TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M - 楽しい鮫肌タムロン

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TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M
 大昔にこのレンズを持っていたんだけど、誰かにあげたか捨てたかしたので、2020年頃に¥300円で中古品を買い直したレンズである。 「鮫肌タムロン」と呼ばれる所以の独特のラバーが被せられている。 当時のタムロンレンズとしてはそこそこの光学性能で、F2.8-3.5 とライバルレンズより明るくてマクロ機能が付いている事が最大の魅力だった。

TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M - 1978年発売

 実は『バブルボケを堪能できるオールドマクロレンズが欲しいなぁ』と思っていたんだけど、『そうだ、QZ-35M が有ったじゃん!』と気付いた。 既に手元には無かったので〇フオ〇で¥300円のレンズをポチってしまった。

レンズ構成

TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M レンズ構成
レンズ構成
 13群13枚構成の標準ズームで、多分3群ズームじゃないかと思う。 ズーム環とフォーカス環が一体になった直進ズーム方式で、フォーカスは前群繰出し方式になっている。 古典的な4群ズームじゃないので、ズーミングによるピント変動が大きいことから、「テレ端でピントを合わせてワイド側へズームする」という古典的なピント合わせ手法を使ってはイケナイ。 なお、最短撮影距離は1.3mなので全く寄れないけど、最大0.5倍のマクロ機能が備わっている。 鏡筒の作りはしっかりしていて剛性は高そうだけど、ズーム環操作トルクにムラ(特にワイド端)があるのが少し残念だ。

 マクロ機能はワイドマクロになっていて、ワイド端でマクロリングのボタンを押しながらマクロ位置まで回すとレンズ各郡が固定される。 この状態でズームするとワイド端状態のレンズ全体がズームストローク分だけ繰り出される全体繰り出しマクロ方式である。 従ってマクロ時の撮影倍率やピント合わせはズーム環による粗動操作で行う事になり、フォーカスリングによるピント調節は極僅かだけ可能となる。 なお、最大撮影倍率は0.5倍なのでグイグイ寄る事ができるけど、息を止めても体が揺れてピント合わせが難しい。

ニコン製 HK-15 フードがぴったりでカッコ良い(SRマウント・アダプタを使用してILCE-9M3に装着)
ニコン製フードを装着
 フィルター径はΦ62mmだけど、フィルター枠がフォーカスで回転してしまうので、PLフィルターは使い難い。 なお、絞り羽根は6枚で、鏡筒には自動絞りとマニュアル絞りの切換えレバーが備わっているので、どんなマウントアダプターでもマニュアル絞りで撮影し易い。 また、フードはニコンの HK-15 がぴったりである。 ちなみに、HK-15 は Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5 にもぴったりなのである。

アダプトールマウント

CANON FD用アダプトールマウントはレンズに合った開放F値伝達ピンが付いたマウントが必要
FD用 Adaptall マウント
 なお、このレンズは「アダプトール2」ではなく「アダプトール」なので、相対絞り値は伝達出来ても、レンズ本体側に開放F値をメカ伝達する手段が無い。 開放F値伝達を必要としない測光システム(NIKON F とか MINOLTA SR とか PENTAX SP など)用マウントなら問題ないけど、CANON FD マウント等では(測光・露出には問題ないけど)開放F値が適合するアダプトール交換マウントを用意する必要がある。 FD用アダプトール2マウントでも装着は可能だけど、開放値伝達ピンが最大に飛び出すので開放F値がF1.4として伝達されてしまう。 従ってFDカメラシステムで利用する場合は注意が必要で、適合するFD用アダプトールマウントが無い場合は、マウントの開放値伝達ピンの改造などが必要になる。 なお、ミラーレスデジカメで遊ぶなら絞り込み測光なので問題は生じない。

 本レンズ発売よりず~と前の1973年に2リングタイプの TAMRON 38-100mm F3.5 Model SZ-38 が発売されていて、1976年に同仕様のまま Model CZ-38M へモデルチェンジしている。 この CZ-38M も気にはなるけど、中古市場での玉数は少ない様だ。 多分、描写性能は QZ-35M より劣るだろうし、大きく(Φ70.8×110mm)て重い(725g)のが難点だ。

