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| Olympus F.Zuiko Auto-S 1:1.8 f=38mm(カメラは OLYMPUS PEN F) |
Olympus F.Zuiko Auto-S 1:1.8 f=38mm は、1963年に発売された世界初で唯一のレンズ交換式ハーフ版一眼レフ
OLYMPUS PEN F シリーズ用の標準レンズである。 アトムレンズである事が判ったけど、放射線量はアトムの弟分だったチータン程度だった。
Olympus F.Zuiko Auto-S 1:1.8 f=38mm - 1963年発売
焦点距離が38mmのハーフサイズカメラ用なので、フルサイズ換算だと55mm相当の標準レンズとなる。 PEN F 用の標準レンズは 38mm F1.8 / 40mm F1.4 / 42mm F1.2 などが用意されていて、42mmだとフルサイズ換算で60mm相当になるので、少し長めの標準レンズだ。
レンズ構成
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| レンズ構成 |
レンズの構成は5群6枚の変形ダブルガウス型で、典型的なダブルガウス型に対して前群の凸凹貼り合わせレンズを分離した構成になっている。 オリンパスのダブルガウス型標準レンズは前群の貼り合わせを分離した形式が多い。 絞り羽根は5枚で、F1.8からF16までの等間隔絞り環で、各絞り値にクリックがある。 レンズを分解してみて判ったのだけど、後群に酸化トリウム含有硝材を使って描写性能の向上を図った様だ。
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| 汎用フードを装着 |
最短撮影距離は0.35mで撮影倍率は0.14倍ほどなので、そこそこ寄る事ができる。 なお、 距離環や絞り環の回転方向はキヤノンなどと同じ回転方向だけど、レンズ脱着はニコン回りになっているのは業界でも珍しい仕様だと思う。
ちなみに、締め付け式の専用フードが用意されていたけど、僕は持ってないので、手元に有ったライカ風のΦ43mm汎用フードを使う事にした。 似合う・似合わないは別として、絞り環が先端にあるレンズでは、締め付け式フードよりネジ込み式フードの方が、絞り環との間隔が開いて操作し易いからだ。
なお、OLYMPUS OM シリーズに切り換わった後に、OM-SYSTEM レンズを PEN F シリーズで使える様にする純正マウントアダプターが発売されていた。 自動絞りには対応していないので、実絞り撮影になる。
TTLナンバー
オリンパスは1966年発売の PEN FT でTTL開放測光に対応した。 本レンズは PEN FT 発売前の前期型だけど、PEN FT に対応した後期型の絞り環にはF値刻印に加えて、裏側にTTLナンバーが刻印されていて、絞り環を前方に引いて半周回せばF値刻印とTTLナンバー刻印とを切換えられる仕組みだった。 PEN FT のTTL開放測光は、カメラのTTL測光値とレンズ絞り環のTTLナンバー値を合致させれば適正露出になり、「0」が開放絞りを意味し、「3」とか「5」とかの各数値が開放絞りからの絞り込み段数を「概ね」表わしている。 従って、カメラのTTLメーター指針は装着レンズの開放F値に関わらず、現在の開放測光値から何段絞れば適正露出になるかを表すので、カメラとレンズとの間で絞り環設定情報を伝達する必要が無い。
ただし、適正露出の絞りに設定するにはファインダーから眼を外さなければならないので、使い易いシステムとは言えないけど、カメラとレンズの絞り設定情報の伝達なしにTTL開放測光を実現させる方式で、レンズとカメラとの絞り情報の伝達を人間が行うという裏技である。
ちなみに、TTLナンバーの「0」と「1」が妙に離れていたり、「0.5」から始まるレンズや「1」から始まるレンズなど、レンズによってTTLナンバーが異なっている。 恐らく、TTL測光方式が平均測光なので、「0」と「1」が妙に離れているのは装着レンズの周辺光量落ち補正のためで、「0.5」や「1」から始まるのは射出瞳距離の違いによる補正なのだろう。 最も、TTLナンバー以前から絞り環のF1.8とF2は0.3段差なのに、間隔は1段分開いている妙なシステムなんだけどね。
絞りのオイル清掃
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| 分解中... |
レンズの絞りにオイルが回ってしまい、絞り駆動(開放へ戻る動作)が粘り気味になってしまった。 今世紀には絞り動作が遅めになっていたけど、2010年頃には『粘り気味』になり、今では絞り羽根にオイルが回っているのが判る。 という状態で、分解して絞り羽根のオイル清掃を試みた。
分解で特に難しい箇所は無いけど、絞り環のクリック用硬球やコイルバネを無くさない様にしよう。 絞り羽根までアクセスするためにレンズ群を取り出したけど、後群は最終レンズの押さえ環を外す必要があったので、最終レンズのみ清掃しておいた。
線量率測定
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| 線量率測定 |
分解して最終レンズを取り出してみたら、少し黄変していて、黄変具合がアトム風だったので『もしや?』と思って、組立て後に線量率を測定してみたら、後玉側の線量率が0.85μSv/hを示した。 激しく黄変する
