Leitz Elmar 5cm F3.5 Red Scale - 現代でも通用する優れた描写

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Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale を装着したLEICA Ⅲ型
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale を装着したLEICA Ⅲ型
 Elmar f=5cm 1:3.5 が登場したのは、1926年発売のライカ最初の量産機である LEICA I型(米国や日本では LEICA A型と呼ばれた)に括り付けで搭載されたのが最初である。

Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale - 1930年発売

 交換レンズとしての Elmar f=5cm 1:3.5 1930年から製造されていて、このレンズ抜きでライカを語れないほど有名なレンズだ。 なお、この Red Scale Elmar は製造番号から1954年に製造された個体なので、新しすぎて LEICA III型 にはチョット似合わない。

レンズ構成

Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale レンズ構成
レンズ構成
 レンズ構成は3群4枚のいわゆるテッサー型だけど、Carl Zeiss が持つ特許を回避するために、絞りは第1凸レンズと第2凹レンズの間に配置されている。 基本的なレンズ構成は1930年の頃から変わらないけど、長い生産期間で微妙に変更されたりして少しずつ変化していたと思われる。 また、本製品にはしっかりとしたコーティングが施されているので、コントラスト・抜けなども良くなっているハズだ。

 鏡筒は沈胴式で沈胴してしまえばボディーキャップ程度の厚みにしかならないので、携行時には非常に薄いカメラになる。 また、カメラの革ケースもこのレンズに合わせて出っ張りが少ないケースが用意されていた。 ただし、鏡筒内径が小さいため、内面反射の影響がそれなりにある様だ。

専用フード FISON を装着するとエレガントな容姿が崩れる
フード FISON
 Elmar f=5cm 1:3.5 にはバリエーションが多く、ニッケルメッキ製品やクロームメッキ製品などがある。 また、当初の絞り設定値は大陸系列(F3.5 / 4.5 / 6.3 / 9 / 12.5 / 18)だったが、国際系列(F3.5 / 4 / 5.6 / 8 / 11 / 16)に改められ、最終的にF22を加えた国際系列(F3.5 / 4 / 5.6 / 8 / 11 / 16 / 22)へと変更されている。
 なお、絞り環(ツマミ)が銘板部前面にあり、絞り値の設定操作をやり難い。 フードを付けたりしたらエラク面倒になるけど、絞り環爪を挟むアクセサリをフード FISON の内側に装着すれば、フードを回すことで絞り値を変化させる事が出来て便利だ。 ただし、このレンズはフードなんて野暮なものを装着しない容姿が最も美しいと思う。

 なお、LEICA M3 が発売された後でも Mマウント化された Elmar f=5cm 1:3.5 が製造され、絞り環が前枠の外側に配置されたモダンな仕様になった。 この仕様のLマウント製品も発売されたハズだけど、中古市場ではあまり見かけない。 一方、LEICA IIIg 用に新種ガラスを使用して明るくなった Elmar f=5cm 1:2.8 はMマウント製品と共によく見かける。

描写特性

 今回は TECHART LM-EA7 を介して SONY ILCE-9 にて、オートフォーカスも使用して撮影してみたけど、やはりLM->NEXヘリコイドマウントアダプターでマニュアルフォーカスの方が確実だった。

遠景描写

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは5800°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。 
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F8
絞り:F8
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F11
絞り:F11
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F16
絞り:F16
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F22
絞り:F22
 絞り開放から画面中央付近は充分に良い描写で、画面周辺ほど描写性能が少し低下する。 F5.6に絞れば画面中央付近は素晴らしい描写で、画面周辺の描写も良くなり、F8まで絞れば画面全域で素晴らしい描写になる。 なだらかで素敵な周辺光量落ちがあり、F8で殆ど判らなくなり、F11で完全に解消される。 なお、発色は若干寒色系なのはモノクロフィルム時代だったからだろう。

一般撮影

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオート(ツツジは太陽光)に設定し、Dレンジオプティマイザーもオートに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F8
絞り:F8
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F22
絞り:F22
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F3.5
絞り:F3.5
Leitz Elmar f=5cm 1:3.5 Red Scale 絞り:F8
絞り:F8
 明るいレンズじゃないので中央付近は絞り開放から良く写るレンズで、少し絞れば画面全域で素晴らしい描写になる。 現代の高性能レンズの様な切れるシャープさでは無いけれど、70年を経た現在でも充分な描写性能・表現力があるレンズだ。 また、テッサー型にしてはボケ味も悪くないし、後ボケは優しくボケてくれる。 なお、F22まで絞っちゃうと回折の影響で解像が悪くなり、飽和する様な高輝度部の回折フレアが目立ってしまう...のはどんなレンズでも一緒だけどね。

 このレンズはコントラストが高過ぎない写真に仕上がる気がするので、カラーよりモノクロームが似合う描写だと思う。

あとがき

 70年前のレンズにしては充分過ぎる描写で、当時からライカを代表する標準レンズだった事が判る。 今回の撮影では LM-EA7 でオートフォーカスも使ってみたけど、画面周辺に近い測距点でもオートフォーカスが動作する。 ただし、暗いレンズなのでオートフォーカスが随分と遅く、普通にマニュアルフォーカスした方が速いくらいなので、LM->NEXヘリコイドマウントアダプターの方が使い易かった。

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