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LEITZ WETZLAR ELMARIT-R 1:2.8/135 |
1965年に LEICAFLEX 用として最初に用意された4本(21mmを含めたら5本)のレンズ中で最も焦点距離の長いレンズであった。 当初はのカムは1つだけだったが、1968年の LEICAFLEX SL の発売とともに2つ目のカムが追加され、1976年の LEICA R3 の発売とともに3つ目のカムが追加された。
LEITZ WETZLAR ELMARIT-R 1:2.8/135 - 1965年発売
光学系は1965年に市場投入されていたが、この個体は1969年に製造された2-CAM製品を3-CAMタイプに改修が施されて3カムタイプになっているので、LEICA R3 以降のカメラでも問題なく装着して開放測光が利用できる。
レンズ構成
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レンズ構成 |
レンズ構成はエルノスターから派生した様な4群5枚のテレゾナー型で、確か1963年に発売された LEICA M マウントのレンズとほぼ同じ光学系だったと思う。
フォーカシングは全体繰り出しで、最短撮影距離が1.5mまでしか寄れないのがちょっと...いや、かなり不満である。 組み込み型のフードが装備されていて、フィルターは Series VII のネジ込み式である。 鏡筒は比較的コンパクトだけど第3群が分厚い張り合わせレンズなので638gほどの重量があり、高密度でズッシリとした存在感が実際の重量より重く感じさせ、鏡筒の作りも非常に良い。 1969年には光学系も鏡筒も設計変更されて、重量も730gへと更に重くなっている。
本レンズの距離環目盛にはメートルとフィートの両方が刻印されていて、メートルは白色でフィートは黄色で色入れされているが、初期製品ではフィートは赤色で色入れされていたので「RED SCALE」と呼ばれているらしい。 巷では『赤色文字がドイツ製で黄色文字はカナダ製』と言われたりしているが、僕の黄色文字レンズはドイツ製である。
ちなみに、LEICA M マウントのレンズは12枚絞りだったけど、一眼レフ用レンズは8枚絞りに簡素化されている。 これは自動絞りとして高速に動作させる必要があるためだろう。
カムって何?
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レンズのカム |
ところで、ライカ一眼レフの「カム」って何かというと、絞り環の情報をメカ的にボディーに伝達する手段で、1965年に発売された測光が外側式だった LEICAFLEX 用の絞り伝達傾斜カムが「1-CAM」で、絞り値の絶対値を伝達している。 1968年こ発売されたTTL開放測光方式になった LEICAFLEX SL 用の絞り伝達傾斜カムが「2-CAM」で、開放測光用としてレンズの開放F値を基準とした相対絞り値を伝達している。 1976に発売されたTTL開放測光方式である LEICA R3 用の絞り伝達カムが「3-CAM」で、「2-CAM」同様にレンズの相対絞り値を伝達しているが、伝達方法が傾斜カムによる深さ伝達から回転量による伝達方式へ変更された。 ちなみに、「3-CAM」を採用した LEICA R3 以降のボディに「1-CAM」や「2-CAM」のレンズを装着するとレンズが外れなくなったり、故障する事があるらしい。
この様に測光方式や伝達方式の変遷によりカムが追加されていったが、後に「1-CAM」と「2-CAM」を廃して「3-CAM」だけを搭載する様になり、これを「R-Only」と呼んでいる。 更に1996年に発売された LEICA R8 では「R-Only」に加えて電子接点による電子情報を伝達する「ROM」接点が追加された。
描写特性
記載の絞り値は記憶に頼っているので間違っているかも知れません。 今回はRAW現像時にDレンジオプティマイザーをオフにして太陽光で現像しています。
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
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絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F11 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
高温・多湿の日なので遠景は陽炎とモヤでスッキリしない環境だったけど、F2.8開放でもフレア感が少なく画面全域で線が細くて解像感が感じられる描写だ。 ハイライト部の縁に若干のパープルフリンジがあるけど、非アポクロマートレンズとしては優秀だと思う。 また、発色はニュートラルで派手な色乗りじゃないので見たままの仕上がりという印象である。
小デフォーカスの後ボケに2線ボケ傾向があるけど汚さは目立たない。 デフォーカスが大きくなるにつれてスムースにボケてくれるので、良いボケ味が楽しめる。 また、背景の玉ボケがシャボン玉っぽくなるけど、輪郭は余り目立たないないので嫌らしさは出ない。 なお、ハイライト部のボケ像周りに色が付く「色ボケ」を殆ど感じないのは優秀で、開放絞りによる柔らかなボケを存分に楽しめる。
絞り開放でも適度にコントラストがあり、ピントが合っている部分の解像感は素晴らしい。 絞り開放でも良い描写だけど、F5.6に絞れば遠景で画面全域で素晴らしい描写が得られ、F16以上に絞ると回折の影響によりボヤけ始める。
画面に太陽を入れ込むと逆光フレア・ハレーションが多くなるけど、楽しいゴーストは出てくれない。 ゴーストを効果として使えないのは残念だけど、それは良い事としておこう。
あとがき
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TAMRON SP 90mm F/2.5 |
ELMARIT-R 135mm F2.8 はオールド望遠レンズを楽しみたい人にはヘリコイドアダプター併用でお勧め出来る一本だと思う。
昔からライカのレンズは高額過ぎて買えなかったけど、135mm とか 180mm の中古なら比較的安価に買えた。 それ以外の高価なレンズは買えなかったので、マウントが交換できるタムロンのアダプトールレンズのお世話になっていた。 でもアダプトールレンズをライカに装着して、ライカで撮った気分になれるのはタムキュウ( 90mmマクロ)くらいだった。
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