PlayerOne Neptune-C Ⅱ 用UV-IRカットフィルター

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PlayerOne Neptune-C Ⅱ
PlayerOne Neptune-C Ⅱ

 このカメラはSONY製1/1.8型カラーセンサーIMX464を採用したプラネタリーカメラである。 ガイドカメラに使おうと思って購入したのですが、画素ピッチが2.9ミクロンの微細なカラーカメラという事もあり、ガイドカメラとしては思ったほど感度が高くありませんでした。 そんな訳で、このカメラは普通に惑星撮影・系外銀河撮影などに使う事にしました。

PlayerOne Neptune-C Ⅱの仕様

PlayerOne Neptune-C Ⅱの仕様
 センサー   SONY IMX464(Color) 
 フォーマット   1/1.8型(7.9×3.5mm) 
 総画素数   4.2MP 
 解像度   2712×1538 
 ピクセルサイズ   2.9μm 
 QE   ≒80% 
 飽和電荷容量   12000e 
 A/Dコンバーター   12bit 
 キャッシュ   DDR3 256MB 
 FPS   93FPS(10bit) 
 シャッター   ローリングシャッター 
 露出時間   32μs - 2000s 
 読み出しノイズ   2.9e - 0.7e 
 保護ガラス   ARコーティングクリアフィルター 
 データポート   USB3.0/USB2.0 
 ガイドポート   ST4互換(RJ12) 
 フランジバック   12.5mm 
 接続規格   31.7mm(M42mm P=0.75mm) 
 サイズ   外径66mm 
 全長   38mm(ノーズピースを含まず) 
 質量   180g 
 分光感度特性 

 PlayerOne Neptune-C Ⅱ の画素ピッチは細かいので、安価なロシア製反射望遠レンズである MC RUBINAR 300/4.5 で撮影した月面写真でも、画像処理を工夫すればグイグイ伸ばせることが判っていた。 具体的に下記の月面は AVI形式の動画として撮影し、約450駒のうち条件が良い200駒ほどを Registax 6 で合成してS/Nを稼いだ画像を動画編集アプリでズームや回転をさせたものである。

PlayerOne Neptune-C Ⅱ + MC RUBINAR 300/4.5 で撮影
 色味が少ない月面なら感じないけど、IMX464の感度特性はRGB共に850nm付近にあるため、UV-IRカットフィルタを併用しないと混色やら色収差(反射望遠は色収差が少ない)などにより綺麗な写真にならないのが難点だ。 望遠鏡に装着するなら手持ちの2インチUV-IRカットフィルタが使えるのだけれど、CCTV用広角レンズによる星景撮影では干渉フィルターが装着できない。
望遠鏡のカメラマウント部
望遠鏡のカメラマウント部
 僕の望遠鏡たちはEOSマウントで統一してあり、通常は EOS⇒SONYマウントアダプタ を介して SONY α 7Ⅱastro で撮影している。 望遠鏡側のEOSマウント後端に48mmフィルタを装着しているので、マウントダプタ内にフィルタが収まっている感じだ。 装着するフィルタは必要に応じて UV-IR Cut や LPS-P2 や Hα や OⅢ などに交換する。 通常は SVBONYの48mm(2インチ)UV-IR Cut フィルタを装着している。
 系外銀河などの小さな対象をフルサイズデジタル一眼カメラで撮影するには超長焦点距離望遠鏡に装着する必要があるけど、高解像のイメージャなら焦点距離が短くて明るい望遠鏡で撮影できるのがメリットだ。 昔と比べて小画素センサーの性能も随分と向上したので露光時間を短くして撮影駒数を稼いだ方が得策で、PlayerOne Neptune-C Ⅱ を使う場合はマウントアダプタを EOS⇒Cマウントアダプタ に変更する。 ちなみに、IMX464センサーは僕の望遠鏡の解像を越えてしまっている。

広角レンズ撮影テスト

 望遠鏡に装着するなら融通が利くのだけれど、CCTV用広角レンズで撮影する場合はUV-IRカットフィルタを装着するのが厳しい。 干渉フィルタは入射角の制限から広角レンズの前面に装着できないのだ かといって、レンズ後面側には装着できる余裕や適切なUV-IRカットフィルタなんて僕は知らない。

UV-IRカットフィルター探し

入手した中華製の UV-IR Cut Filter
入手した中華製の UV-IR Cut Filter
保護シールが張られていて、ちゃんとしたケースに入っていた(クリーニングクロス付き)

 ネットで探してみると天文用のUV-IR Cutフィルターが eBay で見つかった。 Φ23mm で厚さが 1.1mm ... おぉ、これは理想的なフィルターだし、たったの$4.99ドルだ! 中華製だけど、試す価値はありそうなので2枚注文してみた。

