CANON EF 135mm F2.8 SOFTFOCUS - 機能は良いとして...

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CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS
 キヤノンのソフトフォーカスレンズは 1983年に NewFD 85mm 1:2.8 SOFTFOCUS が発売されていた。 本レンズが発売された後はキヤノン純正ソフトフォーカスレンズは発売されていない...と思う。

CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS - 1987年発売

 このレンズはEOSシステム発売の最初からEFレンズの計画に入っていて、電子化の利点を活かすアイデアとして商品化したのだろう。 他メーカーにもソフトフォーカスレンズが存在したけど、ソフト効果は絞り値でコントロールする製品だったりした。 キヤノンはソフト効果専用レンズの位置でコントロールする方式を採用していて、絞り値とレンズ位置の両方でソフト効果を変えられるので応用範囲が広い。 なお、前世紀のレンズだけど、機能的にもAFが出来る近代のレンズなのでオールドレンズにはしていません。

レンズ構成

CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS レンズ構成
レンズ構成
 レンズ構成は6群7枚の拡張エルノスター型とも呼べる構成で、3枚の前玉群と絞りの間を移動するパワーが低めの非球面メニスカスレンズ(赤線のレンズ)を配して球面収差をコントロールしている。 この非球面レンズはソフトフォーカスモードリングに連動してメカ的に移動し、ソフトフォーカス効果を変化させている。 ソフトフォーカス効果は0(ソフト無し)から2(ソフト強)の3段階が選べる。 中玉の非球面を動かしちゃうので、そりゃあ球面収差が変化するよねぇ。
 フォーカシングはインナーフォーカス式で、絞りと最後部の凸レンズとの間に負パワーの張り合わせレンズを配置し、このレンズを移動させて行う。 ソフトフォーカス用レンズとフォーカシング用レンズを無くしたらエルノスター型そのものになる...僕の見立てだけどね。

 最短撮影距離は1.3m(撮影倍率0.12倍)で、もうちょっと寄れたら嬉しかった。 鏡筒上面には距離情報窓があり、窓の外側に SOFT:0・1・2 に対応した指標線が印刷されている。 フィルター径はΦ52mmで、フードはレンズ先端のミゾに装着する樹脂製でクリップオンタイプの ET-65 が用意されていた。 レンズ重量は390gなので NewFD 135mm 1:2.8 と似た重量だが、質感や操作感は全く似ていない。

 ソフトフォーカスレンズとしては焦点距離が長すぎる感じだけど、このレンズは捨てずに取ってある。 ただ、エンプラ製の鏡筒は握ればギシギシと音がするプラモデルの様なチープ感に溢れていて、可動部の操作感も非常に悪いので、愛着が沸かないレンズではある。

EOS一眼レフでのピント調節

 EOS一眼レフではレンズ通信により、現在の最良なフォーカス位置補正量を伝達する機能が有り、SOFT:0・1・2 の位置なら最適なピント合わせが可能になっている。 さらに、ワンショット合焦後にシャッター半押しの状態(合焦ランプが点灯している状態)なら、ソフト設定を変更しても再AF不要で最良のピント位置になる様にフォーカスレンズを駆動させる「補正駆動」機能が有る。

ワンショット合焦後にSOFT状態を変えると補正駆動が行われる

 なお、ソフトフォーカス効果としては SOFT:0・1・2 以外の中間位置にも置けるけど、検出ポジションは3段階のみなので、中間位置に置いた場合は正しいオートフォーカスや正しい補正駆動も行われない。

ミラーレス機でのピント調節

 通信可能なEOS-NEXマウントアダプターが複数存在するけど、僕が確認した限りでは「補正駆動」に対応した電子マウントアダプターは無かった。 マウントアダプターによるミラーレス機でのオートフォーカスでは、ソフトフォーカス効果を効かせたままオートフォーカスさせると、大抵はコントラストが最大になるようなピント位置に合わせてしまうので、フレア混じりのピンボケ写真になってしまう。
 ミラーレス機のオートフォーカスを使いながら、このレンズのソフトフォーカス効果を利用するなら、以下の手順で操作すればよい。
  • SOFT:0 状態でオートフォーカスにてピントを合わせる 
  • マニュアルフォーカスに切換える
  • SOFT:1 か SOFT:2 に設定する
  • 距離表示が設定したSOFTポジションに対応する線の位置へ来るように、手動でフォーカスリングを無限方向へ回す
 以上の手順でソフトフォーカスが最も効果的な状態になる。 このこため、このレンズは超無限側のストロークがとても多くとられているのだ。 ただし、合焦後に距離情報窓を覗きながら手動でフォーカスリングを回していると、体がふらついてピントが変化しちゃうのが難点だ。 電子マウントアダプターが補正駆動許可通信に対応していないのが惜しまれる。
 なお、当然だけど、オートフォーカスを使わないなら、マニュアルフォーカスで自分がベストと感じる位置へピント調節すればよい。

