 |
HASSELBLAD 2000FCW |
1976年にフォーカルプレーンシャッター機として 2000FC が復活し、専用ワインダーを装着出来る様に改良されたモデルが 2000FCW である。 シャッターの仕様はC・B・1秒~1/2000秒に設定出来る電子制御金属幕フォーカルプレーンシャッターで 2000FC と同じだけれど、フィルムマガジンを外すとシャッター先幕が走行して幕を保護する機構が(2000FC/M から)追加されている。 ちなみに、ハッセルは製造番号で製造年が判る事は他でも書いたが、本カメラの製造番号にある2文字のアルファベットは「RT」なので、1986年製造だと判る。
HASSELBLAD 2000FCW
1976年発売の 2000FC と1981年発売の 2000FC/M を経て専用ワインダーを装着出来る様に改良されたモデルで、ボディー右下にシャッターの「レリーズ前・レリーズ後」シグナルが取り付けられている最終モデルである。 その他の仕様は 2000FC と大きな違いはないけど、個人的な印象では 2000FC より故障しにくい気がする。
 |
ミラー動作設定 |
巻き上げクランク基部にミラー動作設定あり、0:クイックリターン、1:ミラーアップ(巻き上げで復元)、2:ミラーアップしたまま から選択できる。 ただし、設定するには巻き上げクランクを外してミラー動作設定軸を持ち上げて所望の位置に回転させる必要があり面倒だ。 僕はクイックリターンモードしか使った事が無い。 また、中央のボタンは多重露光ボタンも兼ねていて、押しながら巻き上げるとシャッターチャージのみ行われる。 なお、巻き上げクランク下部にミラーアップレバーが設けられている。
ちなみに、フィルムマガジンを外したときに、チタニウム製のシャッター先幕を走行させて幕を保護する機構が付いているけど、レリーズ完状態では機能しないので後幕は保護されない。 当然だけど、先幕が走行しちゃった状態で巻き上げ済みマガジンを装着すると1駒無駄にしてしまうので、レリーズ&巻き上げしてからマガジンを装着するか、多重露光ボタンを押しながらシャッターのみチャージする必要がある。
交換式ファインダー
 |
交換式ファインダー |
僕はウェストレベルファインダーの出番は殆どなく、露出計内蔵45°プリズムファインダー「PME 5」を常用している。 これは重い50mmF2.8と組み合わせた場合に、左肘を腰に当ててカメラを保持したときにイイ具合に覗けるからだ。 また、500C時代の大昔の露出計内蔵プリズムファインダーはメーター指針式だったけど、「PME 5」は視野下部のEV値指標がLED照明される方式になっているので暗所でも見易い。 ちなみに「PME 5」はブルーラインのTCC対応ファインダーで、露出計が内蔵された205TCCにも装着出来るが電子的に連動する訳ではない。
 |
PME 5 のファインダー表示 |
「PME 5」はプラ外装で感触が安っぽいし 貼革が縮んで剥がれるし 糊がベトベトになっちゃうし 像歪みが大きいけど、2000FCW は 205TCC と併用する事が多かったので、互換性の観点から両方とも45°プリズムファインダー(205TCCは露出計が無いPM5)を選択している。 なお、縮んで糊でベトベトになった貼革を撤去して中国製の貼革に貼り換えてあるけど、質感や触感はオリジナルよりイイ感じだ。
なお、新しいPM45やPME45では視度調整を搭載していて、覗き易さなども改善されているらしい。 興味はあるけど、今更なぁ...
