PETRI C.C Auto Petri 55mm f1.4

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蘇った C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm
蘇った C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm

 ペトリカメラは1967年にTTL絞り込み測光方式で1/1000秒のシャッターを搭載した PETRI FT を発売し、このカメラに合わせて開放F値1.4のレンズが投入されました。 PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm はペトリで一番明るくて贅沢なレンズです。 レンズ構成はガウスタイプの最後部に凸レンズを追加した5群7枚の変形ガウスタイプで Nikkor F1.4 や PLANAR Pancolar F1.4 などと同じです。

 PETRI FT 55/1.8付きが¥33,000円に対して、55/1.4付きは¥40,000円と「贅沢品」だったので、販売された数量はあまり多くなかったと思われる。 ちなみに、C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm は PETRI FT の「測光レバーを押しながら絞りを操作する」利便性を考慮して絞りのクリックが無いらしいけど、この個体には絞りクリックが設けられている。

PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm の分解・清掃

カビの状況

清掃前のカビ状況
清掃前のカビ状況

 この個体はレンズ面に軽い拭き傷があるけど、問題はレンズ各面に気持ちが悪~いカビが大発生だ。 ソフトフィルターを使ったような写真になるので、分解・カビ取り・清掃しないと使えない。 状況は深刻で、コーティングを越してレンズ面にまで浸潤しているカビもありカビ痕が残りそうな予感がする。 カビがあるとフレアっぽくなったり、カビ痕があると玉ボケに妙な模様が現れてしまうのでボケを楽しみたい明るいレンズにとっては厄介な敵になる。

分解・清掃

レンズの分解開始
レンズの分解開始

 距離環や絞り動作には問題ないので、分解はレンズ前群と後群だけにして鏡筒内部は簡単な清掃だけとした。 各レンズ面のカビは強い溶剤を使ってカビ退治したのでコーティングへのダメージが心配だし、カビ痕が白っぽくなって見えている。 とりあえずカビ取り・清掃したレンズ面に皮膜処理を施してコーティングの回復とカビ痕を目立たなくしたので、見た目には大丈夫そうだ。 ちなみにペトリレンズは内部鏡筒のネジ部が簡単に外れるレンズもあれば、接着剤でガッチリと固定されているレンズもある。 この個体は比較的容易に外す事ができた。

実写確認

 メンテナンスした C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm を SONY ILCE-9 に装着して撮影してみた。 なお、記載が無い写真は全て絞り開放で撮影してトリミングはしていない。

C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放 C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放 C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放
C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放 C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放 C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放
絞り開放ではフレアっぽいけど繊細な描写がすこぶるイイ感じだ。 ほわっとしてるけど細い線でちゃんと解像しているのでポートレートなどに最適なレンズだと思う。 輝度の高い部分から滲み出るフレアがオールドレンズらしいけど発色やボケ味は僕好みだし、ちょっと絞れば画面隅までシャープな描写となる。
 
NIKKOR-S.C Auto 1:1.4 f=50mm 絞り:開放 C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放 C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm 絞り:開放
夜景点光源を撮影してみたところ、球面収差やコマフレアが NIKKOR-S.C Auto 1:1.4 f=50mm よりかなり少なく、解像やコントラストも優れている事が判る。 夜景を撮影するならF4まで絞れば実用的な夜景写真を撮ることができる。 また、距離環を1mに設定した場合の玉ボケ具合はビネッティングの影響で画面周辺にかけて丸玉ボケにはならないけど、綺麗なレモン型だしボケのエッジがさほど強くないのであまり気にならない。 この個体はカビ取りしたけど玉ボケ像の中にカビ痕が残ってしまったのが残念だ。
 
MD 75-200mm F4.5 用植毛フードを装着 フード装着 フードなし
ミノルタのフードを装着 フード装着 フードなし

このレンズはしっかりとハレ切りしないと光源を拾って画面が霞がかってしまうので、ハレーション軽減のために画面隅がギリッギリまでケラレないフードを装着している。 ミノルタの MD 75-200mm F4.5 用植毛メタルフードなら四隅がケラレることなく充分な効果がある。 ただし、フィルターを併用すると画面四隅が少しケラレてしまうので、角型フードなら効果的にハレ切りできるだろう。

あとがき

 C.C Petri 1:1.4 f=55mm は当時のレンズ白書やカメラ毎日などの雑誌で「素晴らしいレンズ」など最高クラスに評価されていた銘玉である。 残念な事は融通が利かないペトリマウントなのと最短撮影距離が0.6mと遠いので被写体にググっと寄れない事かなぁ。 でも、もっと評価されて良いオールドレンズだと思う。

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