TOPCON RE Auto-Topcor 5.8cm F1.4 - 銘玉をオートフォーカスで

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TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm
 RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 日本が世界をリードした一眼レフカメラ TOPCON RE Super 用のレンズで、巷では銘玉中の銘玉と評されている。 個人的には1960~1970年代の標準レンズでは RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm より、PETRI C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm が最も素晴らしい銘玉だと思っている。

TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm - 1963年発売

 TECHART LM-EA7 を修理してから、最近はオールドレンズでもオートフォーカス撮影していたので、フルマニュアルフォーカスは久しぶりだった。 ピント合わせにアタフタしていると、EXAKTA → LEICA M アダプターが欲しくなった....ので、アマゾンで¥3,699円のHaoge社アダプターを買ってしまった。 Haoge社のアダプターは手直ししないと、レンズをキッチりと装着ロック出来ないので注意が必要だ。

レンズ構成

RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm と C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm のレンズ構成図(C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm の大きさは絶対比ではありません)
レンズ構成図
 レンズの構成はペトリもトプコンも同じ5群7枚構成の拡張ダブルガウス型で、絞りを挟んで一対の張り合わせレンズが対象に配置されている。 トプコンは後玉の構成が少し特徴的だ。 右のレンズ構成図は絶対スケール比じゃない(光学系全長を合わせました)けど、トプコンは前玉径が大きくてペトリは後玉系が大きくなっている事が判る。 恐らく、マウントの建築限界による光学設計制限の違いが表れているのだろう。 両レンズのおおよその有効径を実測してみると、
  前玉有効径 ペトリ:Φ45.5mm トプコン:Φ52.5mm
  後玉有効径 ペトリ:Φ38.5mm トプコン:Φ32.5mm
となっていて、ペトリとトプコンを並べて後玉を眺めると『トプコンはF1.8並みに小さいなぁ』と感じるし、並べて前玉を眺めると『トプコンはF1.2並みに大きいなぁ』と感じる。 トプコンは後玉径の制限による周辺光量不足を、前玉径を大きくすることで稼いでいるのだろう。

絞り環の操作性

金属の連動鎖
金属製の連動鎖
 絞り羽根は6枚で、絞り範囲はF1.4からF16までである。 等間隔絞り環で0.5段ごとにクリックが設けられている。 レンズ単体では絞り込み方向も開放方向も同じ回転トルクの絞り環だけど、レンズをカメラに装着すると、絞り込み方向と開放方向とで絞り環の回転トルクが結構ちがう。 これは、開放測光用にボディー側と連動しているカプラーのテンションが大きいためである。 TOPCON RE Super のミラーメーター・システムはフィルム感度・シャッター速度ダイアルと絞り連動爪とを金属の鎖で繋ぎ、プーリーを介してアナログメーター自体を回転させていて、この鎖のテンションが結構強いからだ

距離環の操作性

2024年に分解・清掃・グリスアップした
2024年のグリスアップ
 距離環は270度以上回転するので、微妙なピント調節も行い易い。 また、2024年3月に分解・清掃・グリスアップしてあるので、ヘリコイドの操作感はとてもスムースだ。 最短撮影距離は0.45mなのでテーブルフォトでも大きな不満は無いけど、RE, Auto-Topcor 1:3.5 f=25mm が異常なほど寄れるレンズなので、それに比べたら普通という印象だ。 なお、TECHART LM-EA7 を使って撮影したら、両者合わせると最短撮影距離は0.36mほどの計算(レンズの主点間隔は無視して)になるので、クォーターマクロ並みに寄れることになる。

レンズ外観の特徴

マウント側の底面に凹段差があるのは前期型の特徴
外観上の特徴
 僕のレンズは RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4 の中でも前期型に分類されるレンズで、TOPCON R に装着する際にレンズ脱着レバー部に干渉しない様にマウント側底面に凹段差が設けられているし、距離環ゴムリングも前期型の特徴である縁段付きだし、銘板の焦点距離がcm表記である。 ところが、絞り環指標は前期のタイプではなく後期のタイプになっているので前期型と後期型のパーツが混在した過渡期に製造された製品なのだろう。 ちなみに、バヨネット爪の1つにレンズガード用の壁が立っているので、奥行きが少ないタイプのリアキャップだとキチンと嵌らない。

社外フード

高価な専用フードじゃなく、汎用社外フードで充分だ
汎用社外フードを装着
 専用のバヨネット装着式フードが存在するんだけど、中古価格がとんでもない高額商品になっていて、庶民には手が出ない。 お金持ちのコレクション用なら別だけど、普段に使うなら市販の汎用フードで充分だ。 僕はΦ62→72mmステップアップリングを介して Kenko LMH72-77 フードを装着している。
 なお、わざわざステップアップリングを介しているのは、フードを逆付け収納できる様にしたいからである。