交換式フィルムマガジン
 |
交換式フィルムマガジン |
ハッセルはフィルムマガジンにより撮影途中でも異なる種類のフィルムに変更が出来るシステムで、マイナーチェンジはあったけど基本的に500シリーズから変わらない。 本当かどうかは判らないけど、フィルムマガジン外装の製造番号と中枠の製造番号が同一でないと故障の原因になるという「噂」がある。 手持ちのフィルムマガジンで中枠を取り換えて試してみたけど、僕のマガジンでは故障しなかったなぁ。
ちなみに、フィルムマガジンに引き蓋を挿入しないとカメラと脱着出来ない仕組みなので、引き蓋を携行し忘れるとフィルムマガジンを交換できなくて途方に暮れる。 そこで、引き蓋を格納するスライドキーパーが用意された。 このアクセサリはフィルムマガジンの背面に両面テープで接着する方式で、LINDAHL等のサードパーティー製品が流通していた。
交換レンズ
 |
Fシリーズ交換レンズ |
2000シリーズはフォーカルプレーンシャッターを搭載したことでレンズシャッター径に制限されない明るいFシリーズレンズが投入されていた。 明るくはなったけど、高価も高価なのでなかなか手を出せなかった。 特に明るい Planar F 110mm F2 T* はお姫様の様に手の届かない存在だった。
2000FC 用のFレンズとして Sonnar F 150mm F2.8 T* を入手済みだったので、広角レンズとして Distagon F 50mm F2.8 T* を入手した。 この50mmは異常に大きくて重いレンズで、カメラとセットでの撮影は体育会系の苦行みたいになる。 また、150mmでは望遠効果が低いので Tele-Tessar F 250mm F4 T* も入手してみたが、F 250mmはサイズに対して思いのほか軽く、F 50mmを使った後だとエラク軽快に感じてしまう。
 |
EVロック爪 |
CレンズはEVロックがデフォルトだったけど、FレンズはEVロックしないのがデフォルトとなり、絞り環のボタンを押せばEVロック爪が出てきてカメラのシャッター速度環内側のギヤを噛んで連動する方式になっている。 Cレンズの時にEVロックが「邪魔くさい」と感じていたので、デフォルトでEVロックしないのは大歓迎の仕様変更だった。 ちなみに、Fレンズの絞り環はボタンを押しながら絞り環を回すとレンズ側の絞りクリックが働かない様になっている。 多分、カメラ側のシャッター速度環のクリックを優先するためだろう。
Carl Zeiss Distagon F 50mm F2.8 T*
絞り開放では中央部は解像感があるけど、画面周辺に向かって徐々に画質が低下する。 柔らかい描写で背景もボケてくれるので、広角でありながら135カメラとは違う雰囲気になる。 また、0.32mまで寄れるレンズなので主被写体にグッと近付けば広角らしからぬ表現も出来るし、フローティング(近距離補正)機構を搭載しているので近寄っても周辺画質の劣化は少ない。 とても優れたレンズだと思うけど、メーカーの気合が入り過ぎて異常に大きくて重い(1,240g)ので撮影に持ち出すには覚悟がいる。 なお、高価なレンズなのに絞り羽根がたった5枚しかないので、絞ると背景輝点が玉ボケにならないで5角形ボケになるのは如何なものかと思う。
Carl Zeiss Sonnar F 150mm F2.8 T*
2000FC 用に入手してあった
Fレンズで、レンズ構成が比較的シンプルなせいか抜け感がとても良いと感じる。 全体に優しい描写で妙なクセはないけど、絞り開放の遠景では画面の四隅で画質がちょっと低下する。 寄って開放で撮影すると主題を強調するかの様に背景が気持ちよくボケてくれる優れたレンズだと思う。 また、ベローズを使って接写してみるとマクロレンズの様にシャープじゃないけど、平面複写でなければ対象物の描写は充分だし、ファインダーが明るくて見やすいのが利点だった。
なお、フードは内爪バヨネットB70/77mm変換リングと77⇒86mmステップアップリングを使って CONTAX METAL HOOD 4 を流用している。 角型フードの方が効率が良いのだけれど、機材を持ち運ぶときに嵩張るのが嫌なのだ。 困ったことにこのレンズは使っているうちに距離環のゴムリングが千切れてしまったり、絞りが粘る様になってしまった。 羽根は綺麗なので、その前の駆動系が粘っているのだろう。
(期限切れで腐ったリバーサルフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)
Carl Zeiss Tele-Tessar F 250mm F4 T*
5群5枚構成のテレフォト型レンズだけどテレ比はさほど高くない。 高解像レンズという感じではないけどコントラストとヌケの良い描写をしてくれる。 ハイライトで明暗差があるシーンでは色収差が気になるけど眼をつぶろう。 手振れがイヤなので高速シャッターを使うので絞りを開けて撮る場合が多くなるけど、背景がガサついたりしない素直なボケ描写だと思う。 最短撮影距離が2.5mまでなので寄り足りないけど、高額なレンズじゃないので買って損はないと思う。
なお、内爪バヨネットにB70/77mm変換リングを使って77mmネジフィルターを使う様にし、フードは77⇒86mmステップアップリングを使って CONTAX METAL HOOD 5 を流用していた。
(期限切れで腐ったリバーサルフィルムなのでサンプル写真が妙です💦)
あとがき
 |
露光シグナル |
HASSELBLAD 2000FCW はフィルムの露光済み・未露光を表すシグナルが取り付けられている最終モデルで、2000シリーズで最も人気があったらしい。 確かに2000FCなどと比べたら安定感があり故障した経験はない。 レリーズ音が静かとは言えないけど「撮った感」があるし、フォーカルプレーンシャッターのおかげで撮影レンズの自由度も高い。 この先も手放したくないカメラのひとつだけど、いつまでフィルムが入手できて楽しめるのか不安だなぁ。
Sponsored Link
0 件のコメント :
コメントを投稿