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| TAMRON SP 24-48mm F/3.5-3.8 Model 13A |
TAMRON SP 24-48mm F/3.5-3.8 Model 13A - 1980年発売
レンズ構成
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| レンズ構成 |
9群10枚構成の2群ズームで、第1~4レンズの前群(負パワー)と第5~10レンズの後群(正パワー)との間隔を変化させて焦点距離を変える方式である。 CANON FD24-35mm F3.5 S.S.C. ASPHERICAL は非球面レンズを使用していたが、Model 13A は球面レンズのみで構成されている。
フォーカシングは前群繰出し方式で、最短撮影距離はズーム全域で0.5mとなっている。 ワイド側では0.3mほどまで寄りたい事が多く、0.5mという最短撮影距離は長いと感じる。
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| 専用フードを装着 |
レンズ前枠が独特のデザインで、光路ケラレを回避するために、前枠の四隅が壊れたようにカットされていて、前枠にはフィルターを装着できない。 バヨネット装着式の花弁型の専用フードがあり、そのフード内側にΦ77mmのフィルターを装着する方式である。 最初から前枠径を大きくすれば、フィルターワークが楽だったのに、寸胴型鏡筒デザインを維持するために、こんな面倒な仕様にする必要があったのか疑問だ。 なお、フィルターネジが無いので、フロントキャップはフード同様にバヨネット式に装着する様になっている。
久しぶりにレンズを後ろ側から覗き込んで見たら、第9レンズと第10レンズの間の両面がレンズ周辺側から少し曇っている。 多分、徐々に周辺側から曇りが広がってきたのだと思う。 後玉を分解してみたら、第9レンズと第10レンズの間にあるスペーサーにオイルが塗布されていて、このオイルが少しづつ揮発してレンズ面を曇らせていた様だ。 タムロンさん、密閉部のスペーサーにオイルを塗布するってどういう事?
コラム
これは1979年頃に当時のタムロン写真レンズ設計課長に伺った話で、『SPシリーズは設計当初からSPを意識して設計しているんですか?』という僕の質問に対して『いや、スペックや最終的な設計性能で判断している』という事だった。 つまり、当時のタムロンSPシリーズは最初からSPレンズとして設計している訳ではなかった様だ。 「このスペックのSPレンズを設計する」という高い目標があると思っていたので、面食らった記憶がある。 確かに『この性能でSPなの?』というレンズもあった。
描写特性
今回はニコン Fマウント用の Adaptall 2 マウントを装着し、ヘリコイド付きマウントアダプターを使って SONY ILCE-9 にて撮影してあります。 なお、開放F値がズームによってF3.5からF3.8まで変化するけど、記載する開放F値は全てF3.5と記載してあります。
遠景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
f=24mm
絞り開放でも画面中央から周辺にかけて充分な描写性能で、四隅はボヤケてしまう。 F5.6に絞ると画面周辺の描写が向上し、極四隅はまだボヤけが残る。 F8に絞ると概ね素晴らしい描写で、画面隅でも充分な描写になり、F11では極々四隅でも充分な描写になる。 周辺部がアウトフォーカスになる様な、立体的な被写体なら絞り開放でも充分に使える描写性能だ。
素敵とは言えない崖落ちタイプの周辺光量落ちがあり、F8でほぼ判らなくなり、F11で解消される。
f=35mm
絞り開放では若干ソフトな描写で、画面隅部はボヤけている。 F5.6に絞るとスッキリとした良い描写になり、画面隅の描写も向上する。 F8に絞ると概ね素晴らしい描写になるり、F11では画面四隅も含めて素晴らしい描写になる。 なお、なだらかな周辺光量落ちがあり、F5.6で目立たなくなり、F8で解消される。
f=48mm
絞り開放ではソフトな描写で、画面周辺ほど解像感が低下する。 F5.6に絞るとソフトさは消えて良い描写となり、画面隅の描写も向上する。 F8に絞ると画面四隅でも充分な描写となる。 困ったことに、絞るほどに画面全体のコントラストが低下してゆく。 これはレンズ後部に設けられたフレアカッター内面に、画面外の高輝度部(空など)からの光束が反射して画面に影響してしまうためで、絞るほど画面外光量比が豊富になるからだ。 なお、緩やかな周辺光量落ちがあり、F8で周辺光量落ちは判らなくなる。