M-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-S 1:1.4 f=50mm の前玉側は2.33μSv/hもあったし、非アトムレンズは高くても0.15μSv/h程度なので、F.Zuiko Auto-S 38mm F1.8 は「薄め」の酸化トリウム含有硝材を使用している様だ。 鉄腕アトムが10万馬力なので、このレンズは1万馬力でアトムの弟分「チータン」ってとこだ。
UV TOPCOR 1:2 f=50mm と同じ様に、酸化トリウムの含有率が低めの硝材を使って性能向上を図ったのだろう。 今回の測定結果は「
アトムレンズの線量率測定」記事に追記しておいたけど、TTLナンバーが追加された後期型でも「チータン」レンズなのかは判らない。
PEN F もメンテナンス
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| 摺動部に注油 |
OLYMPUS PEN F は絞り込みレバーの動作が少しでも渋くなると、レンズを装着してレリーズするとミラーアップ途中止まりとなってしまう。 レンズ無しだと正常にレリーズ出来ても、レンズを装着すると絞り込み負荷により止まってしまうのだ。 底蓋を開けて絞り込みレバー摺動部(赤枠のビス2本周り)に極少しだけ注油してやれば復活するだろう。 なお、レリーズボタンに連動して摺動するスライダー(黄枠のビス2本周り)のグリスが真っ黒に劣化して固まっているので、清掃してグリスアップしておくと良いだろう。
描写特性
PEN F → SONY E マウントアダプターを介して、SONY ILCE-9 で撮影してみた。 PEN F システムの画面はハーフサイズ(17x24mm)だけど、ILCE-9のAPS-Cサイズ(23.7x15.8mm)で撮影してあるので、縦横比や画面サイズが PEN F より少し狭くなっています。
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| 基準点が真上じゃない |
なお、SONY α9 のAPS-Cサイズだと画素数が10Mしかないので、レンズの描写性能を測りきれないのが残念だ。 ちなみに、入手した PEN F → SONY E マウントアダプターは、距離・絞りの基準点・基準線が真上でなく斜め上になってるのが気持ち悪い。 送料込み¥890円で入手した安価なアダプターだけど、絞り込み押しピンも付いているし、マウント平行度も問題ないので普通に使える。 とはいえ、基準点・基準線が妙にズレて真上に揃ってないのは何故なんだろう...非常に落ち着かないし、絞りの設定操作をやり難い。
遠景描写特性
以下の写真は2023年8月の良く晴れた日に SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。 なお、フルサイズで撮影した画像を4000x2667画素に切り出しているので、カメラのAPS-Cサイズより若干広めです。
絞り:F1.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
遠景における絞り開放では画面中央付近は少しソフトだけど解像感がある描写で、画面周辺に行くほどフレアが増えるけど、ハイライトが無い部分は解像感がある。 F2.8に絞ると画面中央付近は素晴らしい描写になり、画面隅のハイライト部にフレアを纏うが充分な描写だと思う。 F4に絞ると画面隅のフレアも消えて画面隅でも充分な描写になる。 F5.6まで絞れば画面全域で素晴らしい描写だ。 少な目だけど素敵な周辺光量落ちがあり、F2.8で目立たなくなり、F4で解消してしまう。
ハーフサイズ用レンズなので、フルサイズ画面では『ケラレている!』というレベルの周辺光量落ちになり、フルサイズの画面周辺では盛大なサジタルコマフレアも発生する。 でも、意外と広範囲まで写るので、これらを効果として使える...かも知れない。
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| フルサイズで撮影した画面 絞り:F1.8 |
夜景描写特性
以下の写真は 2023年8月にSONY ILCE-9 のAPS-Cサイズで撮影したRAW画像を古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などは施していません。
絞り:F1.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F1.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り開放では画面中央付近でも収差フレアが目立ち、画面周辺ではサジタル・メリディオナルともに大きな収差フレアが目立つ。 F2.8に絞ると画面中央付近はスッキリした描写になり、画面周辺では少しフレアが残り、画面隅ではサジタルフレアが半分程度になる。 F4まで絞れば画面周辺でも夜景として使える描写になり、F5.6まで絞れば画面隅でも点光源が点像として写る。 5枚絞りなので、絞り込むと点光源に10本の光芒が現れる。
距離環を約0.6mに設定して夜景玉ボケを撮影してみた。 画面周辺ではレモン形の玉ボケになるけど、対称性が良い方なので嫌味な後ボケにはならないだろう。 F2.8に絞ると5角形ボケになるが、画面周辺では5角形になりきらない。 F4に絞ると画面全域で5角形ボケになる。 5枚絞りなので、絞るにつれて5角形のボケ形状になるが、正5角形じゃなく歪んだ5角形になってしまうのは嫌な感じだ。
困ったことに、玉ボケを撮ってみたらレンズ内部に汚れがある事が判った。 確かにLEDライトで透かして見ると汚れている。 再分解してレンズ面を清掃しないとダメだなぁ...絞りのオイル清掃の時に良く確認しておくんだった。
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