HASSELBLAD 205TCC - 1991年発売 - ハッセルの完成形

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HASSELBLAD 205TCC + Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T*
HASSELBLAD 205TCC
 名称のTCCとは「Tone & Contrast Control」の意味で、高度な露出コントロールができる。 このカメラにはTTL開放測光式スポットメーターが内蔵されていて、電子制御式布幕フォーカルプレーンシャッターは16秒(AE時)~1/2000秒の範囲で制御される。 スポット測光範囲は画面の中央約1%で、かなりのスポット具合といえる。 今は 205TCC か 2000FCW 以外は全く使わなくなったけど、他の子たちも手放せない。 なお、205TCC はハッセルブラッド設立50周年記念モデルという話もあるけど、記念カメラが好きなハッセルにしては何処にもその手の刻印・印刷は無いし、カタログ等にも記載が無いので 205TCC はたまたま50周年の年に発売したという事だと思っている。(同じ1991年に 503CX の50周年記念モデルが発売されている)

HASSELBLAD 205TCC

 HASSELBLAD 205TCC はクラシックな雰囲気を残す中版一眼レフだけど、最新の機能を搭載してるので「Vintage」カテゴリじゃないかもしれない。 一応は前世紀のカメラなので「Vintage」に分類しておいた。 ちなみに、ハッセルは製造番号で製造年が判る事は他でも書いたが、本カメラの製造番号にある2文字のアルファベットは「EH」なので、1992年製造だと判る。

カメラの動作モード

セレクターダイヤル
セレクターダイヤル
 このカメラは高度に電子化されていて4種類の撮影モードと設定モードとがあり、カメラ左側面のセレクターダイヤルで以下のモードを選択できる。 なお、何故 A/Pr/D/Z/M という並び順なのか不明だけど、A と Pr の利用頻度が高いと考えたのかも知れない。 Prは撮影モードではないので、文字色を黄色とかに変えるべきだったと思う。
 ちなみに、セレクターダイヤル中央のボタンはAEロックボタンで、左の▲▼ボタンは設定値のアップ・ダウンボタンである。
モード カメラの動作
A 絞り優先AEモード
 設定した絞り値で適正な露出になる様にシャッター速度を自動的に変化させてくれる。 AEロックや露出補正も可能で、AEロックはシャッター速度をロックするのではなく露出量をロックするので、AEロック後に設定絞りを変えればシャッター速度が自動的に変更される。 また、このモードではシャッター速度リングは手振れ警告用速度設定となるので、高速側に設定したままだと赤い警告が煩く点滅する。 なお、レリーズボタンを離したり測光タイマーが切れるとAEロックは解除される。
Pr プログラムモード
 一般的なカメラ用語の「プログラムAE」の事ではなく、フィルム感度やフィルムコントラスト(ラチチュード)などを設定するモードである。 フィルム感度を設定しておけば「TCCマガジン」以外の時に設定した感度が採用される。 ラチチュードを設定しておくと、ディファレンシャルモードの時にEV差がラチチュード範囲を超えると点滅警告する様になる。 その他にセルフタイマーの動作時間(デフォルトは10秒)を2秒から60秒の範囲で設定できる。
D ディファレンシャルモード絞り優先AE
 露出を合わせたい部分でAEロックさせると、その後に測光される部分はAEロックした部分とのEV差が表示される。 このモードではAEロックした露出量はレリーズ後でも測光タイマーが切れても記憶されているので、露出量を決めてしまう時に便利だ。 たとえば、絞り効果を変えて数カット撮影する場合など。
Z ゾーンモード絞り優先AE
 白黒プリントに最適な露出を得るモードで、露出を合わせたい部分でAEロックし、その部分のゾーン(AEロック時点はゾーン5)をアジャストする事で白黒プリント時に「覆い焼」や「焼き込み」が最小で済む露出が設定される。 そのために、使用するフィルムのコントラストを事前に把握・設定したり、AEロックする部分のゾーン値を判断する「眼」が必要で、一般人が使いこなすのは難しいので僕は使ったことが無い。
M マニュアル露出モード
 設定したシャッター速度と絞りの組み合わせに対して測光している部位の適正露出からのEV差が表示される。 シャッターボタンを半押しすれば設定絞り値が表示され、指を離せばEV差表示に戻る。 仕様を知らなければ面食らう表示だが、判っていれば気が利いていると理解するだろう。