描写特性

 明るい標準レンズなので、デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で本来の描写性能は出ていないと思います。

遠景描写

 以下の写真は2024年3月の良く晴れた午前中に、自作マウントアダプターに装着して SONY ILCE-9 で撮影してあったRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2
絞り:F2
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F4
絞り:F4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F8
絞り:F8
 絞り開放ではフレアっぽい描写で中央は解像感があるけど、画面周辺ではフレアもあるし解像感も低い。 F2に絞ると画面中央部はかねりスッキリした描写になり、画面周辺のフレアも少し減るけど、解像感はまだ低い。 F2.8に絞ると全体的なコントラストが向上し、画面中央付近は良い描写になるけど、画面周辺から隅にかけては解像感が少し低下している。 F4に絞ると、画面隅以外は素晴らしい描写になり、 F5.6まで絞ると画面全域で素晴らしい描写になる。

 素敵な周辺光量落ちがあり、1段絞るごとに改善し、F5.6でほぼ判らなくなり、F8で完全に解消する。 Dレンジオプティマイザーがオフならγ補正が立っている辺りなので周辺光量落ちが判り易いけど、Dレンジオプティマイザーをオンにすると判り難くなってしまう。

夜景・点光源描写

 以下の写真は 2024年3月に自作マウントアダプターに装着して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を、古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などは施していません。
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2
絞り:F2
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F4
絞り:F4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F8
絞り:F8
 絞り開放ではフレアが多くて霞がかった描写だけど画面中央の解像感はある。 画面周辺は硬めのメリディオナルコマがあって解像感が悪い。 F2.8に絞ると画面隅のコマフレアもかなり少なくなる。 F5.6まで絞れば画面隅でも充分な描写性能になる。 なお、6枚絞りなので、絞り込むと点光源に6本の光芒が現れる。

玉ボケ描写

 以下の写真は 2024年3月に自作マウントアダプターに装着して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を、古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などは施していません。
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2
絞り:F2
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2.8
絞り:F2.8
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F4
絞り:F4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F5.6
絞り:F5.6
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F8
絞り:F8
 距離環を0.6mに設定して玉ボケを撮影してみた。 画面周辺ではレモン型の玉ボケになるけど、対称的なレモン型なので嫌らしさは少ないだろう。 また、玉ボケのエッジが立つ事も少ないので、ボケ味が良さそうに感じる。 絞ると玉ボケが6角形になるり、F4まで絞ると画面全域で6角形ボケになる。

一般撮影

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーはオンに設定して現像してあります。
 撮影時は TECHART LM-EA7 を使ってオートフォーカス撮影してみたたが、絞りを開けていれば画面隅でもAFが働いた。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2.8
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F16
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F5.6
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2.8
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F2.8
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
TOPCON RE,Auto-Topcor 1:1.4 f=5.8cm 絞り:F1.4
絞り:F1.4
 絞り開放では繊細で優しいフレアに包まれるけど、光線具合によっては少しソフトで湿度感のある描写を示す。 撮り方によっては周辺の背景ボケがグルグルボケっぽくなる場合がある。 ただし、画面中央に対して画面周辺の描写が良くないので、絞りを開けて画面周辺に主被写体を置くのは苦手なレンズだと思う。
 F2.8に絞れば被写体を画面周辺に置いても使える描写になり、F5.6とかに絞れば遠景でも画面隅々まで使える充分な描写になる。
 なお、デフォーカスが大きなボケは気持ち良く溶けてくれるけど、デフォーカスが小さなボケは前ボケも後ボケも少し騒々しいボケ方をするので、ボケ量と配置は工夫した方が良い...難しいけどね。

 また、画面内に太陽を入れたりすると、ダブルガウス型らしいゴーストが発生してくれるので、効果として使えるだろう。

 総じてトプコンよりペトリの方が僕好みの描写だけど、色乗りはペトリよりトプコンの方が良く、「のトプコン」と呼ばれただけあって、赤系の発色が飽和しそうなほど強い...気がする。

あとがき

 巷で高く評価されている TOPCON RE,Auto-Topcor 5.8cm F1.4 は、海の日光・陸の東光(東京光学は日本陸軍向けが多かった)と言われただけあって、なかなか優秀なレンズだ。 でも、やはり、僕好みの描写をしてくれるのは C.C Auto Petri 1:1.4 f=55mm の方だなぁ。 ペトリの最短撮影距離は0.6mまでしか寄れないけど、LM-EA7 と組み合わせれば0.41mまで寄れるようになる。 LM-EA7のオートフォーカスに味を占めて、アマゾンで EXAKTA → LEICA M アダプターを買ってしまったけど、EXAKTAマウントで使いたいレンズを沢山持っている訳じゃないのよねぇ...勿体ない。💦

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