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| CANON LENS 28mm 1:2.8 L39 |
1950年代になると日本の光学技術も向上し、ドイツ製品を凌駕する仕様の製品を出せる様な時代になりつつあった。 ライカの28mmがF5.6(Summaron f=2.8cm 1:5.6)だった時代に CANON LENS 28mm 1:2.8 は世界最高の明るさを誇る28mm超広角(当時28mmは超広角)レンズだった。 このレンズも「古希」を迎えるオールドレンズだ。
CANON LENS 28mm 1:2.8 L39 - 1957年発売
当時のキヤノンはダブルガウス型を採用したレンズが多く、1951年発売の
SERENAR 28mm f:3.5 もダブルガウス型だったけど、このレンズは異なるレンズタイプを採用した。
コラム
僕はキヤノンのレンズ交換式レンジファインダーカメラを3世代に別けている。
| 世代 | 発売年 | カメラの特徴 |
| 第一世代 | 1934~1946年 | 独自バヨネットマウント機 や 独自ネジマウント機 |
| 第二世代 | 1946~1955年 | ライカL39ネジマウントで、バルナック風デザイン |
| 第三世代 | 1956~1965年 | 脱バルナック型でモダンなデザイン |
また、同じライカL39ネジマウントレンズ製品でも、第二世代と第三世代とで意匠が大きく変更されている。
レンズ構成
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| レンズ構成 |
このレンズは4群6枚構成で、貼り合わせの凸凹を逆にしたオルソメター型であり、ダブルガウス型ではない。
恐らく、伊藤宏氏が
設計に関わっていたと思われるので、通常のダブルガウス型で明るい広角レンズにトライしたのだろうけど、収差補正のバランスからオルソメター型に落ち着いたのだと妄想している。 なお、1951年に発売された
SERENAR f:3.5 28mm はダブルガウス型を採用していた。
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| W-NIKKORと比較 |
オルソメター型は画角が広いのに光学エレメントがコンパクトだけど、明るくするのが難しいレンズで、F2.8まで明るくするのは難しかったと想像できる。 レンズ外観のぱっと見は暗いレンズに見えるけど、オルソメター型の W-NIKKOR・C 2.8cm F3.5 と比べれば、(無理な比較だけど)確かに「大口径」なんだと判る。
絞りはF2.8からF22までの等間隔絞り環になっていて、各絞り値にクリックがある。 絞り羽根は6枚の線形絞り羽根なので、絞ると輝点にキツめな6本の光芒が現れる。 好みが別れるところだけど、天体写真撮影用レンズじゃないので、キツい光芒は演出として嫌いじゃない。 また、輝点の玉ボケは6角形ボケになる。
ちなみに、僕の個体は絞り開放でも絞り羽根が少し見えていて、画面中央付近の輝点ボケが絞り開放でも6角形になる。 これが仕様通りなのか、狂っているのか判らないけど、他の製品と比較すると絞り開放露出は概ねF2.8相当で合っている様だ。
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| 社外製フードを装着 |
鏡筒の作りはしっかりしていて高級感がある。 このレンズの発売は第三世代機の時代だったけど、レンズの意匠は第二世代機向けのデザインになっている。 個人的に安っぽく感じる第三世代機向けのデザインより、クラシック然としたこのデザインの方が好きだ。
フィルター径はΦ40mmで、装着するなら超薄枠フィルターが適している?だろう。 なお、付属の金属製キャップは外れ易いので、汎用の樹脂製キャップを使っていた。 また、レンズ面がフィルター枠より奥まっているので、フードは要らないと思うけど、コンパクトな広角レンズなので指が写り込みやすい事から「指防止」にフードを装着した方が安心だ。
描写特性
今回は
TECHART LM-EA7 を介して SONY ILCE-9 にて、オートフォーカスも使用して撮影してみた。 Leitz Summicron f=5cm 1:2 沈胴 や CANON LENS 50mm F1.5 L39 などと違って、画面周辺ではオートフォーカスが効かない。 画面左右方向に対しては中央1/3程までで、上下は8割ほどまでがAF可能だ。 恐らく、射出瞳距離や瞳径などがオートフォーカス可能な範囲と大きく異なるのだろう。 また、画面中央でもオートフォーカス動作がかなり怪しい。