ブルーライン

2本のブルーライン
2本のブルーライン
 全ての機能を有効に使うには、ブルーラインが入ったFEシリーズのレンズと組み合わせる必要があり、ブルーラインが入ったTCCフィルムマガジンと組み合わせればマガジン側で設定したフィルム感度などがカメラに伝えられる。 また、ワインダーTCCを装着すれば1.3駒/秒で連続撮影もできる。
 CFシリーズレンズやFシリーズレンズを使用するときは絞り込み測光となるけど、マニュアル露出や絞り優先AEも使える。 また、CFシリーズや古いCシリーズでレンズシャッターを使用するときは、カメラのシャッター速度環でCレンズ装着を指示すれば、レンズシャッター方式となる。 ただし、使用シャッター速度が伝達されないのでインジケーターには「- c -」と表示して測光すらしてくれない。

フラッシュ測光システム

フィルム面側を睨む測光センサー(シャッター幕側から撮影)
フィルム面側を睨むセンサー
 主ミラーの中央部に光を透過する多数のドットが開いていて、裏側のサブミラーで反射させて受光センサーに導かれる。 スポット測光範囲は画面中央の約1%とかなりのスポット具合なので、AE撮影の場合は撮影前にAEロックを用いる必要がある。 欠点は素通しのスプリットプリズム内では主ミラーのドットが判ってしまう事で、うっとおしく感じてしまう。 前面マットのスクリーンなら良いけど、僕の眼ではスプリットが無いとピントを合わせる自信が無い。

 この測光システムは OLYMPUS OM-2 の様なリアルタイムダイレクト測光ではないので、フィルム面反射量に関係なくレリーズ前に示されたシャッター秒時で露光される。 レリーズボタンの半押しで測光が開始され、レリーズボタンを離しても約15秒間は測光が継続される。 また、測光が開始されていない状態からレリーズボタンを早全押し撮影しすると、明るい環境では正確な測光値で露出されるけど、暗所では露出量が多くなる傾向がある。 このカメラで早全押し撮影はしないと思うので、通常使用なら応答性に問題は無いだろう。

 AEロックするには測光動作中にレリーズボタンを触らないでセレクターダイヤル中央のボタンを押せばAEロックされるが、この時点では絞りが「00」表示のままである。 この状態でレリーズボタンを半押しすると絞り値が表示され、何処へ向けても露出値が変わらないのでAEロックされている事が判る。 でも、明確にAEロック中である事が判るAEロックマークの様な表示も欲しかった。 なお、撮影しないでレリーズボタンを放すとAEロックが解除される。 ちなみに、AEロック中に絞り値を変更すると露光量が一定になる様にシャッター速度が変化してくれるので、本当のAEロックになっている。

 使用電池は 2000FC 時代から同じ電圧6Vの4LR44型(4SR44型でも動作する)で、メイン電源スイッチは無いけれど待機時の消費電力は非常に少ない様だ。 なので、液晶照明を多用しない限り、前回に電池交換した時期なんて忘れた頃に電池警告が出る。 ちなみに、電池が切れてコンビニへ行くと4LR44型に似た単五アルカリ電池があったりするので、確認しないで買うと後悔する...値段が安いので気が付くと思うけどね。

調光システム

リングストロボ SUNPAK auto DX 12R でTTL調光が可能
SUNPAK製リングストロボ
 前述の測光システムは専用ストロボを用いたTTL調光にも使用さる。 TTL調光時は光束を制限する主ミラーはアップ状態なので、フィルム面反射式の中央重点調光となっているハズだ。 ストロボはMetz MecablitzのSCAシステムに連動する様になっていて、SUNPAK製ストロボのDXシューシステムにも「HA-2D」という互換製品がある。 この「HA-2D」を使えばSUNPAK製DXシュー対応のクリップオンストロボやリングストロボを205TCCでTTL調光できるし、DXシューを交換すれば銀塩時代の各カメラメーカーの調光システムに対応する優れものだった。

