OLYMPUS XA - 1979年発売 - 独創的な小型カプセルカメラ

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OLYMPUS XA
OLYMPUS XA
 OLYMPUS XA は非常にコンパクトなカプセル型カメラである。 一眼レフの OLYMPUS OM シリーズもそうだったけど、オリンパスは必要な機能を小型なボディーに凝縮して搭載するのが得意なメーカーで、お家芸ともいえる。

OLYMPUS XA

 1979年3月に発売された ORIMPUS XA は小型ながら絞り優先AEが搭載された距離計連動のレンジファインダーカメラだ。 カメラの触感として高級感は乏しいけど、これまでにないコンセプトを打ち出した昭和を代表する銘機だと思う。 実は、OLYMPUS XA 2 も持っているんだけど、何処にしまったのか行方不明だ。💦

スライド式レンズバリア

バリアの開閉
バリアの開閉
 OLYMPUS XA にはレンズキャップや携行ケースは不要(別売のソフトケースやハードケースがあったと思う)で、スライド式のレンズバリアが装備されていた。 レンズバリアを左へスライドするとファインダーと撮影レンズが現れ、距離計用の小窓も連動して開閉するという凝り様だ。
 撮影レンズ周りには ASA感度設定ノブ や 距離調節つまみ があり、撮影レンズとファインダーの間には距離目盛も装備されている。 距離目盛があるので、目測で距離を設定することも可能だ。
 また、レンズバリアが動作スイッチにもなっていて、バリアを完全にスライドして開けないとレリーズ出来ない。 ただし、バリアを閉めないと背蓋を開けられないため、背蓋を開いた状態ではフィルム装填のカラ送りを想定して、1/8秒の固定シャッター速度でレリーズできる。 なお、絞り優先AE撮影では10秒から1/500秒までシャッター速度が制御される。
シリアル番号は背蓋ヒンジ脇に目立たなく刻印されている
シリアル番号
 なお、ぱっと見では露出制御用の測光センサー窓が見当たらないが、撮影レンズと距離目盛の間に円弧状の透明部材があり、その中に測光センサーが入っている。 よく考えられたデザインだ。 話が逸れるけど、カメラのシリアル番号が見当たらない...と感じるけど、実は背蓋ヒンジ脇に目立たなく刻印されていて、注意深く探さないと判らない。 これは外観デザインとして意図されたものなのだろうか?

モード設定レバー

モード設定レバー
モード設定レバー
 底面右側にモード設定レバーがあり、+1.5段の逆光補正 / バッテリーチェック / セルフタイマー が選択できる。 バッテリーチェックを選択すると全面のLEDが点灯すると共に発信音が鳴る。 セルフタイマーを選択してレリーズすると全面のLEDが点滅すると共に間欠発信音が鳴った後にレリーズされる。
 なお、逆光補正が何故+1.5段なのかは置いといて、逆光補正とセルフタイマーの併用ができない。 なので、逆光でのセルフタイマー撮影はASA感度で露出補正(ASA100→ASA50に設定など)するしかない...戻し忘れに注意。

レンジファインダー

ファインダー視野
ファインダー視野
 ファインダー視野にはアルバタ式ブライトフレームが見えていて、視野左側には1/500秒~1秒までのシャッター速度スケールとメーター指針が見える。 測光センサーは露出制御用とメーター指針用の2系統あるらしく、メーター指針値は絞り優先AEにより実際に制御されるシャッター秒時とは異なる様だ。 ちなみに、ブライトフレーム枠の蒸着が劣化してきた様で、一部がカスレ気味になってきた。

距離調節つまみ はカメラ底部を撫でる様に操作する
距離調節つまみ
 中央にレンジファインダーとしての距離計二重像があり、撮影レンズ下の距離調節つまみを操作して二重像を合致させればピントが合う。 基線長が短いので精度はイマイチだけど、35mm F2.8 のレンズ用としては充分だと思う。 また、最短撮影距離は0.85mと遠いので一眼レフの様に寄る事は出来ないが、一般的なレンジファインダーカメラ並みである。 なお、パララックス補正機能は無いけど気にする必要は無い。

撮影レンズ F.ZUIKO 1:2.8 f=35mm

5群6枚の F.ZUIKO 1:2.8 f=35mm を搭載
F.ZUIKO 1:2.8 f=35mm
 レンズは5群6枚構成の F.ZUIKO 1:2.8 f=35mm で、「ちゃんとした」レンズが付いている。 雰囲気的には3群4枚のテッサー型の後ろ側に凹メニスカスと凸メニスカスを追加して、画面周辺の収差を補正している様に見える。 フォーカシングはインナーフォーカス式で、第3群の接合レンズを移動させて行っている様である。 なお、レンズ前玉の曲率が結構キツクなっていて、出っ張り気味なので触れやすいので注意しよう。