仕様比較

 同クラスのレンズでは NIKON F 用の Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5 が思い浮かぶけど、比較すると似た様な大きさだと判る。

 比較項目  NIKKOR 43-86   TAMRON 35-80   TAMRON 38-100 
 焦点距離   43-86mm   35-80mm   38-100mm 
 開放F値   F3.5   F2.8-3.5   F3.5 
 最小絞り   F22   F22   F22 
 レンズ構成   7群9枚   13群13枚   10群13枚 
 ズーム調節   直進式ズーム   直進式ズーム   回転式ズーム 
 ピント調節   前玉繰り出し   前玉繰り出し   前玉繰り出し 
 最短撮影距離   1.2m   1.3m   1.5m 
 マクロ機能   なし   0.5倍 ワイド端マクロ   0.25倍 ワイド端マクロ 
 重量   410g   520g   725g 
 大きさ   Φ65mm×78mm   Φ66.5mm×80.5mm   Φ70.8mm×110mm 
 フィルタ径   Φ52mm   Φ62mm   Φ67mm 
 発売年   1963年   1978年   1976年 
 発売時価格   ¥32,000円   ¥62,000円   ¥69,500円 
 1963年換算
(Google調べ) 
 ¥32,000円   ¥33,062円   ¥51,430円 

レンズ面反射が多くて綺麗だったりする
レンズ面反射
 貼り合わせの無い13枚のレンズで構成されているので、レンズを覗くと『こんなに反射が多くてイイの?』と思うほど、沢山のレンズ面反射があって「綺麗」だ。 タムロンの多層コートは「Broad Band Anti-Reflection」と命名されていて、このレンズの鏡筒前枠には BBAR MULTI C. と表記されているけど、全てのレンズ面がBBAR MULTI C.という訳ではない。 ゴーストが気になる面以外はカラーバランス調整のため、アンバーコートやマゼンタコートやパープルコートなどを使ってカラーバランスを整えていたハズだ。 どの面がBBAR MULTI C.なのか僕には判らない。

描写特性

 QZ-35M はズーミングで開放値がF2.8~F3.5まで変化するが、F値の記載はズームに係わらずワイド端でのF値を記載しています。

遠景描写比較

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.00.04171 にて、ホワイトバランスは太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。  また、Model QZ-35M と Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5 と Model A017 とを比較してあります。

 ワイド端 
 絞り   NIKKOR 43-86mm   TAMRON 35-80mm   TAMRON A017 34mm 
 開放  Zoom-NIKKOR Auto f=43mm 絞り:F3.5 TAMRON Model CZ-35M f=35mm 絞り:F2.8 TAMRON Model A017 f=34mm 絞り:F2.8
 F4  Zoom-NIKKOR Auto f=43mm 絞り:F4 TAMRON Model CZ-35M f=35mm 絞り:F4
 F5.6  Zoom-NIKKOR Auto f=43mm 絞り:F5.6 TAMRON Model CZ-35M f=35mm 絞り:F5.6
 F8  Zoom-NIKKOR Auto f=43mm 絞り:F8 TAMRON Model CZ-35M f=35mm 絞り:F8
 F11  Zoom-NIKKOR Auto f=43mm 絞り:F11 TAMRON Model CZ-35M f=35mm 絞り:F11
 QZ-35M は開放F2.8と明るいため、画面中央付近は NIKKOR より若干フレアっぽい描写だけど、画面周辺での劣化は少なくて画面全域で均質に感じる。 一方、NIKKOR は絞り開放の画面中央は QZ-35M よりシャープだけど、画面周辺の描写は随分と流れた描写になる。
 QZ-35M は一段(F4に)絞れば画面全域で解像感・コントラストともに向上し、F8まで絞れば画面全域でとても良い描写となる。 NIKKOR の画面周辺は絞っても描写の改善が鈍い。
 両レンズとも大きな周辺光量落ちがあり、画面隅の青空は成層圏へ行ったような暗さになる。 また NIKKOR より QZ-35M の方が落ち方がなだらかだ。 QZ-35M は絞りF8でほぼ解消するが、NIKKOR は画面極隅の光量落ちが残っている。