FE 80mm F2.8 絞り:F5.6 1/45s 中間リング併用でリングストロボによる日中シンクロ(期限切れで腐ったリバーサルフィルムなのでサンプル写真が妙です)
リングストロボ使用
 SUNPAK製のクリップオンストロボの他にリングストロボでもTTL調光が可能で、主要なカメラメーカー用のDXシューを揃えていた。 ちなみに、ハッセル用の「HA-2D」はカメラとストロボとを専用の6ピン通信コネクタで接続する事でTTL調光が可能で、TTL調光機能がないハッセルとは旧来のシンクロ接点(PCターミナル)ケーブルを接続する。
 ちなみに、カメラと接続する6芯のスパイラルケーブルはメッツ製品もサンパック製品も同じパーツらしく、両製品とも劣化によりケーブル被覆がボロボロになってしまうのが残念だ。 スタジオ撮影のプロカメラマンたちは汎用大型ストロボを使っていただろうから、この調光システムを利用する人は少なかったと思う。 僕は沢山ある銀塩カメラ用に対応する SUNPAK B 3600 DX を使っていたけど、205TCC ではマクロ撮影にリングストロボを使ってTTL調光を利用していた。
(期限切れで腐ったリバーサルフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)

シャッター速度リング

マウント部のシャッター速度リング
シャッター速度リング
 シャッター速度リングは2000/200シリーズ共通で、レンズマウント部に円環状に付いていて、1秒~1/2000秒の範囲で0.5段ステップで選択でき、CやBへはレンズ脱着釦を押しながら切り換える。 なお、1/60秒と1/125秒の間の⚡マークが1/90秒のX同調速度である。 僕は絞り優先AEを利用するのでシャッター速度設定は意味をなさないので、シャッター速度設定を1秒にして煩く赤点滅する手振れ警告が出難くしている。
 ちなみに、カメラシステムが重いこともあり、手持ち撮影で低速シャッターの場合でも意外とブレが少ない。

ミラーアップ&セルフタイマー

ミラーアップ&セルフタイマー操作レバー
ミラーアップ操作レバー
 巻き上げクランクの下にミラーアップレバーがある。 このレバーを操作するとミラーがアップしてレンズの絞りも絞られた状態になる。 この状態でレリーズボタンを押せばシャッターが走行して撮影が完了する。 また、ミラーがアップした状態でもう一度レバーを操作すればセルフタイマーがスタートする。 ちなみに、ミラーアップしたら撮影しちゃうしか無いので『やっぱり止めた』と思ったら、多重露出ボタンを押しながら巻き上げればミラーが降りてシャッターのみ再チャージされる。
 ちなみに、巻き上げクランク軸基部のボタンは従来通り多重露出ボタンだけど、ミラー動作設定は無くなった。 ミラーアップ自体は可能だし、内蔵露出計に頼るカメラなのでミラーアップ状態を維持する様な機能が無くても問題ないだろう。

交換式ファインダー

照明中のファインダー視野(プリズムファインダーPM5+方眼スプリットスクリーン)
ファインダー視野
 205TCC がこれまでの2000シリーズや500シリーズと大きく異なるのはカメラ本体に露出計を内蔵した事だ。 露出計の表示はファインダー視野上部にあり、外光採光式のLCDで表示され、照明ボタンを押せばLCD背景を赤く照明する事も出来る。
 残念ながら、露出表示用のプリズムが従来のファインダー前側座面と干渉するため、フォーカシングフード(ウェストレベルファインダー)を含めてブルーラインが入ったTCC対応ファインダーしか装着出来ない。 205TCCは露出計内蔵なので、僕が常用しているファインダーは露出計の無いTCC対応「PM 5」プリズムファインダーで、縮んだ貼革を剥がして糊を清掃したうえでサードパーティー製の合成革を貼ってある。 このプリズムファインダーの視野は歪みが酷いので、慣れるまでは船酔いみたいな感覚に襲われる。 なお、ファインダーで見えるボケ具合は当てにならないのは明るいファインダースクリーンの常で、各レンズの撮影結果を頭に叩き込んで想像しながら撮影するしかない。
 ちなみに、僕自身の眼玉は固定焦点だし左右の視度が異なっていて、このプリズムファインダーを覗くには左眼でないとピントが判り難い。 ハッセルのファインダーには視度調整機構が無く、視度補正レンズを装着する方式なのが残念だ。

本体スライド面奥のプリズムファインダー検知スイッチ
プリズム検知スイッチ
 特筆すべきハッセルならではの工夫として、左右が逆転するウェストレベルファインダーであっても左右正像のプリズムファインダーであっても露出表示文字は「正像文字」で表示されることだ。
 これはプリズムファインダーを装着すると本体スライド面奥のスイッチが押され、LCD上の文字を左右反転させることて実現している。 利用者は気付かないで使っているだろうけど実に気が利いた機能だと思う。
TCCファインダー座面の切り欠き
座面の切り欠き
 ちなみに、フォーカシングフード(ウェストレベルファインダー)はファインダー前側座面の左側が大きく切り欠かれていて、カメラ側スライド面奥のプリズム検知スイッチが押されない様になっている。 また、左レール側面前方の切り欠きはカメラ側のガードを避けるためで、TCC非互換ファインダー(側面切り欠きなし)は装着出来ない様になっている。 これは測光表示用プリズムの破損を防ぐために重要な仕組みだ。