描写特性

 このレンズはソフト状態でもベストなピント位置に合焦させる機能が有るので、EOS一眼レフで撮影しないと便利に使えない。 シグマのマウントアダプター MC-11 を使ってSONY機でAF撮影すると、SOFT0なら問題ないけどSOFT1/2状態では中途半端なピントになるし、SOFT0で合焦させてからSOFT1/2に変更しても補正駆動はしてくれない。 シグマさんが「補正駆動許可通信」を実装してくれていたらSONY機で撮影したんだけどなぁ。 という事で、主に EOS 5D Mark II で撮影してあります。

遠景描写

 以下の写真は EOS 5D Mark II で撮影したRAW画像を Luminar Neo Ver.1.26.1(16487)にてカスタムホワイトバランスで現像した画像です。
 ちなみに、 Luminar Neo Ver.1.26.1(16487)にはバグがあった。 修正をお願いしたので、次回のアップデートで修正されることを期待している。 Skylum社はLuminarを使い始めた2019年当初からレスポンス良く対応してくれるので好感が持てる会社です。

SOFT:0
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F4
絞り:F4
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F8
絞り:F8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F11
絞り:F11
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F16
絞り:F16
 絞り開放の画面中心付近は少しソフトだけど良い描写で、画面周辺にゆくほど解像感が少し低下する。 F4に絞ると、画面中央付近は充分な描写になり、画面周辺も良い描写になる。 F5.6に絞ると、画面中央付近は素晴らしい描写になり、画面周辺も充分に良い描写になる。 F8まで絞れば画面全域で素晴らしい描写になる。
 周辺光量落ちはF5.6で殆ど判らなくなるけど、絞りの制御性が悪いらしく、絞り値で露出が少しバラツク場合がある。

SOFT:1
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F4
絞り:F4
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 SOFT:1 にすると球面収差がアンダーになり、ピントの芯はあるけど柔らかいフレアをまとった描写になる。 マニュアルフォーカスでこのピント位置にフォーカスするのはフレアが多くて意外と難しい。 なお、絞れば次第にフレアが減少するので、F4より絞るとSOFTを効かす意味が無くなる。 また、画面周辺まで均質に近い感じでソフトフォーカス効果が効いている。

SOFT:2
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F4
絞り:F4
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 SOFT:2 にすると球面収差が更にアンダーになり、ピントの芯はありつつ大きなフレアに包まれた描写になる。 マニュアルフォーカスでこのピント位置にフォーカスするのは、フレアまみれなので更に難しい。 なお、絞れば次第にフレアが減少するので、F5.6より絞るとSOFTを効かす意味が無くなる。

ピント補正機能の確認

 以下の写真は EOS 5D Mark II をオートホワイトバランスに設定し、SONY ILCE-9 はホワイト優先のオートホワイトバランスに設定して撮影したRAW画像を Luminar Neo Ver.1.26.1(16487)にて「撮影時設定」で現像した画像です。
(掲載写真は三脚を使っていないので、補正操作の際に体が揺れて撮影距離が変化してピントが怪しい懸念があります)
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 F:2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
SOFT:1 F:2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:2 F:2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8(SONY ILCE-9 + MC-11でAF)
SOFT:0 F:2.8(ILCE9でAF)
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8(SONY ILCE-9 + MC-11 SOFT:2でAF)
SOFT:2 F:2.8(ILCE9でAF)
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8(SONY ILCE-9 + MC-11 SOFT:0でAF後にSOFT:2にしてから手動で補正)
SOFT:2 F:2.8(手動補正)
 EOS 5D Mark II は各SOF設定状態でもでAF撮影してあり、 SOFT:1/2 でもピントの芯はありつつ、フレアーを纏った描写になっている。