 テレ端 
 絞り   NIKKOR 43-86mm   TAMRON 35-80mm   TAMRON A017 82mm 
 開放  TAMRON Model CZ-35M f=80mm 絞り:F2.8 Zoom-NIKKOR Auto f=86mm 絞り:F3.5 TAMRON Model A017 f=82mm 絞り:F2.8
 F4  TAMRON Model CZ-35M f=80mm 絞り:F4 Zoom-NIKKOR Auto f=86mm 絞り:F4
 F5.6  TAMRON Model CZ-35M f=80mm 絞り:F5.6 Zoom-NIKKOR Auto f=86mm 絞り:F5.6
 F8  TAMRON Model CZ-35M f=80mm 絞り:F8 Zoom-NIKKOR Auto f=86mm 絞り:F8
 F11  TAMRON Model CZ-35M f=80mm 絞り:F11 Zoom-NIKKOR Auto f=86mm 絞り:F11
 QZ-35M は絞り開放でも画面中央付近は比較的良い描写で、画面周辺ほど描写性能が低下する。 絞りF8にすると、画面周辺でも充分な描写が得られる。 一方、NIKKOR は絞り開放では画面中央付近もフレアっぽい描写で、画面周辺ほど描写性能がガタ落ちする。 F5.6に絞れば画面中央付近は良い描写になるが、画面周辺は絞ってもなかなか改善しない。 両レンズ共に、テレ端でもそれなりの周辺光量落ちがあり、絞りF11で解消する。

 QZ-35M の発色はチョット濁った感じで好ましくないけど、描写性能はワイド端でもテレ端でも QZ-35M は NIKKOR と比べると優秀だ...と感じてしまうほど NIKKOR は酷く、NIKKOR はオールドレンズとしての「味」などではなく、単なるダメレンズだと思う。 また、これらのオールドズーム2本に対して、現代の高倍率な便利ズームはとても優れている事が良く判る。 TAMRON Model A071 は娘が使うレンズとして購入したんだけど、スポーツイベントでの表彰式撮影では便利に使わせてもらっている。

一般撮影

 以下の写真は SONY ILCE-9 でホワイトバランスをオートに設定して撮影したRAW画像を、Luminar Neo 1.27.0(16779)にて、プロファイル:ILCE-9 Standard で現像してみました。 なお、記載の絞り値や焦点距離などは撮影時の「記憶」なので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=35mm 絞り:F8
f=35mm F:8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=50mm 絞り:F8
f=50mm F:8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=80mm 絞り:F8
f=80mm F:8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F5.6
Macro F:5.6
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F5.6
Macro F:5.6
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=35mm 絞り:F2.8
f=35mm F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=50mm 絞り:F2.8
f=50mm F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=80mm 絞り:F2.8
f=80mm F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=35mm 絞り:F5.6
f=35mm F:5.6
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M Macro 絞り:F2.8
Macro F:2.8
TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M f=35mm 絞り:F2.8
f=35mm F:2.8
 台風6号接近前のどんよりした曇り空だったので、描写特性が良く判らないと思います。 また、最短撮影距離が異常に遠い1.3mなので、何かとマクロモードで撮影する事が多くなってしまいまった。
 絞り開放でもワイド側ならしっかりした描写になるけど、テレ側は少しソフトな描写になる。 また、画面周辺では残存収差が気になるけど、この程度の残存収差ならオールドレンズの「味」として楽しめる。 ただし、オートホワイトバランスでも発色がイマイチだけど、「エモい」発色という事にしよう。

 マクロモード(f=35mm)で、グイグイ寄ると背景がボケてくれるし、オールドレンズらしいクセのある玉ボケを楽しめる。 なお、大きくボカしたり、少し絞れば普通のレンズとしての描写ななる。 テレマクロと違ってワイドマクロはグイグイ寄れるので、撮っていて楽しいマクロだ。 現代のレンズの様に画面の隅々までシャープに写る訳じゃないけど、オールドレンズらしいクセのある描写特性が面白い。

あとがき

 TAMRON 35-80mm F/2.8-3.5 Model QZ-35M は Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5 に比べたら充分に使えるしいレンズだし、マクロ機能も便利だし、クセのある背景描写を楽しむこともできる。 綺麗な個体を数百円で見つけたら買って損はないオールドズームレンズだ。

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