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| TAMRON SP 35-80mm F/2.8-3.8 Model 01A |
タムロンの ADAPTALL マウントが ADAPTALL 2 へ進化し、先代の TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M とほぼ同じスペックだけど、ADPTALL 2 レンズとして全長が短くて軽くなった。
TAMRON SP 35-80mm F/2.8-3.8 Model 01A - 1980年発売
1980年前後の主な標準ズームレンズには次の様な製品があった。 ワイド端の開放値が明るいF2.8であるとはいえ、サードパーティー製ズームレンズとして¥58,000は高価な製品だった。
| メーカー | 発売年 | 製品名 | 価格 |
| TAMRON | 1980年 | SP 35-80mm F/2.8-3.8 Model 01A | ¥58,000 |
| CANON | 1979年 | NewFD 35-70mm F4 | ¥45,000 |
| CANON | 1979年 | NewFD 35-70mm F2.8-3.5 | ¥108,000 |
| NIKON | 1977年 | Ai Zoom Nikkor 43-86mm F3.5 | ¥44,000 |
| NIKON | 1981年 | Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S | ¥96,000 |
| OLYMPUS | 1979年? | ZUIKO MC AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6 | ¥66,000 |
| OLYMPUS | 1980年 | S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 | ¥40,000 |
OLYMPUS ZUIKO MC AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6 の発売年が良く判らなかったけど、1977年9月の OLYMPUS OM-2 カタログには掲載されてなく、1979年6月の OLYMPUS OM-2N カタログには掲載されていたので、1978~1979年の発売だと思われる。 また、S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 はコシナ製のOEMレンズです。
【2026年5月12日追記】
1982年頃に、フランス製の Angenieux 35-70mm F/2.5-3.3 が発売されていました。 主要カメラメーカーのマウントに対応した製品が用意されていたけど、日本で販売されていた記憶がない。 一般人には手が出ないほど、高価なレンズだったと思う。
レンズ構成
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| レンズ構成 |
8群9枚構成の2群ズームで、第1~3レンズの前群(負パワー)と第4~9レンズの後群(正パワー)との間隔を変化させて焦点距離を変える方式である。 基本的なズーム方式は1973年に発売された
CANON FD 35-70mm 1:2.8-3.5 S.S.C. と同じで、より小型化しつつテレ端を伸ばしていて、前群の構成はキヤノンの田島氏(後の社長)が設計した製品より大幅にコストダウンされている様に見える。
先代のマクロ機能はワイド端で内筒全体を繰り出すワイド端マクロ方式だったが、MODセレクター方式のテレマクロとなり、焦点距離によって最短撮影距離が変化(テレ端で最も寄れる)する方式になった。 ワイド端の最短撮影距離は1mで『もっと寄りたい』とフォーカスリングを至近方向へ回して行くと、いつの間にかズームが65mmほどのテレ側へ変化する仕組みだ。 これにより、マクロ切換えなしにテレ端なら最短撮影距離は0.27m(撮影倍率:0.4倍)まで寄れるので、かなり大きく写せるけど、ワイド端の最短撮影距離は1mなので、35mmの画角を活かしつつ寄った画作りには対応できない。
パワー配置にもよるけど、2群ズームでは前群の移動軌跡がテレ⇔ワイドで前後する場合が多く、本製品では前群の移動方向が切り換わる65mm付近で、MODセレクター方式によりカム溝に無理な力が加わり壊れそうな感触だ。
フィルター径はΦ62mmで、距離環操作でフルター枠が回転しちゃうのではPLフィルターを使い難い。 また、フードはラバーフードが用意されていたけど、僕はニコンのカブセ式金属フードを使っていた。 このフードは先代の QZ-35M や 35-70mm F/3.5 Model 17A(ステップアップリング併用) や NIKKOR 43-86mm F3.5 などにも使っていた。
コラム
Adaptall 2 マウントシステムは開放測光の連動機構などがAdaptall より強化されていて、ニコンの開放値伝達ピンなどにも対応していた。 装着するレンズの開放F値が異なるのに、これらの値を変換して伝達する機構を交換マウントに実装するにはアイデアと知恵がある技術者じゃないと難しかっただろう。 僕の妄想だけど、東京光学で世界初の開放測光を開発していた知恵者の河瀬さんがタムロンへ移籍していたので、河瀬さんの指導などがあったのかも知れない。
描写特性
