YASHICA FR I - 1978年発売

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YASHICA FR-I
YASHICA FR I
 YASHICA FR シリーズは CONTAX RTS と同じマウントを採用した YASHICA ブランドの絞り優先AEを搭載した一眼レフカメラである。 レンズはヤシカコンタックスマウントの YASHICA ML シリーズで、勿論 CONTAX の ZEISS レンズ群と互換がある。

YASHICA FR I

 YASHICA FR I は 1977年に発売されたマニュアル露出機 YASHICA FR に絞り優先AEを搭載したカメラで、シャッター最高速は1/1000秒だけど CONTAX RTS のヤシカ版である。 ただし、販売数が少ないのか街中で見かけたことはない。
YASHICA FR が発売されたとき『ヤシカコンタックスマウント機として強力なブランド力を持つ ZEISS / CONTAX RTS があるのに、あえて YASHICA FR ってどういう事?』と思った。 全く別の会社がヤシカコンタックスマウントのカメラを出すなら別だけど、同じヤシカのカメラなのだ。 おそらく、コンタックスブランドで低価格機を出すことは許されなかったのだろう。
 当時の友人たちにはニコン教とミノルタ教とコンタックス教がいたけど、さすがにヤシカ教は居なかった。 『ヤシカもコンタックスも同じだ!』なんて言ってヤシカを使おうものなら虐められたに違いない。 そんなヤシカだけど、CONTAX RTS と「ほぼ」同じ規格のワインダーも用意されてたし、ZEISS レンズも使える事を考えれば安くて優れたカメラなのだ。

カメラ上面

カメラ上面
カメラ上面
バッテリーチェック
バッテリーチェック
 CONTAX RTS は巻き戻しクランク基部にシャッター速度ダイヤルが配置されていたが、YASHICA FR I は巻き上げレバー側にあり、巻き戻しクランク基部には露出補正ダイヤルが配置されている「標準仕様」である。 普通とちっと違うのは、巻き上げレバー軸中央がレリーズボタン(スイッチ)になっている事で、大きくて操作し易い電磁レリーズになっている。
なお、露出補正ダイヤルにもシャッター速度ダイヤルにもロックは無いのでいつでも簡単に操作できるけど、クリックが浅いため知らぬ間に勝手に変わっている事もある。
 露出補正ダイヤルの右にある露出補正ロック解除ボタン風なのは、バッテリーチェックボタンである。 このボタンを押せばフィルムカウンターが緑色に照明される。 設計バグの様な気もするが、電源オン状態でバッテリーチェックを実行すると、一旦電源をオフにしないとカメラの回路が機能しない。

カメラ背面

カメラ背面
カメラ背面
 カメラ背面の巻き上げレバー側にスライド式の電源スイッチがあり、巻き上げレバーを予備角まで引き出した状態で電源スイッチをスライドすればオン状態でロックされ、巻き上げレバーをゼロ角にしまえば電源スイッチが自動的にオフ位置に戻ってくれる。 なお、電源スイッチを入れないでレリーズしても測光してAE制御されたシャッター速度でレリーズしてくれる。 また、電源スイッチの右横にリモートレリーズ用の電気ソケットがある。

ファインダー視野

ファインダー視野
ファインダー視野
 ファインダー視野内上側に絞りスケールがあり、いちいちレンズの絞り環を見なくても設定絞りが判る。 絞り直読小窓が嫌いな僕にとっては、視野内ではあるけど絞りスケール方式は好感が持てる。 ファインダー視野内右側にシャッター速度スケールがあり、自動露出されるシャッター制御値が指針で示される。 シャッター速度をAuto以外にするとファインダー右下に赤いM警告が出て来る。 残念なのは、マニュアル露出時のシャッター速度追針が無いことで、指針が示すシャッター速度をカメラ上面のシャッター速度ダイヤルを見ながら設定しなければならない事である。 とはいえ、このカメラを自動露出で使う分には優れたファインダー内情報を持ったカメラであり、もっと視認し易い太文字を使っていればかなり優れたと褒めてあげるんだけどねぇ。
 ちなみに、ヤシコンマウントの絞り伝達は基本的に開放値からの相対回転量として伝達される。 従って、レンズの絞り絶対値が判らないのだけれど、開放F値ピンがあるのでファインダー上方の絞りスケールが開放F値に応じてメカ的にスライドして絶対絞り値が判る様になっている。 なお、ファインダー中央スプリットプリズムの周りにはマイクロプリズムが配置されていて便利だけど、個人的に斜め45度のスプリットプリズムは好きになれない。

YASHICA WINDER

YASHICA WINDER
YASHICA WINDER
 YASHICA WINDER は CONTAX REAL TIME WINDER と「ほぼ」互換がある。 「ほぼ」というのは、YASHICA WINDER は接点ピンが浅いので、CONTAX RTS だと接触が怪しいらしい。 また、他メーカーシステムと違ってワインダー装着用のカプラー蓋が無く、着脱が簡単なのは良いところだ。

富岡光学製レンズ

富岡光学製レンズ
富岡光学製レンズ
 コンタックスブランドで発売された日本製レンズの多くは富岡光学が生産した事は周知の事実で、富岡光学製の XR RIKENON 50mm F2 などは和製ズミクロンと言われ、人気のレンズである。 ヤシカコンタックスマウントの YASICA ML レンズ群の多くも富岡光学製らしく、この YASHICA ML 50mm F1.4 も良いレンズだ。 絞り開放でも画面周辺で大崩れしないので、描写の性格は異なるけど CONTAX PLANAR 50mm F1.4 と互角の性能だと思う。

あとがき

 記憶が曖昧になったけど、2005年ころにヤシカでメカ開発をしていた 諸△さん と自由が丘で話をする機会があり『僕は YASHICA FR I を持ってますよ』と言ったらとても驚いていたのが印象的だった。 貴方が開発したカメラなのに、変態を見る様な眼をしなくても....失礼、変態かも知れません。


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