交換フィルムマガジンの接点

交換式フィルムマガジン A12TCC の接点
フィルムマガジンの接点
 ハッセルはフィルムマガジンにより撮影途中でも異なる種類のフィルムに変更が出来るシステムである。 そこで205TCCではブルーラインが入った電子接点が追加されたTCC対応フィルムマガジンとなり、マガジン側で設定したフィルム感度やフィルムコントラストをカメラ本体側に伝達している。 なお、フィルムコントラストは 205TCC のゾーンモードで利用される。 なお、TCC非対応マガジンを利用する場合はPrモードで設定した感度などが採用されるが。 フィルム感度のみに対応したE12マガジンを装着した場合はフィルム感度情報のみがカメラに伝えられる。
 ちなみに、2000FC/Mや2000FCWに搭載されていた、フィルムマガジンを外すとシャッター先幕が走行して先幕に触れる危険を回避する機能は無くなっている。 多分、布幕にしたので破損の危険が少なくなったからだろう。

交換レンズの接点

 これまでもハッセルには露出計内蔵プリズムファインダーはあったけど、フィルム感度とレンズ開放F値をファインダーに事前設定しておき、測光して表示された「EV値」によりレンズ絞りとシャッター速度の組み合わせを設定するものだった。 これでは開放F値が異なるレンズに交換した時に再設定の手間が掛かるし、ましてやAEを実現するためには現在の絞り環設定値をカメラに伝える必要があった。
交換レンズの接点
交換レンズの接点
 そこで、レンズの開放F値や現在の絞り環設定値などの情報を伝達するための電気接点がマウント内側に設けられた。 これによりブルーラインが入ったTCCレンズであれば開放F値が異なるレンズに交換しても自動的に設定されるし、レンズの絞り環を操作すれば設定絞り値がカメラに伝わる様になり、これらの情報に応じてシャッター速度を変化させる絞り優先AEを実現できた。 確か、ハッセルブラッドはアクセサリー間の共通データバス通信などの特許を持っていた...けど、共通データバスじゃなきゃ特許に引っかからないけどね。

交換レンズ

 205TCC発売当初はブルーラインが入った電子接点対応の新しいレンズシリーズは「F-TCC」という呼称だったけど、その後に「FE」という呼称に改められた。 205TCC用に入手したFEレンズは FE 50/2.8 と FE 80/2.8 と FE 250/4 で、通信機能が無い F 50/2.8 と F 250/4 を既に持っていたので丸かぶりしてしまった。

S-Planar C 120mm F5.6 を装着
Cレンズを装着
 僕はCレンズも使っているため、F/FEレンズとCレンズとの混在使用でシャッターモードを変更するのは面倒なので、通常通りカメラのフォーカルプレーンシャッターを使い、Cレンズはシャッター速度をバルブに設定したままバルブから動かない様に絞りを変更してフォーカルプレーンシャッターモードで利用している。
 なお、FEレンズ以外では絞り込み測光となるので撮影手順にプレビュー(絞り込み)操作が加わり、 ピント合わせ ⇒ プレビュー(絞り込み) ⇒ AEロック(orマニュアル設定) ⇒ 構図調整 ⇒ レリーズ という手順になる。 また、Cレンズは一旦プレビューで絞り込むと、絞り環を開放にするかレリーズ完まで開放へ戻らないのでちょっと面倒だ。
 F/FEレンズの絞り環にあるボタンを押せばEVロック爪が突出して2000シリーズではEVロック連動が出来たけど、205TCCのシャッター速度環内側にはギヤ歯が無くなったので、EVロック連動はできなくなった。

Carl Zeiss Distagon FE 50mm F2.8 T*(New FE)

(冷蔵庫保管の期限切れリバーサルフィルムです💦)
Carl Zeiss Distagon FE 50mm F2.8 T*(New FE) 絞り:F2.8 CPLフィルター使用
絞り:F2.8
 
