OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2 - 銘中望遠マクロ

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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2
 OM-SYSTEMの販売期間中に 21mm F2 / 28mm F2 / 24mm F2 / 35mm F2 / 40mm F2 / 50mm F2 MACRO / 85mm F2 / 90mm F2 MACRO / 100mm F2 / 250mm F2 の「開放F2シリーズ」10本が順次発売された。 お金持ちなら買い揃えているのだろう。

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 - 1986年発表

 1986年発表の開放F2の明るい中望遠マクロレンズで、オリンパスの開放F2シリーズの中望遠レンズには、ポートレイト撮影用の 85mm F2 と マクロ撮影用の 90mm F2 と 全般撮影用の 100mm F2 の3種を揃えた贅沢な製品構成だった。

レンズ構成

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 レンズ構成
レンズ構成
 9群9枚構成のマクロレンズで、特殊分散のED硝材と異常分散硝材を使用し、距離に応じた収差変動を補正する近距離補正機構を搭載する事で、中望遠マクロレンズとしては異例に明るい開放F2を実現している。
 レンズ構成としては6群6枚の拡張ダブルガウス型の後ろに3群3枚の補正光学系を追加した構成になっていて、貼り合わせ面が1面も無い。 距離環操作で中筒全体が繰り出されるが、フローティングエレメントである後ろ側3枚は内筒に対してカムにより非線形な繰り出し方をする。 内筒はダブルヘリコイドになっている様で、距離環周りの鏡筒が非常に太い。

 本レンズとは随分と雰囲気が異なるけど、タムロンの SP 90mm F/2.5 もダブルガウス型の後ろに凹凸2枚の補正レンズを配した形式だった。 なお、距離環敏感度が高すぎる事と、被写界深度が浅い事もありピント合わせに神経を好かうので、一回転半くらい回る距離環だったら良かったと思う。 これは ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2 を含めたマクロレンズ全般の傾向である。

専用フードを装着して最大繰出しにした状態
最大繰出し状態
 最短撮影距離は0.4m(撮影倍率0.5倍)まで寄れるハーフマクロ仕様で、通常の撮影ではマクロレンズとして充分である。 絞り羽根は9枚で、絞り込んでも玉ボケの多角形感は少なくて良い。 なお、ヘリコイドの繰り出し量がとても多いからか、通常のOM-SYSTEMレンズと異なり絞り環がマウント側に付いている。 ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2 はレンズ先端側に付いていたので、OM-SYSTEM レンズとしては異端だ。
 フードは ZUIKO AUTO-MACRO 135mm 1:4.5 と共用のカブセ式ラバーフードで、レンズ先端外周の製品名刻印が見えなくなるまで突き当てると安定して固定できる。 どうせなら、フード根元の内径を大きくして貰えれば、フードを逆付け収納できて携帯性が良くなったと思う。

描写特性

遠景描写

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
絞り:F2
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2.8
絞り:F2.8
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F4
絞り:F4
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F5.6
絞り:F5.6
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F8
絞り:F8
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F18
絞り:F11
 マクロレンズだけど遠景でも描写性能は 100mm F2 よりが勝っていて、開放から画面全域で良い描写で、少し絞れば素晴らしい描写となる。 なだらかな周辺光量落ちがあり、F2.8で目立たなくなりF4で解消される。
 遠景とはいえ画面下側左右は距離が近いので絞り開放ではボケているけど、右の遠景高層マンションは絞り開放でも周辺光量落ち以外は素晴らしい描写だ。
 軸状色収差や倍率色収差なども感じられない超優等生の写りで、現代の❝90mmF2.8マクロ❞レンズと比較しても負けない描写性能だと思う。

一般撮影

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
絞り:F2
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F11
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F5.6
絞り:F5.6
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2.8
絞り:F2.8
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm 1:2 絞り:F2
絞り:F2
 遠距離でも接写でもシャープな描写で、ボケも滑らかだし開放F2と明るいので大きくボカすこともできる素晴らしいレンズだ。 また、条件によっては色収差が気になるシーンもあるけど、概ね色収差は良好に補正されていると思う。
 高層マンションも近くから写すと上側と下側とでは距離がかなり異なり、開放では深度に納まらないけど、F2.8に絞れば上から下までシャープに写る。

 画面内に太陽を入れ込むとダブルガウス型特有のゴーストが発生してくれて、逆光フレア・ハレーションも❝眩しい❞感じに演出される。 ところが、撮影後に『逆光フレア・ハレーションが昔より多いなぁ』と思ってレンズにLEDを当てて中を良く覗いてみたら、中玉にうっすらと曇っている面があった。💦 レンズを分解・清掃すれば逆光フレア・ハレーションがグッと減るハズだ。 このレンズを分解した事は無いけど面倒だなぁ....

 手持ち接写で絞り開放のピントを合わせるのは至難の業で、風で被写体が揺れたり老体が揺れたりするので、ピントが合うのは運まかせになるのは仕方ない。 でも、撮っていて楽しいと感じられる数少ないレンズの1本である。

あとがき

 ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2 は「明るく」て「高性能」で「ボケ味が良く」て「接写もでき」る、非の打ち所がない銘オールドレンズだと思う。
TAMRON SP 90mm F/2.5 Model 52BB
TAMRON SP 90mm F/2.5
 当時の中望遠マクロといえば、❝タムキュー❞と呼ばれた TAMRON SP 90mm F/2.5 Model 52B(僕が持っているのは後継の Model 52BB) が人気で、ポートレイトマクロの異名があった。 タムロンレンズはマウント部を交換して各社のカメラに装着出来る優れもので、沢山のタムロンレンズにお世話になった。 実際、遠景からマクロ域まで優れた描写をしてくれたので、オリンパス以外ではタムロンを使っていた。 多分、❝タムキュー❞を愛用していた人も多いだろう。 あと、ビビターが設計してトキナーが生産していた Vivitar Series 1 90mm F2.5 Macro も高性能で人気があった。
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