 SONY ILCE-9 はSOFT:0 と SOFT:2 でAF撮影したものに加えて、SOFT:0 でAFさせてから、SOFT:2 に変更した後に手動でフォーカス位置を補正した場合とを載せました。 SOFT:2 状態でAFさせると後ピン合焦(コントラストは高いけど)になり、「性能が悪いレンズによるピンボケ写真」になってしまうが、SOFT:0 でAFさせてから SOFT:2 に設定して、距離環を手動補正するとピントの芯はあるけどフレアに包まれたソフト効果が最大の描写にできる。

 EOS一眼レフではSOFT1/2状態でAFしても最良のソフト状態になるし、SOFT0状態でワンショットでピントを合わせた後にSOFT:1/2状態に変更すれば、そのSOFT状態に応じた最良の位置へ補正駆動してくれるのが便利なところだ。
 シグマの MC-11 が補正駆動通信に対応していれば、ILCE-9でもマニュアルで補正する面倒は無かったんだけどねぇ。

一般描写

 以下の写真は EOS 5D Mark II をオートホワイトバランスに設定して撮影したRAW画像を Luminar Neo Ver.1.26.1(16487)にて「撮影時設定」で現像した画像です。
(掲載写真は三脚を使っていないので、補正操作の際に体が揺れて撮影距離が変化してピントが怪しい懸念があります)
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
SOFT:1 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:1 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
SOFT:1 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:2 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
SOFT:1 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:2 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:2 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:2 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
SOFT:1 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:0 絞り:F2.8
SOFT:0 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:1 絞り:F2.8
SOFT:1 絞り:F2.8
CANON EF 135mm 1:2.8 SOFTFOCUS SOFT:2 絞り:F2.8
SOFT:2 絞り:F2.8
 SOFT:0 状態なら普通の望遠レンズと変わらない描写で、なかなか良いと思う。 絞り開放では少し柔らかめだけど充分な描写だろう。 ボケ味も悪くなく、スムースにボケてくれるので安心して撮影できる。 ただ、ハイライトのボケに色が付く「色ボケ」があるのが惜しい。

 SOFT:1 や SOFT:2 ではピントの芯はあるけどベール越しの様な描写で、確かにソフトフォーカスらしい描写だ。 SOFT:2 の開放ではソフト過ぎるけど、絞り値で調節も可能だ。 このレンズのソフトフォーカス効果は開放絞り付近の球面収差を大きくアンダーにすることで実現しているので、ソフトに設定すれば後ボケは非常に柔らかくてスムースなボケになるけど、前ボケはリングボケ・二線ボケになってしまう。

 戦前から存在した LEICA THAMBAR 90mm F2.2 は球面収差をオーバーにしてソフトフォーカス効果を出すレンズなので、前ボケはスムースだけど後ボケはリングボケ・二線ボケになる。 背景に多数の輝点を配置すれば華やかなリングボケ写真にできるのが狙いだったのかも知れない。 なお、THAMBAR はレンズ構成が固定で、絞り値だけでソフトフォーカス効果をコントロールする方式だったと思う。

 発色はニュートラルで色乗りも悪くないし、SOFT:0 での描写は普通の望遠レンズに劣らない。 単にソフトフォーカス効果を楽しむだけでなく、前景に沢山の輝点を入れれば華やかなリングボケを演出できる...けど難しい。 もし、SOFT:-1 や SOFT:-2 みたいな設定があれば、後ボケをリングボケに出来て更に楽しめたと思う。 残念なのは溢れるほどのチープ感だ。

あとがき

 久しぶりに一眼レフの EOS 5D Mark II 使うとカメラの操作にアタフタしてしまう。 EOSの操作なんて忘却の彼方だという事もあるけど、一眼レフだと....
  • 少し絞っているのに、ファインダーの見え具合で撮影しちゃう
  • ファインダーで観察している場所を拡大しようとしちゃう
  • 屋内ではファインダーが暗くて、露出が合っていないとアセる
  • 撮影した写真のピント確認にファインダーを覗いちゃう
などなど、ミラーレス機に慣れちゃうと、デジタル一眼レフであってもクラシックカメラ然とした感覚だ。 また、使おうと思っても『あれ?CFカードは何処だ?』とか、撮影画像をPCに取り込もうとして『あれ?CFカードリーダーは何処だっけ?』てな事になる。💦
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