Carl Zeiss Distagon FE 50mm F2.8 T*(New FE) 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Carl Zeiss Distagon FE 50mm F2.8 T*(New FE)+ CONTAX METAL HOOD 2
レンズ外観
Carl Zeiss Distagon FE 50mm F2.8 T*(New FE)
レンズ構成
 F 50mm F2.8 を持っていたけど、205TCCの機能を活かすべく FE 50mm F2.8 も買ってしまった。 新型の FE 50/2.8 は丸みを帯びた前枠デザインに変更され、重さも1,240gから1,010gへ若干軽くなった。 光学系は旧型と同じらしいけど、最短撮影距離が 0.32m から 0.42m へと後退しているのが残念だ。 なお、フローティング(近距離補正)機構は搭載したままなので近寄っても周辺画質の劣化は少ない。
 実は旧型デザイン・仕様のままのFEレンズもあったらしいけど後の祭りである。 通信出来ない F 50mm F2.8 は手放すつもりだったけど、10cm寄れる能力が魅力で手放せないでいる。 このレンズはF2.8と明るいのは良いのだけれど、大きくて重いのが難点だ。 なお、フードは CONTAX METAL HOOD 1 or 2 を流用している。

Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T*

(冷蔵庫保管の期限切れリバーサルフィルムです💦)
Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T* 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 
Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T* 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T* + CONTAX METAL HOOD 4
レンズ外観
Carl Zeiss Planar FE 80mm F2.8 T*
レンズ構成
 80mmは古いCレンズしか持っていなかったので 205TCC の機能を活かすべく FE 80mm F2.8 も買ってしまった。 Cレンズは0.9mまでしか寄れなかったけど、FEレンズは0.6mまで寄れるのが嬉しい。 レンズ構成は古いCレンズと変わらない様だけど、後ボケの二線ボケ傾向は古いCレンズよりかなり緩和しているので設計が修正されているのだろう。 また、T*コーティングのおかげでコントラストが高くてヌケの良い描写になったと思う。 使い易い優秀な標準レンズだと思う。
 フードは標準では外爪バヨネット式だけど、内爪バヨネットにB60/67mm変換リングを使って67mmネジを使う様にし、フードは67⇒86mmステップアップリングを使って CONTAX METAL HOOD 4 を流用(レンズが奥まっているので長過ぎる気もする)している。 標準のバヨネットフードと違って逆付け出来る様に作ってあるので収納性が良い。 なお、B60/67mm変換リングは「セロテープ」でレンズのB60枠に固定して不用意に外れない様にしてある。 角型フードの方が効率が良いのだけれど、機材を持ち運ぶときに嵩張るのが嫌なのだ。
 なお、絞り羽根が5枚しか無いので、丸い玉ボケではなく5角形ボケになってしまうのが最大の欠点だ。 高価なレンズなのに、5枚絞りとか消え易いプリント文字とか手抜きと言われても仕方ないだろう。

Carl Zeiss Sonnar F 150mm F2.8 T*

(期限切れで腐ったリバーサルフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)
Carl Zeiss Sonnar F 150mm F2.8 T* 絞り:F2.8
絞り:F2.8
 
Carl Zeiss Sonnar F 150mm F2.8 T* 絞り:F2.8 ベローズ使用
絞り:F2.8 ベローズ使用
Carl Zeiss Sonnar F 150mm F2.8 T* + CONTAX METAL HOOD 4
レンズ外観
Carl Zeiss Sonnar F 150mm F2.8 T*
レンズ構成
 このレンズは 2000FC 用に入手したFレンズでFEレンズではないので通信機能が無い。 開放では全体に優しい描写だけど、レンズ構成が4群5枚構成のシンプルなエルノスター型のせいか抜けが良いと感じる。 絞り開放からそれなりに解像感があるけど、F5.6まで絞ると画面全域でとてもシャープな描写になる。 寄って開放で撮影すると主題を強調するかの様に背景が気持ちよくボケてくれる。 また、ベローズを使って接写してみるとマクロレンズの様にシャープじゃないけど、平面複写でなければ対象物の描写は充分だし、ファインダーが明るくて見やすいのが利点だった。
 なお、内爪バヨネットにB70/77mm変換リングを使って77mmネジフィルターを使う様にし、フードは77⇒86mmステップアップリングを使って CONTAX METAL HOOD 4 を流用している。 残念ながら、使っているうちに距離環のゴムリングが千切れてしまったり、絞りが粘る様になってしまったので、『やっぱり FE 150mm F2.8 が欲しいなぁ...』と思っているうちに銀塩カメラは絶滅危惧種になってしまった。