Optical index of UV-IR Cut Filter
 Size(Dia.T.)   Φ23mm x 1.1mm 
 Center wavelength   CWL 700nm 
 Transmission band   400~680nm 
 Cut-off band   750~1100nm 
 Material   UV Fused Silica 
 Transmission wavefront error   λ/4 @ 633 nm 
 Parallel difference   <30 arc seconds 
 Surface finish   40-20 
 Diameter tolerance   +0.0/-0.1mm 
 Thickness   0.3mm/0.55mm/0.7mm/
 1.1mm/2.0mm ±0.05mm 
 Center wavelength tolerance   ±1% 
 Transmittance T   Tavg>90% 
 Cut-off zone depth   OD4 
 Cut-off band steepness   <1% 
 Effective aperture   >90% 
 Incident angle   0° 
 Transmittance Curve
 入手した製品 
 Transmittance Curve
 比較参考:Player One製品 
 Transmittance Curve
 比較参考:Baader製品 

 みつけたフィルタの特性グラフによると、短波長側が400nmではなく410nmほどになっている。 この特性は装着レンズの青ハロを低減する効果があるので良い仕様と言える。 欲を言えばBAADERのUV-IRカットフィルタの様な特性が望ましい。(色収差が極小の反射光学系ならPlayerOne仕様やSVBONY仕様で良い)

UV-IRカットフィルタの取り付け

フィルタを接着した T/T2⇒C/CSアダプタリングと広角レンズ
フィルタを接着した T/T2⇒C/CSアダプタリングと広角レンズ

 PlayerOne Neptune-C Ⅱの光学系接続部は ΦM42mm P0.75mm(T/T2) なので、CCTVレンズは T/T2⇒C/CSアダプタリング を介して装着する事になる。 このアダプタリングのC/CSマウント穴にΦ23mmのUV-IRカットフィルタが収まるので、フィルタが抜け落ちない様にアダプタリング内に接着(接着剤がはみ出した💦)してみた。 なお、厚さ1.1mmのガラスにより光路長が0.5mmほど伸びちゃうけど、問題なく無限遠にピントを合わせられる。 後玉が出っ張ったCSマウントレンズじゃなければ使用可能だし、Cマウントレンズなら余裕で装着できる。

 とりあえず、広角レンズに相当する DFROBOT 6mm Industrial Wide Angle Lens(CSマウント)で試してみる。 本来、このレンズは1/2型用なので周辺画質は覚悟する必要があるし、魚眼レンズの様なディストーションなので使い難いレンズだけど、開放絞りがF1.2と明るいのが取り柄だ。

UV-IRカットフィルタの効果

 UV-IR Cut フィルタの有無を日中写真で比較してみた。 どちらの写真も露出量・現像パラメータなどは同じ設定で、シャープネス処理などは施していない。

・UV-IR Cutフィルターなし

LENS:DFROBOT 6mm Industrial Wide Angle Lens without UV-IR Cut Filter

 UV-IRカットフィルタが無いと発色が赤外線写真風になってしまい、緑の樹木が満開の桜の様に写ってしまう。 ピントピークが判り難いほど画質もイマイチで、画面周辺ではフレアが顕著になる。 なお、混色しちゃってるので倍率色収差があっても「色ずれ」写真にすらならない。

・UV-IR Cut フィルターあり

LENS:DFROBOT 6mm Industrial Wide Angle Lens with UV-IR Cut Filter

 UV-IRカットフィルタを装着するとちゃんとした発色になる。 画面周辺でもフィルタなし画像より画質が改善している事が判るし、高層ビルの右側面に「ちゃんと偽色が発生している。 光学設計上では考慮されていないハズのガラス板を挿入するのでレンズの結像性能劣化具合が気になったけど、さほど劣化しない感じだ。

あとがき

 PlayerOne Neptune-C Ⅱは優秀だけど、センサーの微細ピッチを活かすためには高価な高解像光学系が必要となる。 今回の広角撮影テストで星景写真にも使えそうな手応えが得られたので、高解像タイプのCCTVレンズを物色してみたいけど金がない。

1/1.8型用超広角レンズ KOWA LM3NC1M と PlayerOne Neptune-C Ⅱ
1/1.8型用超広角レンズ

 まぁ、よく考えたら超広角レンズによる星景写真撮影なら普通の一眼デジカメの方がよっぽど手軽じゃん...と思いつつ、興和オプトロニクスの f=3.5mm F2.4(LM3NC1M)レンズ)を買ってしまった。 レンズの解像力がセンサーの解像に追いついていないレンズだけど、1/1.8型に適合する中古のCマウント超広角レンズ(フルサイズカメラの17mmレンズ相当)が8,500円だったのでポチってしまった。  このレンズは1/1.8型対応のハズだけど、IMX464センサーの四隅が若干ケラレてしまう。 どうやらフード兼ねた前枠がチョット出っ張り過ぎている様だけど、極小六角イモネジがきつくて回らない...どうしたものか。(@_@;)

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