カメラメーカーは高級レンズ路線へ? |
これは、あくまでも私の想像です
サードパーティー
タムロンの各種ADAPTOR2マウント |
銀塩時代のマニュアルフォーカスレンズでは、シグマは各カメラメーカー用にマウント固定の互換レンズを発売していたが、タムロンはどのカメラメーカーのマウントにも交換できるADAPTOR2マウントにより売り上げを伸ばしていた。
サードパーティー製のレンズはカメラメーカの純正レンズに比べて非常に安価で、庶民でも買える値段が魅力だったが、光学性能はL版プリント向けという感じだった。 でも、色んなカメラが好きな僕にとっては、各カメラメーカーの交換レンズを揃える事は不可能なので、マウント交換式のタムロンレンズは神様の様に有難かった。
互換レンズって作れるの?
LEICA R5 と TAMRON SP 17mm F/3.5(151B) |
こうして、サードパーティー製互換レンズという分野が確立していった。 また、場合によってはカメラメーカーがサードパーティーにレンズの生産委託やOEM調達を行ったりして、「持ちつ持たれつ」的な関係が構築されていたのだ。
あくまでも個人の感想・印象・想像です
銀塩マニュアルフォーカス時代
K2DMD と TAMRON ADAPTOR2 35-70mm F/3.5(17A) |
CANON EF と TAMRON SP 80-200mm F/2.8 LD(30A) |
この頃のサードパーティー製レンズとしては、1979年発売の TAMRON ADAPTOR2 80-210mm F/3.8-4(03A) 49,500円 などが良く見かけるレンズだった。 個人的には常用レンズとして便利だった TAMRON ADAPTOR2 35-70mm F/3.5(17A) を愛用していた...発色がエラクあっさりしていたけど。
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銀塩オートフォーカス時代
NIKON F100 |
この頃になると、大手量販店がズームキットやダブルズームキットを独自に販売する様になり、カメラはKissだけど、レンズはシグマやタムロンという現象が多くなった。 この手のカメラをダブルズームキットで購入するユーザーは、追加で交換レンズを買う人は殆ど居ないので、カメラメーカーにとっては痛手となる。
しかし、互換レンズという分野を放置して来た為、今更排除するのは民事的にも難しいのである。 特に、相手が互換レンズしか作っていない場合はね...逆に言えば、独自のカメラも作り始めてるサードパーティーに対してなら『他人のフンドシで相撲を取るな!』と排除する事も可能だったハズだ。
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サードパーティーの台頭
SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art |
SIGMA 120-300mm F2.8 DG HSM | Sports |
これまではカメラメーカーも、利益率の低い初級レンズには目をつぶってきたが、利益の根幹を揺るがす高級レンズ分野を侵されては堪らない。 ニコンとタムロンは良好な関係だったが、特許侵害を続けて他人のフンドシで相撲を取るシグマを訴えに出たのである...心情は判る。 徹底的にコストダウンして、安めのレンズを高そうに売るキヤノン的な製品展開じゃ無かったニコンにとっては、高級レンズ分野は死守しなければならない。
ところが、シグマはArtシリーズやSportsシリーズの高性能レンズを次々と発売し、シグマ=高性能レンズという知名度を手に入れてしまった。 最も、猿が設計した様なレンズ配置と阿呆っぽいメカ設計により、シグマ=大きくて重いというレッテルも定着した。
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ミラーレス時代 - マウント変更へ
CIPA DILC Shipped Number |
- 主要プレーヤーから撤退する
市場シェアが低いメーカーは、CMOSセンサーや電子パーツ・ソフトウェアの調達・開発に掛かるコストを回収して利益を上げることは難しい。 経営者が『カメラが好き』だったり、『それを許す』株主でない限り、赤字を放置するのは如何なものか。 事業に携わる社員は『お荷物事業』と囁かれ続け、心は離れてしまうだろう。 撤退するなら早めに判断すべきだ。 - シェアを100%にしちゃう
利益を出し難い安価な製品クラスであっても、他メーカーを圧倒して自社の出荷数量を維持し、シェアをどんどん上げる方法もある。 その為には、他社より良いものをリーズナブルな価格で提供しなければならないので、利益率の更なる低下は免れない。 後のことは勝ってから考える阿呆タイプの作戦だが、この様な手法を取れるのは主要な高額パーツを内製しているメーカーでなければ厳しいだろう。 高額なCMOSセンサーを外部から調達しているカメラメーカーは利益を出すのが難しいからだ。 とはいえ、そのうち市場自体が激減するので、体制を維持する事は難しいだろう。 - 高利益率商品にシフトする
先に書いた手段とは異なり、数量が減少しても利益を確保できる商品にシフトするのも懸命な手段だ。 シフトには数年掛かるだろうし、それを可能にするブランドであるかも考慮しなきゃならない。 生産数は減るので、生産現場を縮小する必要があるし、優秀な人材だけは残しておかなければならない。 ライカの様に『異常に高価だけど、光学性能はトップで、ブランド的に信頼できる』なんてのが成功例とも言えるだろう。
Eマウント Zマウント |
そして、2013年11月に35mmFullSizeカメラであるSONY α7シリーズがAPSCサイズマウントのEマウント発売された。 キヤノンがビックリしたのは想像に難くないが、『失敗した!』と思ったに違いない。
2018年になって、ニコンは35mmFullSizeミラーレスにも余裕で対応できる、内径φ55mmのNikon Zマウントシリースを発売し、キヤノンは内径φ54mmのRFマウントという新しいマウントを再度作ったのである。 このRFマウントはEF-Mマウントと互換が無いので、手持ちのEF-MレンズをRFマントに装着できないし、アダプターも無い。
『どうせ交換レンズを追加購入しないアマチュアにはマウントなんてどうでも良い』という事なんだろう。
さて、マウントを新しくしたので、サードパーティー製のレンズが侵食してくる前に、高利益率のレンズを拡充しておく必要があるし、この際なので値段もアップいておきたい。 そして、サードパーティーが高利益クラスレンズに追従し難い様に、自社純正レンズの光学性能を高性能にしなければならない。 この様な理由もあり、新しいミラーレスマウント用のレンズは「真面目」に設計された高性能なレンズシリーズが先行しているのである。 また、ニコンさんは外部との協業が多く、Fマウントレンズではタムロンへの生産委託などで高性能なレンズを比較的安価に供給していたし、Zマウントでは優秀なコニカミノルタの設計による NIKKOR Z 35mm f/1.8 S を発売したりしている。 これから発売される NIKKOR Z 24mm f/1.8 S が誰の設計なのか知らないけど、ミラーレス用の 20mmF1.8 とか 24mmF1.8 とかは真美さんが特許出願していたなぁ...