このレンズは高輝度部によるゴースト・迷光フレアーが発生し易いレンズである。 広角側よりテレ側の方が迷光フレアーが出易く、逆光条件ではなくても空が入る様なシーンではコントラストが大きく低下する場合がある。 特に、晴天より曇天の方が影響が出易く、縦位置で画面に入っていない空の部分を手で覆ってやるとコントラストが改善する。
一般撮影
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオートに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値や焦点距離は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
48mm F5.6 |
48mm F5.6 |
24mm F3.5 |
48mm F3.5 |
35mm F3.5 |
40mm F3.5 |
35mm F3.5 |
24mm F8 Helicoid |
24mm F5.6 Helicoid |
24mm F3.5 Helicoid |
24mm F5.6 Helicoid |
35mm F5.6 Helicoid |
24mm F5.6 |
35mm F5.6 Helicoid |
40mm F5.6 Helicoid |
24mm F5.6 Helicoid |
40mm F5.6 |
24mm F5.6 |
広角側なら絞り開放から良い描写で、F5.6とかF8に絞れば素晴らしい描写が得られる。 テレ側の絞り開放では解像感が低下するけど、F5.6に絞れば中央は充分な描写だ。 8まで絞れば輝度差がある被写体ではフレアが目立つけど、画面中央付近の解像感は悪くないし、画面周辺でもコマフレアが多いけど意外に堪えている。 絞ればシャープに写るレンズで、F5.6まで絞れば素晴らしい描写を見せてくれる。 後ボケに二線ボケの傾向があるけど、酷く煩い感じではない。
今回の撮影ではヘリコイドアダプター併用なので、繰り出して接写してみても意外に良く写る。 24mmのワイド端でもヘリコイドアダプターによる全体繰り出し接写なら、周辺光量低下も気にならなくなるので、充分に使えると思った。 やはり、通信手段を持たないオールドズームレンズなので、ズームすると手振れ補正焦点距離が合わなくなるので設定し直す手間が面倒だ。
迷光フレアーの原因
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| 光るフレアカッター |
このレンズもゴースト・迷光フレアーに対する詰めが甘い設計で、迷光の影響が大きい。 最終レンズの後部にあるフレアカッターが悪さをしているのだ。 テレ側だと後群が前方へ移動するため、フレアカッター内面が全て露出するので、画面外の高輝度部がフレアカッター内面で反射して画面内に迷光として入り込んでしまう。 フレアカッター内面に静電植毛を施すなどの対策が必要だ。 なお、
TAMRON SP 80-200mm F2.8 LD Model 30A なども迷光が多く、ゴースト・迷光フレアーはタムロン製品の弱点だった。
下の写真は、そのまま撮影した場合と、レンズの上方を手で覆って撮影した場合の効果を比較したものです。 陽光がレンズ前面に差し込んでいる訳ではなく、青空を手で覆っただけだけど、画面全体のコントラストが向上する。 曇天だったらもっと顕著に差が出ただろう。
レンズ上方を手で覆った場合の効果 48mm F3.5
あとがき
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| FUJIFILM SP400 |
TAMRON SP 24-48mm F/3.5-3.8 Model 13A は広角24mmスタートの有用なズームレンズだったので、交換式の Adaptall 2 マウントを利用して各種カメラで使っていた。 特に CONTAX AX に装着すれば、オートフォーカスできる広角ズームレンズとして使用でき、カメラボディー側のピント調整機能と併せて近接撮影も可能になり非常に便利だった。
当時はゴースト・迷光フレアもさほど気にしなかったけど、今ではデジタルカメラで比較撮影も簡単なのでエラク気になっちゃう...まっ、酷いんだけどね。 それにしても、現代では 24-70mm F2.8 というスペックがフツーになったのはスゴイよねぇ...デカくて重くて高価だけど。
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