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| アトムな Leitz GmbH Wetzlar Summicron f=5cm 1:2 沈胴 |
LEICA IIIg には標準レンズとして Elmar f=5cm 1:2.8 が用意されていたけど、僕は沈胴式の Summicron f=5cm 1:2 を使っていた。 70年前のレンズだけど画面中央付近の解像感は素晴らしい。
Leitz Wetzlar Summicron 5cm F2 L39沈胴 - 1953年発売
LEICA M3 発売の前年にスクリューマウントの Summicron f=5cm 1:2 が発売された。 バルナック型ライカの定番レンズは
Elmar f=5cm 1:3.5 だったけど、新たな定番レンズとして Summicron が君臨する事になった。
レンズ構成
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| レンズ構成 |
このレンズは6群7枚構成で、ドイツ人のマンドラー氏によって設計された、今や伝説となった「空気レンズ」を採用した事は有名である。 ライカの看板レンズとなった優秀な(当時は)レンズで、先頭のレンズを凸凹の2枚に分離した、拡張ダブルガウス型と言えるレンズ構成である。 先代の Summitar は4群7枚構成で、前群が貼り合わせになっていたが、分離することで Summitar の欠点だった収差フレアなどを改善している。
なお、本レンズは沈胴式鏡筒だけど、1000本ほどの固定鏡筒式スクリュウマウントレンズが製造されたらしい。
初期型ではトリウム酸化物を含む硝材が使われていたが、途中でトリウム酸化物を使わない硝材に変更されている。 僕の個体はシリアル番号から1955年に製造されたトリウム酸化物が使われている前期型なので、ブラウニング現象により黄変しちゃうアトム玉である。 レンズ前側から線量率を測定すると、3.77μSv/hほどの高い線量率を示す。
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| 紫外線照射の様子. |
結構な黄変を発症するので、紫外線照射が欠かせない。 以前は冬に太陽光を当てていたけど、今は紫外線LEDによる照射が可能なので、室内で昼夜・天候を問わず対処できる。 Summicron f=5cm 1:2 は第一レンズと第三レンズがアトム硝材なので、レンズ前方から紫外線照射するか、分解して第1・3レンズだけに紫外線照射するのが良い。 グリスや潤滑油の揮発成分でレンズ内に曇りが発生している場合もあるので、分解清掃のついでに紫外線照射するのが効率的だろう。 なお、前玉がヤワなので清掃の際は拭き過ぎに注意した方が良い。
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| 鏡筒は沈胴式 |
この個体は第一世代の前期型沈胴式鏡筒で、Elmar f=5cm 1:3.5 ほどではないけど沈胴させるとコンパクトになる。 また、絞りは10枚羽根で絞っても円形となるし、リング式の絞り環になっているので Elmar f=5cm 1:3.5 より格段に操作し易い。 なお、絞り環は不等間隔絞り環で、各絞り値に優しいクリックが設けられている。
距離計連動式カメラ用レンズであるため、最短撮影距離は1mなと遠くて、全く寄れない。 そのため、接写レンズと補正レンズがセットになった接撮影アダプターの ADVOO(16503) が用意されていた。
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| 安価なフードを装着 |
Zeiss社 や Nikon社 の CONTAXマウント と異なり、直進ヘリコイドなので、ピント調節しても絞り環やフィルター枠が回転しない。 フィルター径はΦ39mmで、フードはレンズ先端リングの溝にはめる IROOA(12571)が用意されていた。 IROOAフードは異常に高額だったけど、今でも中古フードが高値で取引されている様だ。 なので、フィルター枠のΦ39mmにネジ込む安価な金属製フードも選択肢だろう。 ただし、ライカのフィルターネジはΦ39mmP0.5mm(一般フィルターネジはΦ39mmP0.75mm)なので適合するフードは少ないし、フードなんか装着しない容姿が一番カッコ良いと感じる。
描写特性
今回は TECHART LM-EA7 を介して SONY ILCE-9 にて、オートフォーカスも使用して撮影してみた。 Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 と違って画面周辺でもオートフォーカスが可能で、速くないけど、マニュアルフォーカスより確実にピントを合わせられる印象だった。 恐らく、射出瞳距離や瞳径などがオートフォーカス可能な範囲内なのだろう。
遠景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
絞り:F2 |
絞り:2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り開放では画面中央付近は少しソフトな描写だけど解像感は悪くない。 画面周辺ほど描写が劣化し、画面四隅ではかなりボヤけている。 F2.8に絞ると画面中央付近はスッキリとして良い描写になるが、画面四隅はまだ充分にボヤけている。 F5.6まで絞ると画面中央付近は素晴らしい描写になりるが、画面四隅はまだボヤケている。 F11まで絞れば画面極四隅も我慢出来そうな描写となる。 なお、素敵な周辺光量落ちがあり、絞ればジワジワと改善し、F5.6で解消する。
一般撮影
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオートに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
絞り:F2 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F2 |
絞り:F4 |
絞り:F8 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り:F4 |
絞り:F2 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F2 |
絞り:F2 |
絞り開放では画面周辺から隅にかけて描写が悪いので、立体的な被写体なら像高5~6割付近に配置し、他はボカしてしまえば周辺から隅にかけての描写の悪さは目立たない。 また、ボケ味が綺麗とは言えないけど、大きくボカせば気にならないし、周辺グルグルは少ない方だと思う。
遠景ではF8以上に絞らないと画面四隅の描写が良くないけど、4:3のプリントならF5.6でも許せるだろう。 とはいえ、70年前のF2レンズだと思えば充分な価値があるレンズだったことは頷ける。
高屈折率・低分散を実現した酸化トリウム含有硝材のお陰もあり、色収差は良く補正されていて、前後ボケの周囲に色が付く「色ボケ」も殆ど感じられない。
なお、この個体は紫外線照射で黄変を緩和してあるけど、好ましい発色はとは言えない。 カメラをオートホワイトバランスに設定しても、赤みを残したカラーバランスになってしまうことがある...特にソニー機では。 また、古い時代のコーティングの影響なのか、全体的なコントラストが控えめで、シーンによっては黒浮きしている感じだし、前玉が陽光を受ける角度によっては画面内に円弧状のゴースト・フレアが発生する。
あとがき
ライカを代表するレンズとなった Summicron だけど、70年前のレンズなので現代のレンズと比べたら欠点も沢山ある。 特に絞りを開けた場合の画面周辺から隅にかけての描写は褒められない。 また、同じ絞りF5.6で撮影するなら
Elmar 5cm 1:3.5 の方が良い描写を示すけど、70年前の明るいF2レンズと考えれば...素晴らしい描写なのだ。
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