一方、ニコン・キヤノンを追っていたソニーは、自社の最先端CMOSセンサーを搭載したカメラが売れる事を優先し、Eマウントレンズを製造するための仕様を提示している。 ソニーのレンズ生産拠点でもあるタムロンは、ソニーEマウントレンズを沢山生産しているので、「お得意様」と喧嘩する必要は無いので、17-28mm F2.8 FE とか 28-75mm F2.8 FE など、「お得意様」の王道とは仕様が異なるEマウントレンズを発売して人気を博している。 ソニーにとっても、レンズシステムの選択肢が充実するのを歓迎しているだろう。
ちなみに、シグマが携わったと思われるレンズは、オリンパスのM.Zuiko色々やパナソニックのLEICA DGなど多数あり、タムロンが携わったと思われるレンズは、ZEISS BatisやSONY FE色々やNIKKOR色々...などなど。
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これからどうなる?
DSLR vs DML |
さて、商品構成を高利益率商品にするには、基本性能をぐっと上げて、価格もぐっと上げる必要がある。 そこで、各社ミラーレスマウントの光学性能と価格は右肩上がりになった。 でも、光学性能に関するマウント優劣は...あまり無いと思う。 光学設計に優位なマウントを採用したメーカーは、声高に自社マウントの優位性を強調するけど、光学性能の優劣はメーカーの設計思想や光学設計者のセンスによるところが大きいと思う。 ただし、口径が小さなSONY EマウントはIBISとして動かせるセンサーのストロークが小さいため、驚愕の防振性能には出来ないだろう。 大きな手振れを補正しようとすると、マウントでケラレてしまうのだ...多分。
ソニーは一眼レフ時代のαAマウントを放棄した様だし、カメラメーカーとして後発なので、Eマウントの情報を公開(取捨はしてる)して、互換レンズを作ることを認めている。 これにより安価で魅力的なレンズが増え、35mmFullSizeミラーレスでは大きな勢力となった。 彼らはSONY製のCMOSセンサーが沢山出れば良いので、他社も沢山採用してくれれば嬉しいハズだ。 レンズの性能も重要だけど、センサーによりカメラの性能や機能が決まってしまうので、裏面照射センサー技術や積層センサー技術など、最先端のセンサーをカメラに採り入れ易い利点がある。
また、ソニーさんとタムロンは遠い親戚みたいなものだから、協業関係も深い。 タムロンはEマウントレンズを多数製造していたけど、自社ブランドでは発売していなった。 しかし、ここにきて、ソニーと丸被りしない仕様で自社ブランドでEマウントレンズを発売してきた。 この関係はしばらく続くのだろうけど、タムロンの巨大工場が中国工場なので、日中関税戦争が悪影響しないか気になるところだ。
さて、ニコンさんもソニー製センサーを使っているだろうけど、センサーは高額で重要なカメラパーツだ。 ソニーが搾取するセンサーの諸経費などを積み上げると、カメラの利益率をかなり圧迫するハズだ。 ニコンさんは存亡を賭けて、高利益率レンズを死守する必要があり、S-Lineシリーズを拡充しているのだろう。 また、S-Lineより下の安価なレンズは作らないで、高性能で高額なレンズだけにする可能性もある。
一方のキヤノンは、技術的に劣るけど自社のセンサーを調達しているので、利益は出し易いだろう。 ただし、高級なブランドイメージじゃないので、数で勝負するしかない。 数をこなすには安いレンズは不可欠なので、価格も性能も安めのレンズも出してくるだろう。 しかしながら、市場はドンドン縮小しているので、ソニーとシェアを二分するのがやっとだと思う。
このあたりがNIKON Z6やZ7は高いと感じ、SONY α7Ⅲは高性能なのに安いと感じ、CANON RPは安いだけと感じる理由なんだと思う。
ちなみに、ソニーの仕様をパクった高級コンデジを発売する様になったけど、コントラストAFのままだったり仕様がチグハグなのは、CMOSセンサー調達関連と自社技術関連が原因の様な気がする...王者キヤノンのブランドなら買っちゃう人はいるだろうけどね。
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