 描写性能はズイコーらしいシャープな写りではなく、柔らかい描写だけど❝ちゃんと写る❞という表現が適切だろう。 画面周辺はチョット厳しくて、絞れば描写性能が向上するけど期待しない方が良い。 なお、多めの周辺光量落ちがあるのでオールドレンズっぽい雰囲気の写りは楽しめる。
3m と F5.6 がオレンジ色で、ここに合わせれば概ね良い写真らしい
3m と F5.6 が橙色
 距離目盛の3mと絞り目盛のF5.6がオレンジ色に着色されていて、ピントを合わせできない人は両方をオレンジに合わせておけばスナップ撮影などが出来るという事らしい。 F8にした方が深度が深くなって良いハズだけど、手振れによる失敗写真を避けたかったのだろう。
 ちなみに、SMC PENTAX 30mm F2.8 のイージースナップは 距離 3.3m と 絞りF8 だった。

絞り操作

絞り設定スケール
絞り設定スケール
 カメラ前面右側に絞り設定スケールとつまみがあり、F2.8~F22までの絞りが選択できる。 つまみには1段ごとにクリックがあり絞り値が不用意に変化する事は無いが、クリックがきつ過ぎるので操作し難い。 ファインダー内に絞り設定値が表示されたら最高だった。
 絞り羽根は2枚のみ(直角羽根なので4枚風になる)の簡易なもので、開放以外では絞り形状が四角形になる。 撮影した写真の玉ボケが四角形になるのは頂けないが、最短撮影距離が遠いこともあり大きな後ボケにはならないので、違和感を感じない事が多い。

Electric Flash A11

単三電池1本で動作するElectric Flash A11
Electric Flash A11 装着
 カメラの左側に Electric Flash A11 をネジ止め式で装着でき、カメラの絞りつまみを上方にグイッと引き上げればフラッシュモードになると共に、A11のグローランプが自動的にポップアップして充電が開始される。 グローランプが点灯すれば充電完了で、レリーズすればフラッシュ撮影が出来る。 グローランプを押し込めばフラッシュがオフになると共に、絞りつまみがF2.8に戻ってフラッシュモードが解除される。 なお、フラッシュモードにすると絞りはF4に固定され、シャッター速度は1/40秒に設定される。 また、発光量制御はA11側が行うが、フィルム感度がフラッシュ側に伝わらないので、予めA11に ASA100 か ASA400 か FULL発光 かを選択・設定しておく必要がある。
 Electric Flash A11 には単三電池が必要で、たった1本の単三電池で充電するので充電完了までが非常に時間が掛かる。 ただし、フラッシュの発光量に依存するが、一度充完すれば撮影後の再充電は比較的早い。

老いた XA の露出について

 先に「実際に制御されるシャッター秒時は異なる様だ」と書いたけど、暗い所でフラッシュ撮影を行うとメーター指針がスローシャッターを指すけど、実際にはスローシャッターによるフラッシュ撮影にはならない。 フラッシュモードでは絞りF4でシャッター速度が1/40秒に固定されているためで、暗所でのフラッシュ撮影にしか対応していないのだ。
 そこで、夜景をバックにしたスローシンクロ撮影させたい場合の裏技として、フラッシュモートにした絞りレバーをF4に設定し直して撮影すれば、フラッシュの適正調光制御が行われつつカメラの絞り優先AEも働く様になる。 ただし、カメラを固定しておかないと手振れによる失敗写真になる。 また、日中シンクロなら絞りをF5.6とかF8とかにすれば良いだろう...多分。

 また、XA の測光システムはメーター指針用と露出制御用の2系統あり、僕の XA は経年劣化のためか、露出オーバーに写るので2段ほどASA感度を高く設定する必要があるし、メーター指針は2段は低輝度側に振れている。 リバーサルで撮影するならASA感度を2.5段は補正しないと露出オーバーだ。 1系統のみなら調整にトライしたいところだけど、メーター指針と実制御が異なるのは厄介なので放置してある。 今でもメーター指針や露出制御がマトモな OLYMPUS XA ってあるのだろうか?

あとがき

 カタログの謳い文句は「NICE DAY WITH CAMERA CAPSULE」だった。 高性能なカメラに必要な機能を非常にコンパクトに仕上げ、カプセルの様なバリアをスライドさせたら直ぐに撮影できるという手軽さを具現化した昭和の銘機である。 欲を言えば、搭載レンズがズイコーらしい描写性能だったら文句なかった。

ストロボ使用時の指掛かりとか使用電池に関する注意の紙が同梱されている
同梱物
 製品にはピンク色の紙が2枚入っていて、ストロボ使用時の指掛かり注意 とか 使用電池に関する注意 を促す注意書きだった。 特に電池に関しては『本機の使用電池はSR44(G-13)銀電池2個です。LR44(A-76)アルカリ・マンガン電池は使用出来ません』とキッパリと書かれている。 LR44を装填してみたところ、問題なく動作している様に感じるが、電池電圧が1.5Vと1.55Vの差がレギュレーションされていないアナログ回路に影響するのかも知れない。 ちなみに、このカメラの価格は¥41,800円で、発売当初の¥38,800円から値上げされたいた。 なお、白い不織布の袋に包まれたカメラが黒い樹脂製ケースに入っていて、棺からミイラを取り出すような雰囲気がある。

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