今回はニコン Fマウント用の Adaptall 2 マウントを装着し、ヘリコイド付きマウントアダプターを使って SONY ILCE-9 にて撮影してあります。 なお、開放F値がズームによってF2.8からF3.8まで変化するけど、記載する開放F値は全てF2.8と記載してあります。 また、ワイド端以外では例えば80mmでF5.6と記載してあってもF7.6相当(開放から2段絞った値)になります。
遠景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは5800°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
f=35mm
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り開放ではソフトな描写で、片ボケの影響で画面左端が流れている。 F4に絞るとスッキリした描写になり、画面右端以外は充分な描写性能だ。 F5.6に絞れば画面右隅以外は素晴らしい描写になる。
素敵とは言えない崖落ちタイプの周辺光量落ちがあり、絞る事でジワジワと改善してゆき、F11で周辺光量落ちは判らなくなる。
f=50mm
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り開放ではソフトな描写で、片ボケの影響で画面左端が流れている。 F4に絞るとスッキリした描写になり、画面右端以外は充分な描写性能だ。 F5.6に絞れば画面右隅以外は素晴らしい描写になる。 ワイド端とは異なり、緩やかな周辺光量落ちがあり、F5.6で周辺光量落ちは判らなくなる。
f=80mm
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り開放ではソフトな描写で、片ボケの影響で画面左端が流れている。 F4に絞っても少しソフト感が残っているけど、画面右端以外は及第点の描写性能だ。 F5.6に絞れば画面右端以外は素晴らしい描写になる。 かなり緩やかな周辺光量落ちがあり、F5.6で周辺光量落ちは判らなくなる。
銀塩時代のプリントなら画面左右両端はカットされるので、この程度の片ボケは気にならないだろう。 とすれば、一般的なアマチュアにとって充分な性能のレンズだったと思うし、片ボケの無い製品に当たればラッキィだ。
新旧製品比較
旧製品の TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M と、後継製品の TAMRON SP 35-80mm F/2.8-3.8 Model 01A とを比較してみた。
新旧製品比較 f=80mm 絞り:F2.8 WB:5800K DRO:OFF(ダブルクリックで拡大)
QZ-35M の歪曲収差が目立つテレ端を比較してみたけど、右のビルを見ると歪曲収差の違いが良く判る。 画面中央部分の描写は両レンズとも充分な描写だけど、QZ-35M は画面周辺~隅の描写が大きく低下してしまう。 一方、01Aは画面右周辺でも良く持ちこたえているけど、画面左側端で少し片ボケがある様だ。 なお、ズームポジションによらず 01A に対して QZ-35M はかなり寒色系の発色になる
一般撮影
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオートに設定して現像してあります。 また、日中の写真はノイズリダクションはオフにしてあります。 なお、記載の絞り値や焦点距離は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
f=80mm 絞り:F2.8 |
f=80mm 絞り:F5.6 |
f=40mm 絞り:F2.8 |
f=80mm 絞り:F5.6 |
f=35mm 絞り:F11(接写) |
f=35mm 絞り:F5.6(接写) |
f=80mm 絞り:F2.8 |
f=50mm 絞り:F5.6(接写) |
f=35mm 絞り:F5.6 |
f=80mm 絞り:F2.8 |
f=35mm 絞り:F4 |
f=35mm 絞り:F8 |
今回の実写ではスカっと晴れた日じゃなかったので、フレア・ゴーストは少なめだけど、絞り開放では少しフレアっぽくてソフトな描写だ。 1段絞れば締まりのある描写になる。 更にF5.6まで(2段)絞れば画面周辺でも良い描写だと思う。 線が太めな感じだけど充分に使える描写性能だと思う。 また、テレ側なら随分と接写が可能で、道端で接写したい年寄りには楽しく使えるし、深度を深くするために少し絞れば描写も悪くない。
今回の撮影ではヘリコイドアダプター併用なので繰り出してワイド側でも接写してみると、F5.6程度に絞れば意外に良く写る。 35mmのワイド端でもヘリコイドアダプターによる全体繰り出し接写なら、周辺光量低下も気にならなくなるので、充分に使えると思った。 とはいえ、通信手段を持たないオールドズームレンズなので、ズームすると手振れ補正焦点距離が合わなくなるので設定し直す手間が面倒だ。
あとがき
TAMRON SP 35-80mm F/2.8-3.8 はモデル名が 01A なので、Adaptall 2 の開発ラインナップとして最初にエントリーされたレンズだったと想像できるけど、発売年が Adaptall 2 発売の翌年である1980年になった。 恐らくMODセレクターを採用したズーム構造などに難しい点があったりしたのだろう。 ズーム環のトルクムラなどの感触が悪く、個人的に好きなレンズではなかった。 なので、この Model 01A より鏡筒の感触がチープだけど28mmが使えてMODセレクターがスムースな 28-70mm F/3.5-4.5 Model 44A を使う方が多かったなぁ。
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