い描写だと思う。 ただ、最短撮影距離が1.5mなので、テレ側はまだしもワイド側は遠すぎる。 『マクロ機能があればなぁ』と思いつつ、後ずさりしながらズームをテレ側へ移動してしまう。 従ってテレ側の使用頻度が高くなってしまう。

 テレ側の絞り開放では少しソフトな描写で、色収差が気になる事もあるけど充分な描写だし、綺麗な背景ボケなのでポトレには丁度良いと思う。 F5.6まで絞ればシャープで素晴らしい描写になるけど、特殊低分散硝材使用を謳うなら開放からシャープな描写にして貰いたかった。 なお、「絞り開放で少しソフト」とは言っても、「絞った時のシャープさに比べたら」なので、ピント合わせの精度が如実に表れる。 細心の注意を払ってピント合わせしないとレンズの性能を引き出せない事に変わりはない。 また、ディストーションはあるけど、タイル壁面でも撮影しない限り気になる事は無かった。

逆光では鏡筒内で光る部分が多い
鏡筒内に光る部分が多い
 逆光には弱く、太陽を画面内に入れ込むと逆光フレアやゴーストが発生する。 ゴーストは効果として利用出来るけど、逆光フレアはコントラストが大きく低下するので困りものだ。 特にテレ側は逆光に滅法弱く、前玉が陽光を拾う条件ではカブリの様な派手なフレアが発生する。 レンズをマウント側から覗くと内壁やレンズコバなど、強く光る場所が沢山見えるので詰めが甘い仕上げだったと言える。 コバ塗り等を指示するとコストが上がるとはいえ、キチンと対策して欲しかった。

 当時のタムロン製ズームレンズは発色があっさりした製品が多かったけど、本レンズの発色も派手さは無く控えめだ。 でも、素直でニュートラルな発色なの悪くないと感じる。 また、ズームレンズにしてはボケ味がとても良く、前ボケも後ボケもスムースにボケてくれる。 二線ボケやリングボケの傾向も感じられないし、嫌味の無いボケ方をしてくれる。 ちょっと残念なのは、高輝度ボケ像の周りに 後ボケは緑色で前ボケは紫色に色が付く「色ボケ」があり、シーンによっては気になる。
 昔々に初めて使った時は『あれぇ、本当に❝LD❞なの?』と思った記憶がある。 特殊低分散硝材をもう一枚奢れば描写性能が格段に上がったに違いない...と想像している。

 ちなみに、特殊低分散硝材を使っていないけど優秀な LEITZ WETZLAR ELMARIT-R 1:2.8/180 よりヘッドライト等の高輝度部周りのフリンジが少ない気がするのは特殊低分散硝材のおかげなのだろう。 あっ、昔々 NIKKOR-P·C Auto 1:2.8 f=180mm を買ったけど直ぐに手放した。 なせ手放したのか思い出せないけど、描写特性に不満があったのだろう。

 TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A は色収差がある程度は抑えられているし、ズームレンズとしてはボケ味が非常に良く、逆光でなければ素晴らしいパフォーマンスを示してくれる。

あとがき

CONTAX AX + TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD
CONTAX AX + TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD
 昔々、辞書並みに大きい CONTAX AX と組み合わせてオートフォーカスを併用して便利に使っていた。 望遠レンズでは CONTAX AX のオートフォーカス合焦範囲が限られるけど、マニュアルフォーカスでピント範囲をアシストし、最後はカメラのオートフォーカスで合焦させる使い方だ。 少なくとも腐った僕の眼でピントを合わせるよりも良かった。
 実は TAMRON SP 80-200mm 1:2.8 LD model 30A が発売される5年前の、1980年に SP 70-150mm 1:2.8 SOFT model 51A というマニア向けの明るい望遠ズームが既に発売されていた。 ただし、マニアック過ぎて一般受けしなかった様で、今では中古市場で希少種として人気があるらしい。 今更だけど、model 51A はちょっと気になるソフトフォーカスレンズである。
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