フリッカーの悩み | Flicker Trouble

酷いフリッカーが発生する会場がまだあるのだ
選手権を実施する会場はそれなりの照明環境だったりするけど、今回の現場は劇暗&劇ムラ&劇フリッカーという環境だった。 スケートリンクが新しくなったと聞いていたんだけど、新しくなったのは国際規格サイズになった事とリンク面の冷却システムだけで、照明は1970年代のままだった。 スポーツ写真なのにシャッタースピードを1/800sより遅くするのは、大昔の銀塩時代の頃の様で新鮮だけど、被写体ブレが無い写真を撮るのは至難の技だ。

上の写真は条件の良いエリアで撮影した写真だけど、ISO:12800 で Tv:1/640s だ。 SONY ILCE-9 の画質は ISO:12800 だとDレンジの狭さが露呈してトーンジャンプなどが顕著になるので、ISO:10000 が限度だ。 しかも、ご覧の様なフリッカーが発生するので、最悪の環境だ。


SONY ILCE-9 の電子シャッターはフリッカーが目立つ
SONY ILCE-9 でスポーツ写真を撮影する場合は電子シャッターを使う必要がある。 メカシャッターもあるけど、駒速が遅いしEVFのフィーリングが悪くて使う気にならない。

ところが SONY ILCE-9 の電子シャッターはアンチディストーションと謳ってはいるけど EOS-1DX などより幕速が遅いので、フリッカーによる暗い縞がはっきりと写りやすい。


SONY ILCE-9 はフリッカーの影響を誇張するのか?
この写真は知り合いの子が演技するスパイラルシーケンスを連写した写真だけど、顔がある画面中央に暗い縞が写っている。 しかも、全駒のほぼ同じ位置に縞が写っているのだ。
最近のカメラはアンチフリッカー機能を搭載しているけど、SONY ILCE-9 には搭載されていないだけじゃなく、フリッカー誇張モードの様な振る舞いをする。
EVFにはフリッカーが発生していないので、撮影開始タイミングがフリッカー最悪タイミングになっているのだろうと想像している。
仕様を考えた奴が阿呆なのと、発売前にテストしたプロが阿呆なのだろう。


フリッカーが目立たない写真が撮れる事もある
試合会場は大阪なので、照明に使っているメタルハライドランプの明滅周波数は60Hzと思われる。 なので、明滅サイクルの時間間隔は約16.67msのはず。 つまり、撮影開始時のタイミングを最も明るい時に調整したうえで、約16.67msの整数倍に嵌まるフレームレートで撮影すれば、最も明るい条件で連写撮影が出来る事になる。

SONY ILCE-9 は最高20fpsで撮影可能なカメラなので、約16.67msの整数倍で当てはまる駒速は 20fps、15fps、12fps、10fps、... となり、明周期に合せて撮影する事は充分可能である。

一方、SONY ILCE-9 の電子シャッター幕速は公表されていないけど、8~10mS程度だと思われる。 一般的なプロ用メカ式フォーカルプレーンシャッターの幕速は4~5mS程度と思われるので、それに比べたら SONY ILCE-9 の電子シャッター幕速はエントリーレベルの安い一眼レフ用シャッターの様なものだ。

さて、ここで何が問題かと言うと、明々間隔が約16.67mSしかないのにシャッターが画面を走る時間が10mSもあるのでは、画面中央を明ピークとなる様にタイミングを図っても、画面長辺サイドの両側が暗めになってしまう事だ。
メカ式のプロ用フォーカルプレーンシャッターであれば画面端の明度落ち込みは殆ど気にならないレベルだけど、SONY ILCE-9 だと気になるレベルだろう。

そうは言っても、上の写真の様にトリミングすれば気にならないレベルの写真が得られるので、ソニーさんが ILCE-9 にアンチフリッカー機能を入れてないのは、彼らが「面倒くさい」からとしか思えない。

ねぇ、ソニーさん判ってるよねぇ。 取材時に隣にいたソニーさんと懇意のカメラマンに言っておいたからね...ふっふっふっ。

【追記】
必死に後処理でフリッカーの縞を修正する為に写真を眺めていたら、周波数は120Hzかも知れない。 条件が厳しくなるけど、それでも最悪周期で撮影しない様にアンチフリッカー機能を搭載すべきだと思う。

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