なお、明るめの広角レンズなので、デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で本来の描写性能(特に画面周辺)は出ていないと思います。
遠景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
絞り:F2.8 |
絞り:4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り開放でも画面中央付近は良い描写で、画面周辺ほどコマフレアーにまみれてボヤけてしまう。 絞るごとに良像範囲が広がってゆく感じで、F8まで絞ると画面周辺でも充分な描写になる。 ただし、絞りF11までは良好な描写だけど、F11より絞ると回折の影響でボヤけ始める。 風景などの遠景描写ならF8かF11で撮影すれば満足な描写になるだろう。
かなりの周辺光量落ちがあり、F16で解消されるまでジワジワと改善して行く。 なお、少し寒色系の発色で、色乗りもあっさり風だと思う。
夜景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは白色蛍光灯に設定し、Dレンジオプティマイザーはオンに設定して現像してあります。
絞り:F2.8 |
絞り:5.6 |
絞り:F11 |
絞り:F2.8 |
絞り:4 |
絞り:F5.6 |
絞り開放でも画面中央は比較的良い描写だけど、画面周辺にゆくほどコマフレアが大きくなりぼんやりした描写になる。 F5.6に絞ると画面周辺でも我慢出来そうな描写になり、F11まで絞ると画面隅でも点光源が点光源として認識できる。 なお、絞ると輝点にキツイ6本の光芒が発生するけど、これはこれで効果として嫌いじゃない。
玉ボケ描写では、28mmなのでボケが小さいことから、距離環は無限遠のままマウントアダプターを最大繰出し(4.5mm)に設定して、レンズ単体より大幅に繰り出した状態です。 リング状のバブルボケ傾向があるけど、残念ながら目立つ程ではないけど、少しクセのある描写を楽しめる。 また、絞り開放でも画面中央付近の玉ボケが6角形になるのは、開放でも少し出ている絞り羽根の影響だ。
一般撮影
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオンに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
絞り:F2.8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F2.8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8(指写り) |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F8 |
絞り:F5.6 |
絞り:F5.6 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り:F2.8 |
絞り開放でも画面中央付近はちゃんと写るけど、画面周辺から隅にかけてはコマフレアが多くなってボヤけてしまう。 遠景や平面的な被写体ならF5.6からF8まで絞れば画面隅でも使える描写になる。
一方、立体的な被写体なら画面周辺や隅に配置しなければ、周辺ピントじはボケているので、絞り開放でもピントを合わせた部分は普通に良く写る。 なお、少し寒色系の発色で、色乗りはあっさり目だと思う。
ゴーストや逆光フレアーは発生するけど、酷過ぎることは無い...というか、オールドレンズとしては意外と耐性があると思う。 半逆光条件でもフツーに写ってくれる。 画面内に太陽を入れ込むと、クラゲの傘みたいなオレンジ色ゴーストや円弧状の虹色ゴーストが発生してくれる。
現代のレンズと違って、描写のクセを考えて構図や絞りを選択しないと思った様に写らないけど、それが楽しい素敵なオールド広角レンズだ。
あとがき
第二世代の1951年に4群6枚構成のダブルガウス型の
SERENAR f:3.5 28mm が発売されてる。 このレンズの発売により 28mm F4 を量産開始していた日本光学が、急遽 F3.5 へ設計変更した話が千夜一夜物語に掲載されていた。 ニコンの一色真幸氏はオルソメター型で攻めてきたけど、キヤノンの伊藤宏氏はダブルガウス型で攻めてきた。
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