Carl Zeiss Tele-Tessar FE 250mm F4 T*

(期限切れで腐ったリバーサルフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)
Carl Zeiss Tele-Tessar FE 250mm F4 T* 絞り:F8
絞り:F8
 
Carl Zeiss Tele-Tessar FE 250mm F4 T* 絞り:F4 2xEテレコン使用(右下が白いのはホームドアです)
2xEテレコン使用
Carl Zeiss Tele-Tessar FE 250mm F4 T* + CONTAX METAL HOOD 5
レンズ外観
Carl Zeiss Tele-Tessar FE 250mm F4 T*
レンズ構成
 このレンズも 2000FCW 用に F 250mm F4 を持っていたけど、205TCC で開放測光AEを使いたいので FE 250mm F4 も入手した。 5群5枚構成のテレフォト型レンズで、高価な硝材は使われていない様で色収差があるけど余り気にならないし、コントラストとヌケの良い描写をしてくれるし、ボケ味も良い。
 また、望遠効果を楽しむために1.4xEと2xEのFEテレコンを入手し、テレコンによる画質低下なんて気にしないで楽しんでいた。 ただし、2xEテレコンと組み合わせると開放がF8になるので、ファンダーのスプリットイメージが陰ってピントを合わに難儀するし、マット面でも焦点深度が深くてピント位置が判り難い。
 なお、内爪バヨネットにB70/77mm変換リングを使って77mmネジフィルターを使う様にし、フードは77⇒86mmステップアップリングを使って CONTAX METAL HOOD 5 を流用している。

テレコンバーターと接写リング

左から Extension Tube 16E + 32E  CONVERTER 1.4XE 2XE
テレコンバーターなど
 ブルーラインが入った電気接点に対応したテレコンバーター「CONVERTER 1.4XE」や「CONVERTER 2XE」などが用意されていた。 このテレコンを使えばFEレンズ単体と同様に開放測光で利用できる。 ただし、カメラに表示される絞り値はレンズ単体と同じ表示で、テレコンを加味したF値には変換されないが仕組み的に測光・露出には問題ない。
 ちなみに電気接点がない旧製品として「Mutar」という名称のCarlZeiss製テレコンもあったけど、電気接点対応のテレコンは「CONVERTER」という名称(恐らく光学系も新設計)になり、ドイツ製ではなくなった。 なお、接写用エクステンションチューブもブルーラインが入った電気接点対応品が用意されていて、開放測光を利用するなら接点が無いベローズより使い勝手が良かった。

あとがき

 ハッセルブラッドは素晴らしいカメラだとは思うけど、実際にカメラを使っていると様々な欠点があると感じる。
  • 貼革が縮み易く、糊でベタベタになる
  • プラパーツが劣化して崩れてしまう
  • プラパーツのブラック塗装の耐性が弱い
  • 金属のブラック塗装が剥がれ易い
  • レンズのゴムリングが劣化して千切れる
  • 文字が刻印じゃく印刷なのでスレやすい
などなど、価格のわりに品質的に如何なものかと思ってしまう。 倒産間際メーカーの様にやたらと記念カメラを出すんじゃなく、使用部材の選定などはちゃんと吟味・加速試験を実施した製品を投入してもらいたかった...と思っていたら、2017年に中国のDJIに買収されてしまった。
撮影中に劣化したプラパーツが崩れてしまった
プラパーツが劣化して崩れた
 だいぶ前に205TCCを使っていたら「ズルッ」という感触が左手中指にあり『指の皮が剥けたか?』と思ったら、カメラ側面のプラパーツが砕けてグチョグチョになっていた。 勿論、ぶつけた訳ではなく、テープ接着されたプラ部材が劣化で砕けて「ズルッ」と滑ったのだ。 何年も交換パーツを探して数年前にeBayで¥2400円ほどの新品パーツを見つけて(純正パーツかどうか不明)タイのバンコクから取り寄せた。 砕けた元々のプラパーツとは質感がちょっと違うけど、今のところ問題なく使えている。
 また、底面に貼ってあるプラ部品も割れてボロボロになってしまい割れた部品が落ちる様な事態になったので、高価な新品パーツ(¥6700円)を購入して貼り換えてある。 困ったことに貼革も劣化・縮みが進行しているので、本体革の貼り換え用のパーツも用意してある。 これがハッセル品質の実態なのである。
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